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情報と社会

キーワード

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情報化社会

産業革命

18世紀の蒸気機関の発明を発端とした機械工業技術の進歩は,それまでの農業を中心としていた社会から工業化社会に移行させました。現在は、ICT(情報通信技術)の発展が社会全般に大きな影響を与え高度情報化社会といわれています。
 産業や社会など広範囲に急激に深刻な影響を与える変化を産業革命といいますが、現在は第四次産業革命のさなかにあると認識されています。

第一次産業革命
18世紀末~19世紀初。蒸気機関の発展
農耕社会から工業化社会へ。
第二次産業革命
19世紀末~20世紀初。電気の実用化、内燃機関
鋼鉄、石油、電気などのエネルギ革命による、工業化社会の確立
20世紀後半にコンピュータの普及
第三次産業革命
1980年代から、ICTの発展と普及が社会に与える影響が大きく、工業化社会から情報化社会へと変化していることが認識されるようになり、2000年前後には高度情報化社会への移行が現実的なものになりIT革命といわれるようになりました。
ユビキタス社会
2000年代には、高度情報化社会をユビキタス社会という表現が普及しました。
ユビキタス(ubiquitous)とは「(神のごとく)遍在する」という意味です。ユビキタス社会とは,モバイルコンピューティング,ホームネットワークなど、ICTを活用した機器やシステムが、社会全般にあまねく存在し、どこでも,いつでも,情報機器の存在を意識せずに利用できるほど日常生活に溶け込んだ状態のことをいいます。
しかし、携帯電話や情報家電などの製品でもなく,コンピュータやネットワークなどの個別技術でもなく,それらをインフラとした社会を構築する環境であると認識するのが適切です。人間と情報機器(ネットワークも含む)との共生社会であり,IT革命の目指す高度情報化社会とは,ユビキタス社会の実現であるともいえます。
第四次産業革命
2010年代後半になると、ロボット工学、人工知能(AI)、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)、自動車の自動運転などが実用化してきました。この影響は2000年当時とは質的に異なることが認識されるようになり、第四次産業革命といわれるようになりました。

工業化社会と情報化社会

マーケティング理念の変化

工業化社会から情報化社会への変化を,企業でのマーケティング戦略を例にして説明します。

販売志向マーケティング
工業化社会での基本的なマーケティング戦略です。
モノが不足している時代では作れば売れるのですから,大量生産が企業発展の基本でした。それを生産志向マーケティングといいます。生産が進み需要と供給がほぼ均衡するようになると,いかに売るかという販売志向マーケティングになりますが,それでもよい製品を安く提供することが競争に勝つことになりますので,大量生産して大量販売することが重要な戦略です。すなわち,規模の経済を基本としたマーケティングであり,工業化社会はそれに適した社会でした。
顧客志向マーケティング
ところが1970年代頃になると,モノが潤沢な時代になりました。そうなると,価格を重視する人,品質を重視する人,デザインやブランドを重視する人など消費者のニーズも多様になりますし,そのニーズが時と場合により異なり,しかもその変化が激しくなります。このように消費経済が成熟化した環境では,大量生産・大量消費の経済は限界に達しました。顧客ニーズしかも「個客」のニーズに合致した新製品・新サービスを迅速に提供することが必要になります。このような顧客のニーズを重視するマーケティングを顧客志向マーケティングといいます。
顧客志向マーケティングでは,顧客の消費動向をすばやく入手して分析すること,それに合致する製品開発のために社内外の知識を結集すること,製品の部品入手から納入にわたる供給に関係する企業間で情報の共有化を図ることなど,「情報」がマーケティングでの大きな要素になってきます。しかも,これらは一企業では限界がありますので,企業間での情報の共有や業務連携が重視されます。すなわち,規模の経済から連結の経済へと変化することになります。
生活者志向マーケティング、環境志向マーケティング
顧客は単に消費者ではなく商品やサービスに囲まれて生活をする生活者です。その観点から,リサイクルが容易で地球にやさしい商品を環境を配慮した手段で提供することも提供者の任務であり社会的責任です。それを実現することが顧客満足につながります。そのようなマーケティングを生活者志向マーケティング環境志向マーケティングといいます。

