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電磁波(波長・周波数)

キーワード

電磁波、波長、周波数、放射線、ガンマ線、X線、光線、紫外線、可視光線、赤外線、IrDA、リモコン、電波、サブミリ波、SMW、ミリ波、EHF、マイクロ波、SHF、極超短波、UHF、超短波、VHF、短波、HF、中波、MF、長波、LF、超長波、VLF、音波、超音波、可聴域、超低周波音、4G・5G、2.4GHz帯、5GHz帯、無線LAN、Wi-Fi、テレビ放送、ラジオ放送、防災行政無線、GPS、ICカード


電磁波の波長・周波数による区分

放射線、電波(無線)、光線、音波などは、すべて波(電磁波)であり、波長が異なるだけです。しかも波長は連続したものであり、境界はありません。ここでは、波長による一般的な区分を示します(右図)。
 波長は波の1周期の長さであり、1秒間あたりの周期数を周波数といいます。周波数の単位はは Hz(ヘルツ)=[回/s] です。波長と周波数の関係は、次式で与えられます。
   波長[m] × 周波数[Hz] = 光速(300,000,000 [m/s])

放射線(ionising radiation)~10nm

コバルト60やセシウム137など放射性原子の崩壊により発生する電磁波です。波長が短い(原子の大きさ程度)、高エネルギーの電磁波であり、粒子としての性質が現れます。その結果, 物質を貫通する力(透過性)も大きくなり、人体などの物体を通過します(鉛板は通過できません)。

光線(light ray)10nm~1mm

光の定義はやや曖昧です。狭義には人間が光として認知する波長帯、すなわち「可視光線」を指しますし、広義には電磁波全体を指します。通常は可視光線に紫外線と赤外線を加えた太陽光を指します。

電波(radio wave)1mm~~100km、3kHz~300GHz

         短波長・高周波数帯  長波長・低周波数帯
   通信容量  大容量        小容量
   直進性   強い(障害物に弱い) 弱い(回り込みできる)
   通信角度  特定方向       幅広い方向

音波(acoustic wave)10km~、~3kHz

音波とは、狭義には人間や動物が耳で認識する空中を伝播する弾性波(空気を伝わって聞こえる)のことですが、広義では、気体、液体、固体を問わず、弾性体を伝播するあらゆる弾性波の総称です。電波までは、媒体によらず真空でも通信できますが、音波になると空気や水の振動として伝えられます。


用途別周波数帯

周波数帯は、放送用やスマートフォン用など用途により配分されています。それには、4Gや5Gのように通信規格により定まっているものもありますが、国の通信行政の大きな任務として、限定されている周波数帯を有効に活用するため、用途や事業者に公平に配分するために、適切に設定しています。
 また、一つの用途に連続した一つの周波数帯を配分するのではなく、一つの用途に複数の周波数帯を割り当てたり、周波数帯を細切れにして、異なる用途に配分しています。これも用途や事業者に公平に配分するためです。

参照:電波割当:総務省「我が国の電波の使用状況」2021年

4G・5Gの利用周波数帯

現在のモバイル通信は4G(LTE)が主流ですが、急速に5Gへと移行が進んでいます。総務省は5G推進の準備として、主としてミリ波帯に広い周波数帯を割り当てています。


出典:NTC「5G無線の基本をズバッと解説!ー第1弾 大容量通信ー」
https://www.ntc.co.jp/column/culumn05

4Gと地域

一般に大都市では大容量回線が求められ、高周波数帯が主流になります。しかし、基地局からの到達距離が短いので、多くの基地を設置する必要があります。また、高周波数帯の1.7GHz帯(バンド3)は4G専用であり、3G対応機では使えません。そのため、4G機器利用者の絶対数が大きい地域が優先されます。
 それに対して、人口密度が小さい地域では、少ない基地局で広大なエリアをカバーすることが求められます。そのため、低周波数の800mHz帯(バンド19/バンド6)や、新たに携帯電話用として認可された700MHz帯(バンド28)が主になりました。

