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グリーンIT


企業が環境保全対策を行うことは社会的責任です。東京都のように、事務所単位でCO2排出量規制を行う自治体もあります。
 一方、IT活用の発展により、事務所内のIT機器が多くなってきました。IT機器を製造する過程、利用することによる電力消費は、環境破壊につながります。機器の増加、利用時間の増加をしてもエネルギー消費を減らすことが求められます。
 さらに、インターネット利用の増大、SaaSやクラウドコンピュータの普及により、巨大なデータセンターが多数出現してきました。そこでは、サーバ類のIT機器が発生する熱だけでなく、空調装置を稼働させることによる電力消費が大きくなっています。

Green Of IT:IT機器のグリーン化

米国の環境保護庁は、グリーンITとは「環境配慮の原則をITにも適用したものであり、温暖化防止への配慮はもちろんのこと、IT製品製造時の有害物質含有量の最小化、データセンターのエネルギーや環境面での影響への配慮、さらには、リサイクルへの配慮等も含めた包括的な考え方である」と定義しています。

グリーン購入法

循環型社会の形成のためには、「再生品等の供給面の取組」に加え、「需要面からの取組が重要である」という観点から、平成12年5月に循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとして「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO100.html)が制定されました。
 環境への負荷低減のための原材料や部品を利用、使用による温室効果ガス等の低減、廃棄時の再生利用による廃棄物の発生抑制などの努力義務を定めています。IT機器もこれに含まれます。パソコン等を勝手に廃棄してはならないのはこの法律があるからです。

欧州議会は、EuP指令(Directive on Eco-Design of Energy Using Products)を採択しました。家電や電子機器,照明機器,暖房器具などを対象に、一定の省エネ基準を満たすことを求めています。

Green By IT:ITの活用によるグリーン化

グリーンITをIT機器のグリーン化と定義するだけでは不十分であり、ITを活用して、企業活動で消費するエネルギーを削減することも考慮する必要があります。

データセンターのグリーン化

電力消費が大きい施設の一つにデータセンターがあります。需要が増大し大規模データセンターが急速に増加しています。そのため、データセンターのグリーン化対策が注目されています。

PUE(Power Usage Effectiveness)
データセンターなどのIT関連施設のエネルギー効率を表す指標の一つで、施設の全消費電力をIT機器の消費電力で割ったものです。PUE値が小さいほど、省電力対策が進んでいるといえます。
ホワイトデータセンター
話題を呼んだ省電力対策に、大電力消費の原因となる冷却を、雪氷熱の利用で行おうというのがあります。通常の都市型データセンターのPUE値が1.8~1.5なのに対して、雪冷房を使用した場合1.1になるといわれています。

国のグリーンIT推進

グリーン会計の導入
正式には環境会計といいます。環境省は「事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定し伝達する仕組み」と定義しています。
 カネをベースにした原価計算と同様に、企業活動で要したエネルギーをCO2排出量に換算して集計することをグリーン会計といいます。排出量規制のための報告義務として作成されることもありますが、エコに積極的な企業では、原単位あたりの排出量を分析して、改善の方法を見出したり、経年変化を記録して実績評価に用いています。これを行うことは、コスト削減にもつながる効果も大きいといわれています。
JEITA
国は、電子情報技術産業協会(JEITA)を中核推進機関として、グリーンIT推進を行っています。JEITAは2013年に「ITソリューションによる社会全体の省エネ貢献量~グリーン by IT 貢献量評価の考え方~ 解説書」(http://home.jeita.or.jp/greenit-pc/activity/reporting/110628/pdf/survey02.pdf)を公表しました。グリーン by IT 効果の基本的な計算方法 などが示されています。