情報化経済の特徴

工業化社会はモノが中心の経済でしたが,情報化社会では情報や知識が付加価値の源泉となる経済になります。両者の経済原則には大きな相違があります。

収益逓増の法則
モノは他人に渡せば自分の持分は減ってしまいます。また,みんなが同じモノを持つようになれば,そのモノとしての価値は低下してしまいます。それを収益逓減の法則といいます。ところが情報(知識)は,他人に渡しても減るものではありませんから,1個だけ作れば無限の需要に応えることができますし,普及するに伴い価値が上昇するのです。
例えば、アドビシステムズはPDFという文書形式を考案しました。PDF文書を読むためのPDFリーダを無料提供したり、PDFの仕様を公開したりして、利用者を増やしました。その結果、PDFは文書形式の標準になり、アドビシステムズの有料製品であるPhotoshopやIllustratorの優位性はさらに高くなりました。
ネットワーク外部性
経済外部性(外部効果)とは、ある経済主体が、第三者の経済主体の行動により影響を受けることです。 ネットワーク外部性とは、収益逓増の法則を、消費者が同種の財の消費者に与える外部経済という意味で用います。
例えばスマートフォンは、加入者が多いから、ますます便利になるし通話料金も下がるなどの価値が増大するといった関係です。
メットカーフ(メトカルフェ)の法則
「情報の価値は利用者数の2乗に比例する」という収益逓増の法則やネットワーク外部性を端的に示したものです。

第4次産業革命

内閣府『日本経済2016-2017』第2章第1節「第4次産業革命のインパクト」 (https://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html)では、第4次産業革命について、次のように述べています。

以下、第4次産業革命を担う技術や社会の仕組みを列挙します。

ビッグデータ

オンラインショッピングサイトで蓄積される購入履歴、スマートフォンの発信履歴による災害時の行動分析、改札口での乗車・降車データ分析による交通状況の把握などには、数十テラバイトに及ぶ巨大なデータになります。このような巨大サイズのデータをビッグデータといいます。
 近年は、IT能力の向上により、このようなビッグデータを扱えるようになってきました。また、AI(人工知能)などの分析技術が発展して、ビッグデータから有用な情報を得ることが盛んになってきました。  ビッグデータの活用効果を上げるには、多くのショッピングサイトが参加してビッグデータを構築したり、災害状況のデータと行動データを組み合わせるなど、多くのビッグデータを公開が求められます。

オープンデータ

行政や民間企業がもつデジタルデータを公開して、誰もが多様な分析が行えるようにすることです。従来から電子政府推進の一分野として、行政データの公開が行われてきましたが、さらに対象の拡大、原始データに近い詳細データの提供が求められています。
 さらにビッグデータの例のように、民間企業によるオープンデータの提供も求められています。

詳細:オープンデータ

AI(Artificial Intelligence、人工知能)

2010年代末になると、AIという用語は日常用語になりました。ビッグデータを分析することにより、特定の分野では、人間の思考能力を超えるようになり、急速にその分野を拡大しています。
さらに、その技術をロボットや自動車などの機器に取り込むことにより、機器や設備の自律化が実現してきました。

詳細:人工知能(AI)とニューロコンピュータ

ビッグデータ、AIの応用

IoT
「モノのインターネット」ですが、情報・通信機器だけでなく、産業機械から消費材まであらゆる「モノ」に通信機能を持たせ、インターネットを介して通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことです。
さらに、AIを組み合わせることにより、自動で認識・判断・動作する機能が可能になってきました。
詳細:IoT(Internet of Things)
ロボット
以前から産業用ロボットによる無人工場が普及していますが、2000年代になると、ヒューマノイド型ロボット(人間の形をした2足歩行ロボット)が実用化され、介護や危険作業への利用が進んできました。
GPS(Global Positioning System, 全地球測位網)
位置情報システムとは、現在自分のいる場所を知るシステムです。
人工衛星からの電波を受けて、さらに、GPS基地局により補正され、受信者の位置を算出します。
GPSは、広い分野で利用されています。代表的なのが携帯電話やカーナビ(カーナビゲーション)です。
自動車自動走行システム
地図情報の整備、カーナビの精度向上、レーダ技術や解析技術の発展などにより、自動車の自動運転が実用化されてきました。それにもAIの活用が注目されています。
ハンドル操作と加速・減速などの運転操作をを自動化するレベルはすでに実用化されており、限られた条件での無人運転が実験され一部実現されるようになってきました。

