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企業におけるIT関連費用

キーワード

IT関連投資の規模、対売上高比率1%、業種格差、規模格差、費用構成


ここで対象としているITとは、主としてIT部門が把握している分野を対象としており、生産設備や機器の制御システムなどは含まれていないことがあります。

IT関連投資の規模は増加している

企業のIT関連投資は、景気の影響で左右されますが、長期的には増大しており、現在では、絶対額では約15兆円、投資全体に占める比率は25%程度になっています(図示)
 そのため、IT投資の費用対効果を重視する必要があります。

IT関連費用は売上高の1%程度

全産業では、IT関連経費の対売上高比率は約1%、従業者1人あたりでは60万円/人程度です(図示)。これらの値は、近年は低下傾向にあります。これは景気の影響だけでなく、ハードウェアなどの価格の低下したことが影響しています。(図示)

当然ながら、これらの値は、業種により大きく異なります(図示)
 情報サービス業は、他社のIT化を支援する産業ですからITへの投資が大きいのは当然です。。また、金融・保険業では大量のデータをコンピュータで処理しています。これらを、通常の製造業や小売業と同列にするのは不適切です。
 この2業種を除外すると(新聞・出版業もIT投資が高いのですが、年度によりばらつきが多いので、除外対象にはしていません)、対売上高比率も1人あたりの費用も、かなり低くなります。
 総じて製造業は非製造業よりも低く、非製造業では卸売業や小売業が低い傾向があります。これらの業種では工場や店舗などの従業員が多くITを使うオフィス業務要員の比率が少ないこと、売上高に影響する原価のうち原料や商品が多く、ITの割合が低いことに起因するので、これらの業種がIT活用で遅れているとするのは不適切です(図示、対売上高比率)(図示、一人当たり費用)

大企業に対して中小企業(定義)はIT化が遅れているといわれます。対売上比率では、あまり差はないのですが、従業者1人当たりの費用では、中小企業は大企業に比べて小さい状況にあります(図示)
 アンケート調査では、あまり差がない結果になることが多いのですが、IT関連での調査に回答する中小企業は、IT関連企業やITに高い関心をもつ企業が多いからで、実際にはもっと大きな格差があると考えられます。

費用構成ではハードウェアの割合は約20%、人件費の割合が高い

ハードウェアの価格低下(図示・再掲)により。IT関連費用におけるコンピュータ(本体および周辺機器)の占める割合は低下しており、現在では25%程度です。 (図示)
 それに対して、企業のIT適用業務は広範になり、システムの巨大化・複雑化が進んでいます。ソフトウェアやサービスの割合が多くなっています。ソフトウェアには、購入ソフトウェアと自社仕様で外注して開発したカスタムソフトウェアがあります。企業では、カスタムソフトウェアの比率が高いのです。その費用の大部分は開発先ベンダの人件費です。
 ここでのサービスとは、運用・保守委託料、計算処理委託、外部派遣要員人件費等で、その多くは外注先の人件費だといえます。
 その他に、社内で発生する費用に、コンピュータ室の設備、電力、消耗品などがありますが、大部分を占めるのはIT部員などの人件費です。
 ソフトウェアの開発やサービスは、社内業務を社外に依頼しただけだと考えれば、「人」にかかる費用の割合はかなり高くなり、全支出の半分以上を占めると推定されます。


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