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テレビ放送(2k放送)

テレビ放送は、2011年にアナログ放送が終了しデジタル放送になりました。また、2018年末に4k8k放送が開始されました。本章では、この間におけるテレビ放送(2k放送、フルハイビジョン放送)を対象に、その概要を学習します。

キーワード

テレビ放送、2k放送、フルハイビジョン放送、地上波放送、電波塔、衛星放送、BS放送、放送衛星、CS放送、通信衛星、ケーブルテレビ、CATV、トランスモジュレーション方式、パススルー方式、インターネット放送、IP放送、リアルタイム放送、ビデオ・オン・デマンド、VOD、ダウンロード方式、ストリーミング方式、周波数帯、ISDB-T方式、、直交周波数分割多重方式、MPEG-2TS、B-CASカード、ダビング10、コピーワンス


テレビ放送の種類

テレビ放送を通信の観点から区分すると次のようになります。
 地上波放送(地デジ)
 衛星放送
   BS放送
   CS放送
 ケーブルテレビ
 インターネット放送

地上波放送

地上波放送は、放送局と家庭などのテレビ受信機の間を地上の中継局を設けて電波を送る放送です。

  1. 放送局からマイクロ波(1~100GHz)無線などにより電波塔(親局送信所)に番組(放送コンテンツ)を送ります(注)。
  2. 電波塔から番組をデジタル信号に変換、マイクロ無線で送信します。
  3. 遠方あるいは電波が届きにくい地域には中継局を介して送信します。
  4. 家庭などでは、アンテナにより電波を受信して同軸ケーブルでテレビ受信機に送ります。
  5. テレビ受信機はデジタル信号を映像や音声に変換して表示します。

(注)代表的な親局送信所は東京スカイツリーですが、東京スカイツリーから直接受信できるのは関東平野一円だけです。他地域では、各放送局が親局送信設備を設置し、それぞれが独立して電波を出しています。

衛星放送

衛星放送は、放送局から衛星地上局へデジタル信号に変換した番組を、主に有線回線(光回線)で送ります。
 衛星地上局は、赤道上空36,000kmにある放送衛星(地球自転と一致した静止衛星)に送り(アップリンク)、放送衛星は、地上に向けて送り返し(ダウンリンク)家庭に直接電波を送ります。
 放送衛星からの電波は地上波放送に比べて弱いので、それに対応したパラボラアンテナが必要になります。また受信機にはチューナが必要になります。

衛星放送は、地上波放送に比べて、以下のような特徴があります。
 ・効率よく広域に放送ができ、地形の影響で乱れることがない
 ・大容量の情報伝達力がある
 ・災害時に強い

BS放送とCS放送

衛星放送には、BS放送とCS放送があります。日本では、
 110°BSデジタル放送
 110°CSデジタル放送
が使われています。この110°とは、衛星の位置が赤道上の東経110度のことです。
 BS放送とCS放送の違いは、使用する人工衛星および使用周波数帯による違いです。

BS放送
BS放送(Broadcasting Satellites)は、ITU(国際電気通信連合)により放送衛星業務に優先的に割り当てられて軌道位置と周波数を用いる放送です。日本を含む地域では、12GHz帯については11.7 - 12.2GHzが割り当てられています。この衛星を放送衛星(Broadcasting Satellite)といいます。
NHK・大手民放のBSチャネルおよびWOWOWはBS放送です。
CS放送
CS放送(Communication Satellites)は、放送衛星業務に割り当てられた以外の周波数を用いる放送です。基本的には先着順で衛星の軌道位置と周波数の割り当てを受けます。日本のCS放送では12.2 - 12.75GHzを用いています。この衛星を通信衛星(Communications Satellite)といいます。
当初は、ケーブルテレビ、企業、集合住宅など特定の受信者を対象にしたものですが、一般の家庭でも視聴することが可能となりました。
代表的なCS放送にスカパーがあります。CS放送は電波の出力が小さのでBS放送受信用のアンテナでは受信できません。また、有料放送なので、スカパーに加入するときにCS放送受信用アンテナが提供されるのが通常です。

ケーブルテレビ(CATV)

