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コンプライアンスとCSR(企業の社会的責任)

キーワード

ゴーイングコンサーン、継続的事業体、コンプライアンス、CSR、企業の社会的責任、グリーンIT、コーポレート・ガバナンス


企業には、企業が社会の一員であることを認識して、法律に従うだけでなく、社会からの期待を実現することが求められます。

ゴーイングコンサーン

ゴーイングコンサーン(Going Concern:継続企業の前提、継続的事業体)とは、企業が将来にわたって事業を継続していくという前提のことをいいます。
 そもそもは、企業会計などの前提条件の一つで、企業活動が無期限に続くという仮定を前提に会計制度を構築するという概念ですが、企業が社会の一員として、社会的な存在意義を認めてもらうという企業市民企業の社会的責任の概念にもなってきました。
 さらに、災害時などの緊急事態において、ライフラインの確保や生活物資の供給など、地域社会生活の維持のために企業活動の継続が重要だとの認識が高まりました。

コンプライアンス

コンプライアンス(Compliance:法令遵守)とは、単に法律だけではなく,業界の自主規定,社内規定、社会通念なども含むルールに従うことをいいます。
 企業も個人と同様に民法や刑法などの法律の対象になりますが、商法、会社法、労働法など企業を対象にした法律が多くあります。特に近年は虚偽の財務報告、食品の虚偽表示、個人情報の漏洩などが社会的に大きな問題になり、コンプライアンスの徹底が重視されています。そのため、経営者がコンプライアンスに関する基本的方針を内外に示し、マネジメン企業倫理規程トシステムとして継続的に改善していくことが期待されます。それをコンプライアンスポリシーといい、その具体的な推進規程を倫理規程といいます。
 IT関連では、情報システムの構築や情報セキュリティ対策の分野で、企業が社会に与える影響が大きいことから、法律だけでなく、ISOやJISなどの規格、経済産業省などによる各種基準やガイドラインが策定されており、それらを遵守することが期待されています。

CSR(企業の社会的責任)

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が社会の一員として、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家、社会など)に責任をもつ企業活動を行うことです。
 すなわち、企業にはCSRが求められており、CSRの最も基本的な事項がコンプライアンスであるといえます。
 コンプライアンス以外にCSRとして期待されている分野には、法人税等の納税、優れた製品開発と安定供給、雇用の確保、地域の発展、地球環境保護などがあります。
 IT関連では、次のことが話題になっています。

SRI(社会的責任投資)
SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)とは、株投資家が、運用上の投資基準として、従来の財務的側面だけでなく、企業として社会的責任も考慮して投資対象を選ぶことです。特に環境問題が重視されてきてから、企業の環境保護への取組み姿勢が問われ、積極的な企業は評価が高丸ようになってきました。
環境会計
企業もそれに伴い、環境保全のコストとその活動により得られた効果を貨幣換算した会計を発表するようになってきました。財務諸表のように義務付けらたものではありませんが、国も「環境会計ガイドライン」を策定するなど環境会計の普及を支援しています。
レピュテーションリスク
reputationとは評判のこと。コンプライアンスやCSRが不十分だと、企業に対する否定的な評判が広まり、信用やブランド価値が低下し、損失を被る危険度が高まります。特にSNSの普及などにより悪い噂は拡散しやすいので、平素からコンプライアンスやCSRへの取組みを公表していることが大切です。

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスとは「企業統治」と訳されますが、「企業は誰のものか」を再認識して、経営者の不正や独断をチェックすることを指します。制度的には企業の持主は株主で、経営の最高意思決定機関は株主総会であり、そこで財務諸表等により経営報告の承認が行われ、経営方針が決定されるのですが、粉飾決算が発生したり、説明責任が不十分なこともあります。
 そのため、財務報告における内部統制などの制度強化が行われていますが、制度だけでなく経営者のモラルとしても、コーポレート・ガバナンスを重視するようになりました。さらに、「企業は誰のものか」は、単に株主だけではなく、あらゆるステークホルダーのものだとの意識が高まり、コンプライアンスやCSRの観点から、コーポレート・ガバナンスをとらえるようになってきました。


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