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経営の成熟度

学習のポイント

組織の経営能力を経営品質といい,そのレベルを経営の成熟度といいます。経営戦略策定にあたって,成熟度を向上させることが大切です。

キーワード

経営の成熟度,経営品質,成熟度モデル


成熟度とは、ある分野における組織全体としての認識、取り組み、ルール化などを示す尺度です。成熟度は次の5段階(レベル0を加えれば6段階)で定義されており、成熟度モデルといいます。
 成熟度は、ソフトウェア開発での品質管理を対象としたCMM/CMMIで開発された概念ですが、現在では経営のしかたも経営品質といわれるようになり、この概念が用いられています。

成熟度の図
レベル0 Non-Existent(存在しない)
実施すべき手続きが完全に欠落している。組織は対応すべき問題が存在しているにも関わらず,そのための手続きを導入していない。
レベル1 Initial(初歩的)
問題が存在し,対応する必要があると組織が認識していることを裏付ける証拠は存在する。しかし,標準化された手続きは存在せず,個人ごと,あるいはケースバイケースによる思いつきによる手続きが実施されている。
レベル2 Repeatable(繰り返し可能)
この段階では,手続きが確立され,同じ業務を持つ異なる担当者が良く似た手続きを実施している。しかし,標準的な手続きについての訓練や伝達は存在せず,個人が責任を負うという状況である。個人の知識に依存している程度が高く,過ちが発生しがちである。
レベル3 Defined(定義されている)
プロセスは標準化され,文書化され,訓練により伝達されている。しかし,このようなプロセスは個人に依存しており,逸脱が存在する可能性がある。プロセスは洗練されていないが,実際に行われている規範として公式化されている。
レベル4 Managed(管理されている)
プロセスに対する遵守状況のモニターと測定が可能で,プロセスが有効に機能していない場合には修正が行われる。プロセスは継続的に改善されており,良い実践規範が提供されている。しかし,自動化の程度とツールの利用は限定的であり,統合されずに利用されている。
レベル5 Optimized(最適化)
継続的な改善と他の組織の成熟度との比較の結果により,プロセスは最良の実践規範のレベルとなっている。ITは業務フローを自動化するための統合化された方法として利用され,品質と有効性を改善するためのツールとなっており,組織はITにより適時に(環境変化に)対応することができる。

このように,成熟度とは,ルールが作成されているか、関係者に認識され実施されているか,そのルールが常に改善されているかを示すものなのです。
 また、低い成熟度レベルの組織が、一挙に高いレベルに到達するのは困難です。PDCAのマネジメントサイクルにより、継続的に成長するマネジメントが必要です。

なお,高い経営品質を実現している企業を表彰して,その経営品質をベストプラクティスとして多くの企業が参考できるように公開する制度があり,日本では日本経営品質賞,米国ではマルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MBNQA:The Malcolm Baldrige National Quality Award) ,欧州ではヨーロッパ品質賞があります。


理解度チェック: 正誤問題選択問題