Web教材一覧システムの活用

SCM(サプライチェーン・マネジメント)

キーワード

SCM、納期短縮、流通在庫削減、


SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、部品メーカー、組立メーカー、配送業者などの供給に関係する企業が、情報を共有することにより協力して、顧客満足を実現するために、納期の短縮と流通在庫の削減を同時に実現する経営手法です。
 小売業では、店舗在庫を減らすことが利益向上に直結しますし、顧客満足を得るためには品切れが生じてはなりません。それで、メーカーに多頻度小ロット納入を求めます(参照:「小売業の情報システム」)。
 それに対処するのに、メーカーが大量な在庫をもつ(見込生産)のでは、コスト増になります。メーカーは、受注してから生産すれば(受注生産)在庫は削減できますが、それでは迅速な納品ができません。また、部品メーカーに同じような要求をしても、同じ問題が発生します。
 部品メーカー、組立メーカー、配送業者など全体として、流通在庫を削減し、しかも、納期を短縮するという、一見、二律背反的な問題を解決することが求められます。その解決手段がSCMなのです。

「必要なときに、必要な数を、短期間で生産する」技術には、以前から、自動車業界を中心にトヨタ生産方式でのJIT(ジャストインタイム)などの部品調達や組立工程の無駄を排除したシステムがありました。SCMは、それを受注や流通まで広げ一般化したものだともいえます。
参照:「トヨタのかんばん方式」

パソコンメーカーを例にします。従来は見込生産方式でした。メーカーは需要予測を行い、製品を生産して量販店などの小売店に納入し、小売店は顧客が来るのを待つという方式です。しかし、パソコンは新製品が頻発するし、顧客のニーズも多様なため、精度のよい需要予測を行うことは困難です。需要予測が過大だと不良在庫が生じます。パソコンの利益率は低いため、不良在庫は経営を圧迫します。逆に、過小な予測をすると、売れる機会を逃がしてしまいます。
 現在では、インターネットによる販売が多くなってきました。これは、受注してから生産にかかるので、受注生産方式といいます。この方式では、過剰生産や過少生産の危険が少なくなります。また、直販方式になるため、流通経路でのマージンがかからず、販売価格を安くすることができます。
 しかし、この方式では受注してから納入するまでの期間がかかります。納期が長いとその間に新機種がでることもあり、顧客満足を得られません。それを回避するために部品や生産設備を多く持っていたのでは、その費用が増大します。
 それを回避するのがSCMです。パソコンメーカーだけでなく、多くの製造業がSCMに取り組んでいます。
参照:「デルモデル」


理解度チェック: 正誤問題選択問題
過去問題