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ITによる組織のフラット化

キーワード

組織のフラット化、管理スパン、ピラミッド型組織、文鎮型組織、中間管理職不要論


部長、課長、係長などの職制を中間管理職といいます。中間管理職の機能の一つに、その上司からの指示をブレークダウンして部下に伝え、部下の活動を管理し、その結果を取りまとめて上司に報告する機能があります。
 上司が適切に管理できる部下の人数を管理スパンといいます。極端な例として、左図のように、管理スパンが2人であるとします。担当者が16人なら、管理階層は4階層になり、管理者は15人になります。このような多階層組織をピラミッド型組織といいます。管理スパンを4人にできれば、右図のように、管理階層は2段階になり、管理者数は5人になります。このような管理スパンを大きくすること、すなわち管理階層を少なくすることを組織のフラット化といい、そのような組織を文鎮型組織といいます。

ピラミッド組織と文鎮型組織

組織をフラット化することにより、管理者の数を減らすことができ、全体の人件費を節減できます。また、経営者と一般社員の経路が短くなるため、指示や報告が迅速・正確に伝わりやすくなります。そのためにも、管理スパンを大きくすることが必要なのです。

部下の活動の集計業務を手作業で行っていた頃は、データ量の都合からも管理スパンを大きくすることが困難でした。また、その上司が従来と異なる切り口での集計や分析がほしいと思っても、事務処理が膨大になるため、あきらめることもありました。
 担当者の業務をシステム化すれば、各階層での報告書の作成を自動化できるため、経営者に直接報告できます。しかも、多様な切り口で集計したり、分析したりすることも簡単です。このようなことは、1960年代にも指摘され、MISの概念になりました(☆)。それとともに、単に上からの命令を下に伝え、下からの報告を上に伝えるだけを行うような機能は無用だといわれ、中間管理職不要論もいわれるようになりました。

実際には中間管理職は指示や報告の仲介をしているだけではなく,業務の改善や改革などの任務も行っているのですから,単純に管理スパンの面だけでとらえるのは不適切です。


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