スマート化

ビッグデータを分析することにより、社会システムの最適化を図ることです。近年はAIを活用することにより高度化が進んでいます。

スマートグリッド

スマートグリッド(Smart Grid)は狭義には、ICT技術を活用して、発電と電力消費を総合的に制御し,再生可能エネルギーの活用,安定的な電力供給,最適な需給調整を図るシステムですが、より一般的には、社会インフラ、特にライフラインの電力、水道、ガスなどについて、供給網を最適に制御するシステムです。地域の供給量や需要量をリアルタイムに測定して、省エネ対策に大きな効果があると期待されています。
 電力消費をリアルタイムで把握するには、家庭での電力メータや水道メータに発信機能を付けて事業者に送信するスマートメータ化が重要になります。検針員の人手不足対策とあわせて、急速に切り替わってきました。

スマートシティ

スマートコミュニティともいいます。スマートグリッドをより広域化・高度化して、都市全体を、対象に再生可能エネルギーの効率的利用による省資源化を徹底した環境配慮型都市です。
 また、公共交通情報や道路渋滞情報などの把握・解析による交通システムの制御や整備、医療や介護などの福祉システム、災害での各種センサ情報や避難経路などもスマートシティの大きな要素です。
 すなわち、ICTの高度活用、特にビッグデータの活用による都市機能全般の合理化を図る概念で、国や自治体、デベロッパなども大きな関心をもっています。

インダストリー4.0(スマートファクトリー)

ドイツ政府が進めている国家プロジェクトで第4次産業革命そのものともいえますが、特に製造業分野での構造改革を指しています。

  • ダイナミックセル生産:ライン生産とセル生産の長所をミックスして、ロボットと工程間通信の活用により、進化させた生産方式
  • マスカスタマイゼーション:マスプロダクション(大量生産)とカスタマイゼーション(受注生産)のミックス。企業間のダイナミックセル生産を組み合わせて、仕様の異なる製品の生産をグループ化します。
  • サイバーフィジカルシステム:フィジカル世界(実世界)にある多様なデータを、サイバー空間(ネットワークやコンピュータシステム)で処理し、利用状況や消費者ニーズに即応したものづくりを実現します。

個人対象サービスの拡大

シェアリング・エコノミー

インターネットを通じて、サービスの利用者と提供者を素早くマッチングさせる仕組みです。
住宅の空き部屋等を活用した民泊サービス、自動車の貸借や自家用車での移動サービス、衣服等の貸借、専門的なスキルの提供サービスなど多様なマッチングをするWebサイトが出現しています。

フィンテック

ファイナンス(金融)+テクノロジー(技術)の造語で、ITを活用した革新的な金融サービス事業のことです。
預金やクレジットカードの利用履歴をスマートフォンで集約するサービス、個人間の送金・貸借の仲介サービスなどを、従来の金融機関からのサービスを受けられない個人や中小企業に提供する仕組みです。


グリーンIT

環境志向の高まりのうち、特にIT関連分野ではグリーンITといわれるようになりました。
 グリーンITには二つの側面があります。
 ・Green Of IT:IT機器の生産や使用でのグリーン化
 ・Green By IT:ITの活用による他産業や社会のグリーン化

Green Of IT:IT機器のグリーン化

米国の環境保護庁は、グリーンITとは「環境配慮の原則をITにも適用したものであり、温暖化防止への配慮はもちろんのこと、IT製品製造時の有害物質含有量の最小化、データセンターのエネルギーや環境面での影響への配慮、さらには、リサイクルへの配慮等も含めた包括的な考え方である」と定義しています。

  • IT機器の低電力化
    CPUや周辺機器の設計により、消費電力を少なくする努力が行われています。
    パソコンを使わないときには電力を最小限に抑えたスリープ状態にするなどの工夫が行われています。
  • IT機器を再利用しやすくするために、解体を容易にする設計をしたり、再利用しやすい材料を使用することが行われています。
  • 機器の仮想化
    利用面では、サーバの仮想化などにより、サーバの個数を減らしたり、稼働台数を自動的に調整したりする技術が発展してきました。

Green By IT:ITの活用によるグリーン化

グリーンITをIT機器のグリーン化と定義するだけでは不十分であり、ITを活用して、企業活動で消費するエネルギーを削減することも考慮する必要があります。
上述のスマートグリッドやスマートシティもGreen By ITを意識したものだとえます。

