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ITの適用分野での国際比較

キーワード

経済産業省の4ステージ、固定的支出と戦略的比率、「攻め」と「守り」、過剰品質、CIO、兼任CIO


IT活用内容の日米比較

経済産業省では、IT活用のレベルをを4つのステージに区分しています(参照:「IT利活用の4ステージ」)が、日本では、約7割の企業がステージ2にとどまっているのに対して、米国や韓国では約4割がステージ3以上に進んでおり、ステージ4もかなりあります。当然、大企業のほうが高いステージになっていますが、日本の大企業が米韓の企業全体とほぼ同じ程度になっています。日本のIT活用の成熟度は、米韓と比較して低い状態なのです。 (図表)

IT投資には、システム機能改訂、ハード・ソフト、保守、運用、バグ対応等、経営的には価値を生み出さない支出である「固定的支出」と、新規開発案件、業務/組織/ITの統合的改革投資などの収益率の向上、業務効率向上を目的とした「戦略的投資」に区分することができます。
 日本では、固定的支出:戦略的投資が約3:1の割合なのに対して、世界(主に米国)では、2:2の割合になっているといわれています。 (図表)

IT利用の目的も異なります。日本企業では「コストの削減」「品質向上」など、現場の体質強化を重視する項目が上位になっているのにたいして、米国では、「顧客満足度の向上」「競争優位の獲得」など事業改善に直結する項目が上位になっています。すなわち、IT投資の目的として、日本では「守り」重視、米国では「攻め」重視の違いがあります。 (図表)

IT利用の目的

日本人は「品質が良い」ことに高い価値を抱いています。これはITの分野でもいえます(例)。情報システムが高品質なことは大切です。しかし、なかには過剰包装のような過剰品質を追求することも多く、IT資源の無駄遣いになっていることもあります。

ITガバナンスでの遅れ

経営の観点からITを運営することを「ITガバナンス」といいます(参照:「ITガバナンス」)。そして、企業の最高IT責任者でITガバナンスを統括する役員をCIO(Chief Information Officer)といいます(参照:「CIO」)。

攻めの経営戦略が欠けている、IT活用が経営戦略と結びついていない原因として、経営陣のITへの関心が、相対的に低いことがあげられます (図表)

経営課題に対する最重要施策

関心の低さは、CIOによるITガバナンスが不十分なことにつながります。日本企業でもCIOを任命している企業は多いのですが、実際には兼務であり、しかも、CIO業務への専任度は非常に低いのです (図表1) (図表2) 。しかもITに関する知識や経験が乏しいのです。(参照:「CIOの現実」
 それに対して米国では、CIOのほとんどは専任の専門職であるといわれています。

CIOがいるから「ITステージ」が向上するのか、ステージが向上するとCIOが必要になるのかは、互いに原因と結果の関係になりますが、CIOの存在とステージの向上は明らかに関係しています。しかし、CIOの専従度により異なり、ステージ4の段階では専任CIOの存在が大きく影響します。 (図表)


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