Web教材一覧オペレーションズ・リサーチPERT

スケジュール(PERT)の種類

参照:計算プログラム


スケジュールの種類

  AOA(Activity on Arrow)型 (アローダイアグラム)
    PERT(Program Evaluation and Review Technique)
    CPM(Critical Path Method)
  AON(Activity on Node)型
    AON(Activity on Node)
    PDM(Precedence Diagramming Method)

スケジュールの図法は、大きくAOA図法とAON図法があります。単なる表記法の違いで、相互に変換することができます。
 歴史的にはAOAが普及していましたが、現在ではAONも多くなっています。

AOA図法(上左図)アローダイヤグラム

作業を矢線(アロー)で表す図法で、アローダイヤグラムともいいます。
 作業の開始点・完了点をノード(結合点)といい、○印で表します。そして、作業の先行・後続関係を矢線(アロー)で○を結ぶことにより表します。
 AOAを表の形式にすると次のようになります。
  開始ノード 終了ノード  作業 作業日数
    1     2    A   2
    1     3    B   3
    2     4    C   3
    3     5    D   4
   (4     5    -   0)ダミー作業
    4     6    E   4
    5     6    F   1

PERT

上の表を入力として与え、全体作業の最短所要時間と、各作業の余裕時価、余裕のない(遅れると全体の所要時間が長くなる)作業群(クリティカルパス)を求める技法です。
 それまでのガントチャートのような管理図表に比べて、
 ・作業の細分化と先行・後続関係が厳密に表示できる。
 ・多くの作業のうち、クリティカルになる作業を重点的に管理する。
 ・ある作業に遅れが発生したとき、全体への影響を調べ、適切な対処をする。
などの長所があります。
 スケジュール管理の手法として、最も早期に解法やアプリケーションが確立し普及しました。

3点見積り
上図(表)では、各作業の作業時間は1点だけで与えていますが、最短,通常,最長の三点見積りをすることもあります。これにより、全体の所要時間を確率分布として求めることができます。モデル作成の初期段階では粗い推定値を用い、重要な作業については調査して精度を上げるなど、逐次改善をすることができます。
山崩し法
PERTの解では,作業に必要な作業者数が特定の時期に集中してしまい,平滑化する必要が生じる場合があります。それを行うのが山崩し法(PERT Manpower)です。
CPM
PERTでの最早完了時間が9日だとしたき,それを8日,7日に短縮することが要求されることがあります。各作業に特急時間と割増費用を与えて,どの作業を短縮するのが割増費用最小になるかを求めます。
  開始ノード 終了ノード  作業 作業日数  短縮可能日数 特急費用(1日当たり円)
    1     2    A   2      1     2
    1     3    B   3      2     1
    2     4    C   3      -     - (短縮できない)
    3     5    D   4      -     -
   (4     5    -   0      -     -)ダミー作業
    4     6    E   4      2     3
    5     6    F   1      -     -

単純なケースならば、PERTだけでも解けますが、規模が大きくなると、全体を分割して検討するなど、複雑なプログラムあるいはヒューリスティックなアプローチが求められます。

AON図法(上右図)

作業と作業時間をノード(□印)で表し、作業の先行・後続関係を矢線(アロー)で表します。
 上右図を表の形式にすると次のようになります。
   作業 作業日数 先行作業
   A   2    -
   B   3    -
   C   3    A
   D   4   B、C
   E   4    C
   F   1   D、E

AON
AONとAOAは、表現形式が異なるだけであり、それ以外はPERTと同じです。
AONのほうが直観的に分かりやすいし、モデルの変更もしやすいことから、近年は、この表記法が多くなってきました。
PERTのアプリケーションでは、両方の入力形式をサポートするのが一般的です。
PDM
これまでは、先行・後続の関係は「先行作業がすべて終了したら、即座に後続作業を開始することができる」関係でした。
PDMではそれを拡大して、次の依存関係を与えることができます。
 ・FS+α:終了-開始関係:Aが終了α後にBを開始できる。
   (PERTでは、全て FS+0 の関係だといえます)
 ・SS+α:開始-開始関係:Aが開始したα後にBを開始できる。
 ・FF+α:終了-終了関係:Aが終了したα後にBを終了できる。
 ・SF+α:開始-終了関係:Aが開始すれば、Bを終了できる。
AON図法(表)を用います。