  • 生産の合理化
    ITを活用することにより、製品の最適設計や生産工程の最適化(エネルギー削減)を行うことができます。
  • 流通の合理化
    ITを活用することにより、トラックの配送経路を最適化して走行距離を短縮するとか、中間基地を廃止することにより、荷物の積み下ろしにかかる作業を削減することができます。
  • 人の移動の削減
    テレワークにより会社への通勤回数を減らしたり、電子会議により出張の回数を減らすことができます。
  • ペーパーレス
    グループウェアの活用により、紙への印刷や配布などを少なくすることができます。

グリーンIT推進制度

グリーン調達

IT機器に限定しません。品質や価格の要件を満たすだけでなく,環境負荷の小さな製品やサービスを,環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入することです。

グリーン購入法

循環型社会の形成のためには、「再生品等の供給面の取組」に加え、「需要面からの取組が重要である」という観点から、平成12年5月に循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとして「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO100.html)が制定されました。
 環境への負荷低減のための原材料や部品を利用、使用による温室効果ガス等の低減、廃棄時の再生利用による廃棄物の発生抑制などの努力義務を定めています。IT機器もこれに含まれます。パソコン等を勝手に廃棄してはならないのはこの法律があるからです。

3R

3Rとは、Reduce(廃棄物の発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)を推進することです。
「資源有効利用促進法」に基づき、パソコン等には自主回収及び再資源化が義務付けられています。パソコン3R推進センターが推進しています。

  • 個人の場合:製造したメーカが回収義務があります。回収料金はPCリサイクルマークがあるものは無償、ないものは有料になります。自作パソコンなどは、自治体による回収ができますが、有料になります。
  • 法人の場合:産業廃棄物として、廃棄処分記録が義務付けられています。通常はパソコンメーカ、システムベンダ、産業廃棄物事業者などに委託しますが有料です。自治体回収はできません。

JEITAによる推進

国は、電子情報技術産業協会(JEITA)を中核推進機関として、グリーンIT推進を行っています。JEITAは2013年に「ITソリューションによる社会全体の省エネ貢献量~グリーン by IT 貢献量評価の考え方~ 解説書」(http://home.jeita.or.jp/greenit-pc/activity/reporting/110628/pdf/survey02.pdf)を公表しました。グリーン by IT 効果の基本的な計算方法 などが示されています。


環境改善推進関連

社会全般

環境アセスメント
環境影響評価ともいいます。大規模開発事業等の計画時に,環境への影響を事前調査すること。事業実施の各段階において環境への影響を測定して公表しモニタリングすること。
ゼロ・エミッション(zero emission)
自然界への汚染排出をゼロにすること。単に生産段階での排出を減らすだけでなく,消費や廃棄の段階での影響にも配慮して原材料や生産工程を見直すことが重要。
EuP(Energy-using Product)
環境配慮設計に関する,EU(欧州連合)指令です。
ISO14020,エコマーク制度
第三者が一定の基準に基づいて環境保全に資する製品を認定する国際規格のことです。こに基準に適合していることを第三者が認証し、合格するとエコマークの表示ができます。
詳細;ISO 14000(JIS Q 14000)環境マネジメントシステム
グリーン会計の導入
正式には環境会計といいます。環境省は「事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定し伝達する仕組み」と定義しています。
 カネをベースにした原価計算と同様に、企業活動で要したエネルギーをCO2排出量に換算して集計することをグリーン会計といいます。排出量規制のための報告義務として作成されることもありますが、エコに積極的な企業では、原単位あたりの排出量を分析して、改善の方法を見出したり、経年変化を記録して実績評価に用いています。これを行うことは、コスト削減にもつながる効果も大きいといわれています。
環境格付融資
金融機関が融資をする際に、融資先の企業の環境配慮活動を評価し、その評価を考慮して、金利など融資条件の設定や、融資可否を判断することです。
高い環境格付を得ることにより、環境格付融資に係る利子補給事業を実施しています。また、企業が環境保全活動を実施していることをアピールして,投資家から環境保全のための資金を募ることができます。

