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ISO 14000(JIS Q 14000)環境マネジメントシステム


ISO 14000(JIS Q 14000)環境マネジメントシステム

環境保全及び汚染の予防をねらいとした環境マネジメントシステムを構築し、実施することを規定した規格。ISO 9001 との両立性が図られており、ISO 9001の認証取得に続いてこれも取得する傾向がみられます。

概要

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が求めれています。その一環として、企業の活動・製品およびサービスによって生じる環境への悪影響を低減し、環境改善への努力をすることがあります。
 しかも、経営者が主導してPDCAサイクルにより継続的に改善するマネジメントシステムとして構築・運営することが求められます。
 ISO 14000は、ISO(国際標準化機構) による環境マネジメントシステム (EMS: Environmental Management Systems) に関する国際規格です。日本ではJIS化され、JIS Q 14000になっています。
 1996年に制定され、その後、環境変化に伴う改訂が行われてきました。

ISO 14001

ISO 14000には多数の規格群がありますが、通常はISO 14001(JIS Q 14001)「環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引」を指します。
その主な内容は次のとおりです。
  4.1 一般要求事項
  4.2 環境方針
  4.3 計画
    4.3.1 環境側面
    4.3.2 法的及びその他の要求事項
    4.3.3 目的、目標及び実施計画
  4.4 実施及び運用
    4.4.1 資源、役割、責任及び権限
    4.4.2 力量、教育訓練及び自覚
    4.4.3 コミュニケーション
    4.4.4 文書類
    4.4.5 文書管理
    4.4.6 運用管理
    4.4.7 緊急事態への準備及び対応
  4.5 点検
    4.5.1 監視及び測定
    4.5.2 順守評価
    4.5.3 不適合並びに是正処置及び予防処置
    4.5.4 記録の管理
    4.5.5 内部監査
  4.6 マネジメントレビュー
 このように、まず経営者が環境方針(ポリシー)として宣言し、P(計画)、D(実施及び運用)、C(点検)、D(レビュー)のPDCAサイクルにより、継続的なマネジメントシステムとして運営させるものとしています。

認定制度

企業が、このEMSを適切に行っていることを社会に示すことにより、社会からの高評価や好感を得ることができます。製品の購入、株価の上昇、人材の獲得などのメリットにつながります。
 他のマネジメントシステム規格と同様に、ISO 14000の認定制度があります。 外部機関である審査登録機関が第三者として審査登録制度に基づき組織を審査し、適合している場合は、公に証明され、登録証書が発行されます。


ISO 14020(JIS Q 14020) 環境ラベル及び宣言

http://kikakurui.com/q/Q14020-1999-01.html

環境に関する情報を適切に伝えることは、消費者が商品を選択するのに必要ですし、それが企業活動や社会を環境配慮型に変えるという大きな力となります。
 商品やサービスの環境に関する情報を、商品パッケージや広告などを通じて、消費者に伝えるものを環境ラベルといいます。環境ラベルの表示は法律で義務付けられたものではありませんが、勝手な表示をしたのでは消費者に正しい情報を与えることができません。そのため環境ラベルは国際規格(ISO14020:環境ラベル及び宣言)が策定され、JIS Q 14020にもなっています。

一般原則

3つのタイプ

「環境ラベル及び宣言」には3つのタイプがあり、それぞれに定義や要求事項が定められています。

エコマーク

https://www.ecomark.jp/about/

エコマークは日本で唯一のタイプⅠ環境ラベルです。
 ISO14020およびISO14024(環境ラベルおよび宣言・タイプⅠ環境ラベル表示・原則および手続き)に準拠し、「自主的で多様な基準に基づいた、第三者の機関によってラベルの使用が認められる制度」です。自社商品にエコマークの認定を受けるには、第三者の認定機関である日本環境協会の審査を受けて合格する必要があります。認定を受けた商品にはエコマークを付けることができます。
 エコマーク制度は、世界エコラベリング・ネットワーク(GlobalEcolabellingNetwork:GEN)の監査システムであるGENECISの認定を受けています。

エコマークの対象となる商品は、次に掲げる要件のいずれかに該当し、これを消費者に奨励することが環境保全のために適切であると認められる商品の類型に属するものとします。

  1. その商品の製造、使用、廃棄などによる環境への負荷が、他の同様の商品と比較して相対的に少ないこと
  2. その商品を利用することにより、他の原因から生ずる環境への負荷を低減することができるなど環境保全に寄与する効果が大きいこと

審査では、「資源採取」「製造」「流通」「使用消費」「リサイクル」「廃棄」の商品のライフサイクルを通して環境への影響を総合的に評価します。その環境評価項目は4つの重点領域があります。
 ・省資源と資源循環
 ・地球温暖化の防止
 ・有害物質の制限とコントロール
 ・生物多様性の保全

環境省「環境表示ガイドライン」

https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/guideline/guideline.pdf