ケーブルテレビは、ケーブルテレビ事業者(J:COMやJCN、地方自治体など)が、サービス提供地域に、光ケーブルや同軸ケーブルを敷設し、ケーブルテレビセンターと家庭間を高速回線で結び、放送サービスと通信サービス(インターネット接続)を提供しています。
 一般には商用ですが、離島や山間部など視聴難地域・インターネット利用困難地域のために、地方自治体などがサービス提供をしていることもあります。

ケーブルテレビの放送受信

  1. ケーブルテレビセンターは、多数の放送局、放送衛星(BS)、通信衛星(CS)などからの放送番組を無線で受信します。ケーブルテレビ事業者が独自に番組を制作することもあります。
  2. ケーブルテレビセンターと家庭近くの電柱に置かれたタップオフまでを事業者が敷設した光ケーブルで接続します。
  3. タップオフから家庭内の保安器までを同軸ケーブルの引込線で接続します。
  4. 家庭内では分配器を介して、テレビ情報と通信情報にわけます。
  5. テレビ情報はSTB(セットトップボックス)というチューナを介してテレビ受信機と接続します。

このように、ケーブルテレビ放送ではケーブルテレビセンターからテレビ受信機までを有線で接続するのでアンテナは不要になります。

ケーブルテレビの放送方式

インターネット放送(IP放送)

インターネット放送とは、インターネットを利用した放送サービスです。通常はパソコンで視聴することもできますが、テレビ受信機をインターネットにつないで、パソコンなしでも視聴することもできます。
 近年のテレビ受信機は、有線のLANポートや無線LAN機能をもっています。それらを用いて自宅のLANルータと接続すればインターネットと接続できます。無線の場合はリモコンの操作だけで接続できます。

インターネット放送には、放送局が自社番組をアーカイブして提供するもの、ビデオ制作会社が提供するもの、小規模な放送局や個人がインターネットに投稿するものなど、多様な形態があります。
 インターネットですから視聴者から放送者への通信がきるので、その特徴を生かした多様なサービス形態があり、また、期待されています。

インターネット放送の配信方法

放送番組をインターネットを介して受信者に送り付けるのには、二つの方法があります。

インターネット放送の再生方法(受信方法)


放送技術・規格

周波数帯

300MHzから3000MHzの周波数帯をUHF(Ultra High Frequency)といいます。
 このうちテレビ放送には、次のように割り当てられています。
  ・地上波放送:470MHz~770MHz
  ・BS放送:1032-1489MHz
  ・CS放送:1595-2071MHz
  ・4k8k放送:2224-3224MHz

携帯電話などには700MHz~900MHz、1.5GHz~2.5GHzが割り当てられています。テレビ放送と同じ周波数帯がありましが、その周波数帯を細分化して割り当てて重複がないようにしています。

(注)通信と周波数帯
周波数の大小は通信実務に大きな関係があります。周波数が大のときの特徴を列挙します。

放送方式:ISDB-T方式

日本の地上波放送は、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial:統合デジタル放送サービス‐地上用)方式を採用しています。NHKが中心となって作成され、国際的な標準規格の一つになっています。米国や欧州にも放送規格がありますが、日本は山岳地帯が多いことから独自の方式にしたのです。

伝送方式:直交周波数分割多重方式

OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)方式ともいいます。
 一連のデータを約5千本の搬送波に分けて伝送します。複数の搬送波に振分けることにより1つのデータを送る時間を短く(間隔を長く)なるので、送信中に障害電波を受ける確率が小さくなります。

テレビ放送の伝送速度


関連事項

B-CASカード

B-CASカードは、DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)の一つで、テレビ受信でのCAS(Conditional Access System:限定受信機能)機能をもったICカードです。
 テレビ受信機にこのカードを挿入しないと受信できません。カードごとに固有のID番号、暗号鍵、受信契約情報などが格納されており、契約以外の不正受信や不正コピーなどができないようになっています。
 4k8k放送では、B-CASカードはACASチップになりました。
 携帯電話での同様なカードにSIMカードがあります。

ダビング10

放送コンテンツには著作権があり、勝手にDVDなどにコピーすることはできません。また、個人使用のための録画は認められているのに、保管のために録画媒体を変更するにはコピーが必要です。このようなジレンマを解決することを目的とした制度です。

(コピー(複写):コピー先、コピー元両方に残る。ムーブ(移動):コピー元の記録が消去される。ダビング:ここではコピーとムーブの総称。)

この制度は有料放送には適用されません。有料放送ではコピーワンス制度になります。