個別業界での対応

新エネルギー関連

RPS法(Renewables Portfolio Standard;新エネルギー利用特別措置法)
原子力発電や火力発電から、太陽光発電や風力発電など環境負荷の低いエネルギーへのシフトを推進するための法律です。
電力会社に対して、定められた目標年までに一定割合以上の再生可能エネルギー発電の導入を義務付けるものです。その後、全量性の固定価格買取制度が始まり廃止へと移行しています
グリーン電力証書。TGC(Tradable Green Certificates)
自然エネルギーによって発電されたグリーン電力を,市場で取引可能にする証書のことです。
消費者が電力会社との際、グリーン電力証書を購入すると、その購入分が再生可能エネルギー発電事業者に助成金として渡ります。一種の寄付のようですが、グリーン電力証書は、金融商品として金融市場で取引できます。

データセンターのグリーン化

電力消費が大きい施設の一つにデータセンターがあります。需要が増大し大規模データセンターが急速に増加しています。そのため、データセンターのグリーン化対策が注目されています。

PUE(Power Usage Effectiveness)
データセンターなどのIT関連施設のエネルギー効率を表す指標の一つで、施設の全消費電力をIT機器の消費電力で割ったものです。PUE値が小さいほど、省電力対策が進んでいるといえます。
冷却方法の進化
情報機器は多くの熱を発生します。従来の空調機は空冷で室内全体を冷却していましたが、近年では水冷にして熱発生源に近い熱だまり場所に集中して冷却する方式が増加しています。そこにAI技術やIoT、ビッグデータも活用し、全体最適化を図る取り組みもはじまっています。さらに、データセンタの排熱を他ビルの暖房や温室栽培に活用する試みも行われています。
直流給電
データセンタなどでは大量の情報機器を用いています。従来は、電力会社などからの系統電力は交流→無停電電源装置 (USP) で直流変換して蓄電池を充電→各機器までの電力線は交流→各機器は直流で動作というように交流⇔直流の変換(AD変換)が3段階で行われていました。
(中間の電力線が交流なのは、各機器では動作電圧が異なるからです。交流での電圧変換にはトランス(変圧器)があり、単純な機能で動作します。それに対して直流での電圧変換にはDC/DCコンバータを使いますが、複雑な回路で高価でした。)
AD変換では多大な電力ロスを生じます。その解決として直流給電が注目されています。
  • OCP:データセンター内部での直流給電
    USP以降をすべて直流にすることです。各機器や電力線などの対応のために、標準化が求められます。世界的なプロジェクトとしてOCP(Open Compute Project)が、最高効率の仕様を策定し、それを公開・共有する活動を行っています。
  • HVDC:系統電力の直流給電
    HVLC(High Voltage Direct Current)とは、高電圧直流のことです。HVLC技術の発展により、データセンタなどへの系統電力を直流にすることができるようになりました。
    高電圧にすることにより発電効率が高まり、送電ロスが低くなります。電流を一方向にだけ流す機器を整流器といいますが、近年、高電圧直流用の整流器が開発され、それが高電圧直流送電を進めた要因でもあります。
データセンターにも照明や空調など交流で動作する機器があります。これらも直流給電で動作させる技術もあります。
ホワイトデータセンター
話題を呼んだ省電力対策に、大電力消費の原因となる冷却を、雪氷熱の利用で行おうというのがあります。通常の都市型データセンターのPUE値が1.8~1.5なのに対して、雪冷房を使用した場合1.1になるといわれています。

エコファーム(農業のグリーン化)

環境配慮型農業。無農薬栽培,廃棄物の堆肥等へのリサイクル,里山の保護,流通の省エネ化など総合的な対策を講じる。(エネファームは、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)


国のIT推進戦略

ICT利活用の向上は、国の経済や社会に大きな貢献をすることから、国は積極的なIT推進戦略を進めてきました。

IT推進戦略の推移

IT基本法

2000年11月にIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)が成立,2001年1月から施行されました。ITの推進を国の重要政策であるとし,その方向付けと推進方法を示したものです。

(定義) 第1条
 この法律は、
  情報通信技術の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済
  構造の変化に適確に対応することの緊要性
 にかんがみ、
  ・高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に
   係る基本方針を定め、
  ・国及び地方公共団体の責務を明らかにし、
  並びに
  ・高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)を設置する
  とともに、
  ・高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画の作成について定める
 ことにより、
  高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進する
 ことを目的とする。

