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LANのトポロジー

キーワード

LAN、LANのトポロジー、バス型、CSMA/CD、スター型、ツリー型、リング型、トークンパッシング方式、FDDI、メッシュ型


注意

LANのトポロジー

有線LAN(Local Area Network) の論理的な接続形態をLANのトポロジーといいます。 (無線LANに関しては、「無線LAN」で扱います)
 OSI基本参照モデルでの物理層とデータリンク層、TCP/IPでのイーサネット層において、パソコンなどをケーブルで接続するときの接続形態を、論理的な観点から分類したものです。

(注)最も単純な接続形態は、2台のパソコンを接続したポイントツーポイントですが、通常は、多数の機器を接続する形態を対象にします。

その代表的なものに,バス型,スター型,リング型、メッシュ型があります。
 有線LANのほとんどは、イーサネット(Ethernet)規格によるLANです。イーサネットは当初はバス型を対象にしていましたが、現在ではスター型になっています。
 リング型は、従来はオフィスの階をまたがるような大規模LANの幹線として注目されましたが、現在では使われていません。
 メッシュ型は、構内ネットワークとして使われるよりも、地理的に離れている拠点間をつなぐ高速ネットワークが対象になります。

バス型

バスと呼ばれる幹線にパソコンを枝状に接続した形態です。
 幹線には同軸ケーブル、枝線にはツイストペアケーブルが使われます。

バス型LANの機器

参照:LANの接続機器

バス型での接続の仕組み

バス型では、スター型のスイッチングハブのような管理機器はありません。各パソコンは同等の立場になっています。

  1. 発信元パソコンは幹線にパケットを送出します。パケットの先頭にイーサネットヘッダが付けられており、その中に発信元と受信先のMACアドレスが入っています。
  2. 幹線に直結しているパソコンは、幹線を流れているパケットをいったん取り込みます。ハブは、接続している全パソコンにパケットを渡します。
  3. 取り込んだパケットの送信先MACアドレスが自分宛てであれば受け取り、幹線のパケットを消去します。
    他人宛てであれば無視します(幹線のパケットは残る)。
    これにより、同一幹線内であれば接続ができます。
  4. ブリッジは、接続しているそれぞれのセグメントにある(幹線に接続している)パソコンのMACアドレスのリストをもっています。到達したパケットの送信先MACアドレスが送信側のセグメントのリストにあれば無視し、ないときには反対側のセグメントへ転送します(反対側のリストを参照しません。単に幹線に送るだけです)。

CSMA/CD

幹線のパケットは、発信元パソコンからの送出して発生し、受信先パソコンが受け取ることにより消滅します。パケットがケーブルを流れる間や機器の処理による時間が遅延し、その間は幹線にパケットが存在することになります。
 同軸ケーブルは1本の銅線ですので半二重伝送方式になります。これは電話でいうなら、相手が黙っているときは話ができるが、相手が話してる間は話が終わるまで待ってから話しできるという方式です。
 そのため、同時に複数のパケットを流すと衝突が起こります。

イーサネットでは、この衝突を避けるために、CSMA/CD方式(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection:搬送波感知多重アクセス/衝突検出方式)という方式を採用しています。

スター型

スイッチングハブを中心にして放射状にパソコンなどの機器をツイストペアケーブルでつないだ形態です。
スイッチングハブを多階層につないで(カスケード接続)大規模LANを構成できます。