4G/5Gの比較

従来の4Gはマイクロ波で合計1GHz程度でしたが、5Gでは3GHzが割り当てられ、その大部分がミリ波帯です。
 ミリ波はマイクロ波と比較して、超高速通信、超低遅延、多数同時接続の長所があり、反面、電波の届く範囲が狭い、障害物の影響を受けやすいの欠点があります。そのために多数のアクセスポイントが必要があります。また、4Gと5Gでは通信方式が異なるため、スマートフォンも買い替える必要があります。そのため、純粋な5G(フル5G)に移行するには、壁があり、時間もかかります。
 その対応策として、「sub6」という周波数帯を設けました。これは4Gに隣接したマイクロ波で、ミリ波の長所は得られませんが、4Gと互換性が保たれます。4G・5G双方に対応したスマートフォンならば、とりあえず4G環境で利用し、5G環境が整えば5Gを利用することができます。

2.4GHz帯と5GHz帯

無線LAN(Wi-Fi)が使用する電波の周波数は大きく分けて、極超短波(UHF)の2.4GHz帯とマイクロ波(SHF)の5GHz帯があります(参照:標準規格 IEEE 802.11)。
   Wi-Fi 規格  最大通信速度 周波数帯
   IEEE 802.11a   54Mbps   5GHz
   IEEE 802.11b   11Mbps   2.4GHz
   IEEE 802.11g   54Mbps   2.4GHz
   IEEE 802.11n  300Mbps   2.4GHz/5GHz
   IEEE 802.11ac  6.9Gbps   5GHz

 屋内ではどの周波数帯が利用できますが、屋外では5GHz帯は人工衛星や気象レーダに影響を与えないように、いくつかの制約があります。

2.4GHz帯は、Wi-Fiだけでなく、ワイヤレスマウス・キーボード、Bluetooth、家電やなど、ほかの機器も利用する周波数帯です。

5GHz帯のメリットは、Wi-Fi専用の電波なので、他の電波と干渉せず、安定的に通信を行うことができます。しかし、直進性が強く、壁などの障害物があると弱まる(通信速度が下がる、つながらない)ので、無線ルータの設置位置の工夫が必要なことがあります。

放送と周波数帯

テレビ放送

テレビ放送(2k) は主に300MHzから3000MHzのUHFが用いれらます(4k8k放送では一部マイクロ波にかかります)。   ・地上波放送:470MHz~770MHz
  ・BS放送:1032-1489MHz
  ・CS放送:1595-2071MHz
  ・4k8k衛星放送:2224-3224MHz
 衛星放送では、「右旋(右旋円偏波)」、「左旋(左旋円偏波)」という2つの電波帯域があり、NHKや民放(主に無料放送)では右旋、有料放送では主に左旋を採用しています。

ラジオ放送

ラジオ放送は、変調方式により、
  ・AM(Amplitude Modulation、振幅変調)放送
  ・FM(Frequency Modulationn、周波数変調)放送
があります。現在、AM放送を廃止してFM放送だけにする動向があります。

        AM放送     FM放送
  電波種類  中波(MF)   短波(HF)
  周波数   526~1600kHz   76~100MHz
  波長    200~600m     3~4m
  到達範囲  広い(海外まで) 中程度(数10km~100km程度)
  放送音範囲 100Hz~7,500Hz  50Hz~15,000Hz

放送音範囲とは、ラジオで聞こえる音の周波数帯です。人間の可聴域は20Hz~20kHzですが、FM放送のほうがそれに近く、低音や高音まで放送できます。また、雑音対策や混信対策として、AM放送は何の対策しないのに対して、FM放送では周波数変調により雑音や混信なあどのノイズが除去しやすく、音質がよくなります。

防災行政無線

県及び市町村が「地域防災計画」に基づき、それぞれの地域における防災、応急救助、災害復旧に関する業務に使用することを主な目的として、併せて、平常時には一般行政事務に使用できる無線局です。
 用途上、常に周波数帯が確保されていることが重要です。固定系は60MHz帯(短波)、移動系は260MHz帯(超短波)が、総務省より市町村ごとに指定の周波数が割り振られます。

その他

GPSの衛星信号
L1帯(1575.42 MHz)とL2帯(1227.6 MHz)の2波で送信されています。
RFID(非接触ICカード)
周波数により電波到達距離が決まるので、種類により異なります。
       到達距離  周波数
  密着型  <1mm  4.9MHz
  近接型  <10cm 13.6MHz
  遠隔型  <1m   2.45GHz