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DSS(意思決定支援システム)

キーワード

DSS、情報検索系システム、TSS


1970年代の中頃になると、TSS(Time Sharing System:時分割方式)の技術が普及してきました。これは、大型コンピュータ(汎用コンピュータとかメインフレームという)に多くの端末(パソコンのようなもの)を通信回線で接続して、端末からメインフレームを共同利用する技術です。(参照:「TSS」
 当初はシステム部門でのプログラムの作成に用いられましたが、1970年代の後半になると、意思決定者が自ら端末を操作して、コンピュータと対話しながら情報を得られるようになりました。MIS時代の「紙の洪水」が解決するようになったのです。このような意思決定を支援することを目的とした利用形態をDSS(Decision Support System:意思決定支援システム)といいます。

DSSの一つの分野()に、基幹業務系システムで収集蓄積したデータを、エンドユーザ(利用部門の人)が利用しやすい形式に整理して公開し、エンドユーザが利用しやすいツールを用いて、任意の切り口で検索加工する利用形態があります。

(広義の)DSSは,(狭義の)DSS(Decision Support System:意思決定支援システム「モデル指向型DSS」)とESS(Executive Support System:経営者支援システム「データ指向型DSS」。EISともいう)に区分できます。
 (狭義の)DSSは,コンピュータを用いて実験をするような使い方です。情報技術的に見れば,データベースとそれを多様に加工するモデルベース(予測モデルとか予想財務シミュレーションモデルなど)を持ち,それを対話的な一般のユーザにも使いやすいツールで処理する形態だといえます。現在では、このような利用は表計算ソフトにも組み込まれています。
 ESSは,基幹業務系システムで収集蓄積したデータを,経営者が見やすい形に編集したファイルを多数作っておき,経営者が必要に応じて情報を入手できるようにしたシステムです。この分野はその後,経営者だけでなく一般社員までを対象とした情報検索系システムとして,1980年代を通して急速に普及してきました。

1980年代になると、経理部や営業部など一般の部門(利用部門)にも端末が設置され、そこの人たちがエンドユーザとして利用するようになりました。その頃になると、エンドユーザが簡単に習得し使える簡易言語が普及してきました。それで、エンドユーザが自分で任意の切り口でデータの検索や集計ができるようになったのです。このような「必要な人が必要な情報を必要なときに自ら入手できる」利用形態を、情報検索系システムといいます。(参照:「情報検索系システム」「日常業務への適用」「計画業務への適用」

情報検索系システムの普及は、歴史的に大きな意義があります。
 これまでは、コンピュータの利用はシステム部員に限定されていました。エンドユーザが情報を必要としたときは、システム部門に依頼していたのです。業務が高度化すると多様な情報が必要になりますが、それを数少ないシステム部門に依頼していたのでは時間がかかりますし、システム部門が硬直化してしまいます。
 情報検索系システムが普及すれば、システム部門は個々の帳票ではなく、その元となるデータを使いやすい形式に整理して公開れば、個々の帳票はエンドユーザが自分で加工して取り出せます。コンピュータ利用の大衆化が始まったのです。
 比喩でいえば、これまではシステム部門が運航する新幹線を利用していたのを、自家用車を自分で運転するようになったのです。そしてシステム部門はタクシードライバーになるのではなく、道路環境の整備や運転技術の普及の係になったのです。
 情報検索系システムは、1990年代になるとデータウェアハウス、2000年代になると、BI(ビジネスインテリジェンス)へと発展します。


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