スター型の接続の仕組み

  1. スイッチングハブの接続コネクタをポートといいます。
    カスケード接続するときは、ポートと他のスイッチングハブのポートをクロスケーブルで接続しておきます。
    パソコンをLANに接続するには、パソコンのLANポートとスイッチングハブのポートをストレートケーブルで接続します。
  2. パソコンからスイッチングハブにパケットを送信すると、スイッチングハブはパケットのイーサネットヘッダにある発信元MACアドレスを見て、ポート番号とMACアドレスの対応表を更新します。このようにして、スイッチングハブは、現在つながっている全てのパソコンのMACアドレスとポート番号の対応表をもっています(スイッチングハブにはMACアドレスがありません)。
  3. 受信先MACアドレスが対応表にあれば、そのポートから受信先パソコンにパケットを送出します。これで2つのパソコンが接続できました。
  4. 受信先MACアドレスが対応表にないときは、すべてのポート(カスケード接続先も含む)にパケットを送出します。
    パソコンは自分宛でなければ、パケットを無視(廃棄)します。
  5. カスケード接続先のスイッチングハブがパケットを受信すると、同様に自分の持つ対応表を調べて、該当するパソコンへパケットを渡したり、さらにカスケード接続しているスイッチングハブに転送します。
    このようにして、LAN全体のパソコンと接続することができます。

スター型とCSMA/CD

現在、スター型のケーブルは全二重通信方式のツイストペアケーブルです。接続機器が高速のスイッチングハブになっているので遅延も短くなりました。そのため、衝突が起こる確率は小さくなり、CSMA/CDの必要性はなくなりました。
 しかし、ケーブルや機器が古いスター型では、CSMA/CDが必要になることがあります。

スター型の長所

スター型は、
 ・他に影響なくパソコンをLANから外したり付けたりができる。
  LANを使うときだけケーブルを接続し、不要になったが引き抜くだけでよい。
 ・ツイストペアケーブルは取扱が容易である。
 ・Gbpsクラスの高速ツイストペアケーブル(1000BASE-T)が使えるようになった。
などにより、LANの主流になっています。

ツリー型

スター型は、どれかのノードを中心だとすれば木構造になっています。そのような見方をしたときツリー型だといえます。両者の区分は不明確ですし、両者が混在しているのが通常です。しいて違いをあげると次のようになります。

リング型

論理的にリング状の幹線にパソコンが接続され、トークンという情報を巡回して受信先と接続する形式です。
 幹線には(当時としては)高速な光ケーブルを用います。階をまたがるような大規模LANにおいて、階間をリング型の幹線を敷設し、各階はコンセントレータという接続機器を介してスター型あるいはバス型のLANにする形式もあります。
 現在はバス型の高速化によりあまり使われなくなりました。

トークンパッシング(token passing)方式

リング型の長所・短所

このように、幹線には電文のついたトークンや空のトークンが複数流れていますが、一方通行で時間差があるので衝突は発生しません。
 そのため、回線の利用効率は高くなります。

トークンがすべてのパソコンを通ります。そのため、一つのパソコンに障害が発生すると、トークンが巡回しないので、LAN全体が障害になります。また、パソコンの追加や取り外しも面倒な作業になります。
 これを回避するために幹線を2本(主リングと副リングの2本のリングで構成)にして、互いに反対方向に巡回させるデュアルリング型があります

FDDI(Fiber Distributed Data Interface)

FDDIとは、伝送媒体に光ファイバーを、トークンパッシングを利用したアクセス制御方式の規格です。
 以前はリング型LANの制御方式として用いられていましたが、社内LANがイーサーネットに移行するのに伴い、この分野での利用は稀になりました。

現在は、動画像や映像の伝送などを目的とした広地域を結ぶ回線に使われています。この用途では、100Mbps以上の高速伝送、ステーション間隔は2kmでリング全体の最長距離は200kmの長距離、デュアルリングにより信頼性も高いという特性があります。

メッシュ型

全てのパソコンを1:1に相互接続する形態です。すべての組合せがある形態をフルメッシュ型、部分的な形態をメッシュ型といいます。
 一つの回線が切れても、迂回経路で接続できるので可用性が高い長所があります。しかし、冗長性が高く高価になります。

その特性から、インターネットやWANなどのバックボーンネットワークに用いられ、通常のLANに使われるのは稀です。
高速・大容量の通信が求められ、ATMまたはフレームリレーを使用したネットワークになります。直接に接続する装置もパソコンなどではなく、高性能のルータになり、それを介して多様なLANに接続されます。