本ガイドラインは、自己宣言により環境表示を行う(タイプII)事業者及び事業者団体を主たる対象とし、併せて製品等に関して認証を行う第三者機関等にも参考となるよう、グリーン購入を促進させる上で必要となる情報提供のあり方等について整理し、とりまとめたものです。具体的には、
① 環境表示が消費者にとって理解されやすく共感できる有益な情報として機能すること
② 各事業者及び団体が適切な環境情報を提供するための体制を構築し、様々な利害関係者(ステークホルダー)との環境情報に関する相互理解を深めていくこと
を目的としています。JIS Q 14020 シリーズへの準拠を基本的な考え方としています。

本ガイドラインでは、タイプII規格の要求事項について、次の5つを基本項目として定めています。
  ① あいまいな表現や環境主張は行わないこと
  ② 環境主張の内容に説明文を付けること
  ③ 環境主張の検証に必要なデータ及び評価方法が提供可能であること
  ④ 製品又は工程における比較主張は LCA 評価、数値等により適切になされていること
  ⑤ 評価及び検証のための情報にアクセスが可能であること
 そして、ISO/JIS のタイプII規格の要求事項に係るチェックリストを掲げています。

シンボルマークの利用については「第三者機関等が運営する認証システム等のシンボルマークを表示する場合、シンボルマークの近傍又は消費者が認識しやすい箇所に説明文(シンボルマークの意味、使用基準等)を表示すること、又は説明文がトレースできること」を推奨しています。


その他環境分野での主な法律や政策

循環型社会形成推進基本法

2000年に策定された循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとなる法律です。これにより、廃棄物・リサイクル政策の基盤が確立されました。そのポイントが3Rです。環境省が中心となり「3R推進キャンペーン」を実施しています。
 ・Reduce(ごみの発生抑制)
 ・Reuse(再使用)
 ・Recycle(再資源化)

グリーン購入法

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO100.html

循環型社会の形成のためには、「再生品等の供給面の取組」に加え、「需要面からの取組が重要である」という観点から、2000年に、循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとして「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」が制定されました。
 国等の公的機関が率先して環境物品等(環境負荷低減に資する製品・サービス)の調達を推進するとともに、環境物品等に関する適切な情報提供を促進することにより、需要の転換を図り, 持続的発展が可能な社会の構築を推進することを目指しています。また、国等の各機関の取組に関することのほか、地方公共団体、事業者及び国民の責務などについても定めています。

欧州議会は、EuP指令(Directive on Eco-Design of Energy Using Products)を採択しました。家電や電子機器,照明機器,暖房器具などを対象に、一定の省エネ基準を満たすことを求めています。

リサイクル法

資源、廃棄物などの分別回収・再資源化・再利用について定めた法律で、対象の種類ごとに、いくつかの法律に分かれています。IT関連では、次の3つがあります。

地球温暖化対策推進法

温室効果ガスの排出の抑制等のための普及啓発の推進及び国際協力に関する事項を定めた法律です。国際的な排出規制には京都議定書やパリ協定などがありますが、その達成のために国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組みを定めたものです。

温室効果ガスを削減するために,企業や国が排出枠を決め、その達成を義務付けています(二酸化炭素発生抑制対策として化石燃料に含まれる炭素量に応じて課税する環境税の導入も検討されています)。また、排出枠の超過分と余裕分を,企業や国が市場で取引する排出量取引制度もあります。
 事業者に対して排出抑制だけでなく、日常生活における排出抑制への寄与の努力義務が定められています。環境ラベルへの取組みもその一つです。

風力発電や太陽光発電などのクリーン電力の推進が期待されます。その環境付加価値の分を証書化したものがグリーン電力証書です。利用者は、電力会社からの電力料金に上乗せしてグリーン電力証書を購入分を支払います。その上乗せ分は、グリーン電力発電事業者に助成金として渡る仕組みです。このグリーン電力証書は証券化しており、発電事業者間で売買できます。グリーン電力証書制度は、再生可能エネルギー助成手法の一つですが、排出量取引制度と似たものだといえましょう。

環境会計

環境会計とは、企業等が、持続可能な発展を目指して、社会との良好な関係を保ちつつ、環境保全への取組を効率的かつ効果的に推進していくことを目的として、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定し伝達する仕組みです。

企業の社会的責任として、環境保全活動が重視されています。環境会計を導入することにより、社外的には消費者や取引先、投資家、地域住民、行政等の外部の利害関係者に、環境報告書として定量的な貢献度を示すことができます。社内てkには費用対効果を明確に示し、経営戦略の決定に資することができます。しかも、環境対策費用の一部については、法人税から控除されるなどの税制優遇措置がとられています。

環境省では、「環境会計導入のためのガイドライン」( http://www.env.go.jp/press/files/jp/1044.html)や「環境会計ガイドブック」( https://www.env.go.jp/policy/kaikei/guide05.pdf)など、環境会計の普及b推進を図っています。