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マネジメントサイクルとPDCA

学習のポイント

本章では,マネジメントの基本の一つであるPDCA(Plan-Do-Check-Act/Action)について理解します。そして,情報システムがこれらのプロセスにどのように支援しているかを理解します。

キーワード

マネジメントサイクル,PDCA、成熟度


PDCAサイクル

経営は継続的活動です。継続的活動を円滑に行うには,PDCA(PLAN(計画)-DO(実施)-CHECK(評価)-ACT(ACTION)(調整・改善))のマネジメントサイクルを円滑にまわすことが重要です。経営管理とは,このマネジメントサイクルを管理することだともいえます。
なお,このCHECKとACTIONのことをモニタリングともいいます。

PDCAの図

マネジメントサイクルに情報システムがどう関係しているかを考えます。

PLAN→計画立案・検討
 計画とは,目標をたててそれを実現するための方法を決めることです。これが不適切ですと,その結果も不適切なものになってしまいます。合理的な意思決定をするには,正しいデータを収集すること,そのデータを多様に分析することが必要です。
 情報システムを構築することにより,明示的に定義されたデータをルールに従って収集できますし,大量のデータを蓄積することができます。
 また,蓄積された大量のデータを多様な切り口で迅速に正確に分析することができます。単純な集計処理だけでなく,次のような人手ではできない加工をすることができます。
データマイニング:大量データの統計的分析により,有用な法則を発見したり,仮説が正しいかどうかを検証する
OR(Operations Research)経営工学の技法を用いて,最適化などの計算をする
シミュレーション:いろいろなケースについて机上実験すること
 このように,面倒な計算処理は情報システムに任せて,人間は考えることに集中できます。
 また,グループウェアやナレッジマネジメントなどにより,関係者が意見を交換することも容易になりますし,インターネットにより外部の情報を収集するのも容易になります。
DO→業務の効率化
 計画は実施されなければ意味がありません。しかも,効果的・効率的に行う必要があります。
 オフィス業務では売上や経理など大量データの処理があります。そのような画一的で繰り返しが多い業務は,コンピュータにさせたほうが迅速で正確ですし安上がりですし,それにより社員を人間でないとできない創造的な業務につかせることができます。基幹業務系システムは,このような面で役に立ちます。
 基幹業務系システムは仕事の仕方をルール化します。それにより,優れた仕事の仕方を情報システムとして構築することにより,このDOのフェーズを合理化することができます。  また,オフィスでは多くの情報が飛び交いますが,電子メールや電子掲示板などのグループウェアの利用により,情報伝達の迅速化や情報の共有化が進みます。
CHECK→状況の把握
 経営活動が計画通りに実施されているかどうかを常に把握する必要があります。
 たとえば,売上の状況や資金の状況を把握することは経営で重要なことですが,翌月のなかばにならないと月末集計が出てこないというのでは困ります。また,その結果が不正確では困ります。情報システムにより,迅速で正確な円滑に行うことができます。
 定例的・定型的な報告は基幹業務系システムで得られますし,情報検索系システムを推進することにより,状況に応じた非定型的な情報を非定例的に得ることができます。
ACT(ACTION)→調整・改善
 状況把握の結果,計画が達成できないようなあれば,なんらかの対策をとる必要があります。それにはまず計画と実績の差異分析をして,原因を明確にする必要があります。また,計画が達成できるようなら,さらに目標を高くするとか,次の目標を考えるといったことも必要になります。
 情報技術を用いることにより,データを多角的に分析することが簡単に迅速にできれば,原因の調査も短時間に行ない迅速な対策をとることができます。さらに,将来の予測まで行なうことにより,問題を事前に回避することもできます。

サイクルの短縮化

このように,情報システムはPDCAの各フェーズを支援しています。さらに重要なことは,情報システムを活用することによって,これまで月次報告であったものを,週次・日次での報告ができるようになることです。それにより,問題が発生したら直ちにチェックしてアクションをとることができるようになります。すなわち,情報システムはマネジメントサイクルの周期を短くするのに不可欠なのです。
 経営環境は激変しています。それに即応するにはマネジメントサイクルを短くして,問題を迅速に発見して対処しなければなりません。それをアジャイル経営といいますが,それを実現するためにも,情報活用が必要なのです。

PDCAと成熟度向上

いかに理想的な経営戦略を策定しても,それが自社の現実とかけ離れたものであっては実現できません。それで,当初は高望みせずに努力すれば実現できる程度の目標を掲げ,それが実現したら,より高い目標へと挑戦することになります。また,経営戦略の策定に慣れていない企業では,策定方法そのものが不完全であり,適切な戦略を策定できないこともあります。
 このような経営のレベルを成熟度といいますが,一挙に高いレベルの成熟度を目指すのではなく,PDCAにより逐次改善することが必要です。このように,マネジメントサイクルの考え方は,長期的な経営戦略においても重要なのです。


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