IT戦略の推進

省庁を統合したIT推進戦略実施するために、IT戦略本部(現IT総合戦略本部)を内閣府に設置しました。そして、IT戦略本部は、2001年にe-Japan戦略を策定しました。
 e-Japan戦略では、2005年までに世界最先端のIT国家となることを目標に,重点4分野を掲げました。

  • 超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策:ブロードバンド網の整備と通信料金の低廉化です。
  • 電子商取引ルールと新たな環境整備:電子商取引を阻害する規制の改革や電子契約ルールや消費者保護等に関する法制整備です。
  • 電子政府の実現:行政(国・地方公共団体)内部の電子化と官民接点のオンライン化があります。
  • 人材育成の強化:一般教育では全国民がインターネットを使いこなせるよう、あらゆる人へのIT学習機会の付与。高度IT人材の育成のための大学改革や外国人IT技術者の受入など。

その後、IT政策達成の状況やITの発展と影響などにより、セキュリティ対策、デジタルデバイド解消、ICT高度利用など重点や切り口は変わりましたが、現在に至るまで連続的に中期的な戦略が策定され推進されてきました。

詳細: IT基本法とe-Japan国のIT政策の概要

電子政府・電子自治体

行政内部のIT活用
各部署業務の効率化、部署間の情報共有による重複業務の排除などを実現するために、ITを利用することです。
  • ワンストップサービス:各種の届出や申請に多くの役所に出かけなければならないなどサービスの悪いことが指摘されていました。行政の情報共有を進めることにより、最初の窓口で必要情報を提出すれば、それが関係部署に伝達することができます。
官民接点のIT活用
  • 情報のWeb公開:従来は広報紙などで配布していた情報だけでなく、議会での議事録、調査結果など市民の知りたい情報をWebで公開します。
  • 申請等のオンライン化:市営施設の予約、納税申請、行政調達への入札などをオンラインで行うことです。365日24間、窓口が開いているようなサービスができます。
    なお、公共施設などに地方自治体が設置し行政手続きや公共的な案内などに利用する端末を行政キオスク端末といいます。

オンライン化を進める法律

電子署名法
行政に提出する書類に本人を示すために実印押印が必要でした。電子書類で、電子署名が実印と同じ法的効力をもつことを定めた法律です。これは、民間での商取引にも広く用いられ、電子商取引の基礎になっています。
詳細:電子署名
e-文書法
領収書など税務報告に関連する情報を紙文書ではなく、デジタルデータでの保存を認める各種の法的措置を集大成として策定した法律(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)です。
詳細:e-文書法

個人台帳と行政ネットワーク

行政で扱うデータの多くは住民個人に関するものですから、行政業務のIT化では、住民個人に番号を付けてコード化して、部署間で共通して利用するのが適切です。反面、行政データではプライバシに関する事項が多いので、正規の担当者以外にアクセスされるのは困りますので、多目的利用に関しては厳しい規制が必要です。

LGWAN(Local Government Wide Area Network:総合行政ネットワーク)
地方自治体のコンピュータネットワークを相互接続した広域ネットワークです。中央省庁間の政府共通ネットワーク(霞ヶ関WAN)と相互接続されています。これらは、インターネットからは切り離された閉域ネットワークです。
官民接点のIT活用では、行政の部署からインターネットへの接続が必要です。LGWANとインターネットに接続できるパソコンを峻別し、そのパソコン間のアクセスには厳重な規制が行われています。
住民基本台帳ネットワーク
住民基本台帳とは,住民票の原本のことで、住所・氏名などが記載されています。
住基ネットとは,中央官庁と地方公共団体の間で住民基本台帳情報を共有・利用することを目的としたネットワークシステムです。
住民基本台帳法では,「住民の居住関係の公証,選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り,あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため,住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め,もつて住民の利便を増進するとともに,国及び地方公共団体の行政の合理化に資すること」を目的としています。
マイナンバー法
2013年に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が成立しました。この頃になると、行政の効率化のために多部署間での共通個人コードが重要だとの認識が高まりました。しかし現在は、利用目的を社会保障(福祉、保健、医療など)、税務、災害対策(被災者対策など)など法令で定めた手続に限定しています。
マイナンバーは、行政内部の合理化だけでなく、マイナポータル(情報提供等記録開示システム)として、住民と行政との接点として自分に関する情報を得ることができます。
また、公的個人認証サービスとして、自治体がマイナンバーの電子証明書を発行するサービスがあります。
詳細:マイナンバー法