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情報化投資の日米比較


情報化投資は、景気の動向やIT関連の動向により影響を受けますが、長期的には着実に増加しています。近年では情報化投資額は15兆円程度に達しています。しかし、米国では、情報化投資額は4000億ドルに達しています。 (図表)

金額の国際比較では、経済規模の違いや為替レートに影響するので、時系列の伸び指数でみてみましょう。インターネットが急速に普及し始めた1995年を基準にすると、それ以降、米国では情報化投資が急激に増加しました。2000年にのITバブル崩壊、2001年の米国同時テロによりマイナス成長になりましたが、比較的短期間に回復しています。
 それにに対して、日本では1991年の土地・株バブルの崩壊、平成金融不況など長期的な不況により、情報化投資も低い状態が続きました。それが現在の格差になったのです。 (図表)

景気動向の影響を外すために、民間設備投資全体に占める情報化投資投資の割合がよく使われます。この比率が高ければ、生産設備や店舗などへの投資よりも情報化投資が優先されることであり、企業がITを重視して積極的であることの尺度だといえます。
 情報化社会の発展とともに、両国ともにこの比率は高くなっていますが、日本では約25%程度なのに、米国では40%を超えています。 (図表)

不況のときのIT投資には二つの考え方があります。積極派の人は、不況から脱出するために、ITを活用して合理化の推進や新分野の開拓をすべきだといいます。慎重派の人は、従来型の生産や販売への投資を削るのは不適切だ。IT投資から利益を得るのは不確定要因が多いし、得るのに時間がかかる。それでIT投資を抑制せよ(延期せよ)と主張します。
 米国と比較して日本では相対的に積極派が少なく、慎重派が多いようです。そのため、不況になると、伸び率や対民間設備投資比率の低下の度合いが米国より敏感で、しかも長期化する傾向があります。


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