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MIS(経営情報システム)

キーワード

MIS(経営情報システム)、組織のフラット化、意思決定の迅速化


コンピュータに企業活動のデータが蓄積されてくると、そのデータを適切に加工することで、経営に役立つ情報が容易に得られます。そのような観点から、1960年代後半にはMIS(Management Information System:経営情報システム)という概念が重視されるようになりました。日本では、1967年に日本生産性本部が「MIS視察団」を米国に派遣、当時の各界のオピニオンリーダーが参加し、その報告書が大きな反響を呼び、急速に普及しました。

経営者や管理者は、組織の管理統制、適切な意思決定をする任務があります。それには、状況を即座に正確に把握する必要がありますし、多様な切り口で加工した情報が必要になります。
 ところが、コンピュータ導入以前では、当月の売上や在庫などが確定するのが翌月の半ばになることが多かったのです。また、ある商品の売り上げの推移など、新しい切り口で集計した情報がほしいと思っても、それには多大な作業になり部下の業務に差しつかえるので、指示をためらうことが多かったのです。
 コンピュータの長所は、コンピュータにあるデータを、迅速に多様に加工できることです。それを活用すれば、よりよい経営管理ができると期待されたのです。

しかし、当時のコンピュータは、それを実現するにはあまりにも貧弱でした。

さらに、情報が大量に提供されても、情報の海に溺れることになり、意思決定には有効にならないなど、MISは幻想であると指摘されるようにもなりました(MISではなくMissだ、Mythだと揶揄されました)。MISへの期待が実現できるようになったのは、かなり後の時代になります。

また、コンピュータにより、現場の情報が直接経営者に報告できるので、上からの命令を下に伝え、下からの報告を上に伝えるだけの中間管理職は不要になるし、一人の上司が多数の部下を管理することができるようになるので、組織をフラット化することができると期待されました。(参照:「ITによる組織のフラット化」
 しかし、実際に中間管理職をなくした企業では、かえって活力をなくしたのです。たしかに報告や命令のピン機能としての任務の意義は低下しますが、実際の中間管理職は、上への提案、部下への意識づけ、他部門との調整などにより業務改革・業務改善の要であることが多いのです。
 日本の多くの大企業は、この頃に本社機構での課制を廃止したのですが、課長をなくしたというより、プレイイングマネージャ、チームリーダーという位置づけにしたのです。

(参照:「MISの概念と幻想」


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