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SWOT分析

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SWOT分析


「彼(かれ)を知り己(おのれ)を知れば、百戦して殆(あや)うからず」(孫子)というように,経営戦略を検討するには,まず,自社の状況(内部環境経営資源という)と,自社を取り巻く環境(外部環境)を正しく認識することが重要です。
 従来から経営資源として,「ヒト」「カネ」「モノ」があげられていましたが,「情報は第4の経営資源である」といわれるようになりました。
 それに対して,外部環境には、法律,環境保全,経済,景気,顧客動向,競争企業,新製品動向などがあります。

これらの内部環境と外部環境について,それらが自社に好影響を及ぼすのか悪影響なのかにわけます。そうすると,自社の持つ強み(S:Strength),弱み(W:Weakness),外部環境の機会(O:Opportunity),脅威(T:Threat)の4つに区分できます。
 それを下の図のようにして分析する技法を,この4つの英単語の頭文字をとってSWOT分析といいます。

 好影響悪影響



trength(強み)

  • 製品品質は優れている
  • 安定した顧客が多い
  • 社内の雰囲気がよい

eakness(弱み)

  • 数年間利益が低下している
  • 営業と製造の間の連絡が悪い
  • 原価が正確に把握できない



pportunity(機会)

  • 納期短縮が重視されてきた
  • 海外からの引き合いがある
  • 他系列からの引き合いもある

hreat(脅威)

  • 納期短縮の要請が強い
  • 低価格の海外製品が参入してきた
  • 系列取引が減少している

このような表を作成するにあたっては,経営者,スタッフ,現場の人など多くの立場の人が集まり,意見を出し合うことが効果的です。
 それにより,より多くの項目が列挙され,重要度が決められるという利点もありますが,それにもまして,討論を行うプロセスにおいて,全員が共通の現状認識や問題意識を持つことができます。それにより,全員が積極的に経営戦略の実現に取り組むようになります。

上の例では「製品品質は優れている」というような抽象的な表現になっていますが,これは不適切です。実際には「○○製品へのクレーム件数は○○件である」とか「○○製品は他社製品と比較して,○○の精度が○○だけよい」というように,具体的に,できれば数値的に表現するのがよいのです。それにより,認識がより客観的になりますし,重要性も理解できるし,どの程度にするべきかの目標にもなります。

強みを重視する
とかく私たちは,「自社は○○の弱みがあるので,それを解決しなければならない」というように,自社の弱みを多く列挙して,それを解決しようと発想しがちです。それはそれで必要なことですが,たいした効果はありません。現在遅れていることの解決に努力したところで,せいぜい他社並みになる程度であり,それでは競争優位にはなりません。
 むしろ,自社の強みの分野をさらに強化することにより,他社が追従できないレベルにまで引き上げること,すなわち,コア・コンピタンスとして確立することが,競争で優位に立てるのです。
弱みのアウトソーシング
では,弱みの分野をどうするか? その分野をコア・コンピタンスにしている他社にアウトソーシングすることにより,他社の優れた経営資源を自社の経営資源にするのです。 (弱みを強みに)

日本は石油や石炭などの地下エネルギー資源が乏しいことが弱みでした。それを解決しようとして太平洋戦争を起こしてしまいました。終戦直後の日本は,石炭増産を旗印にしたのですが,それもエネルギーコストを増加させるだけであり,石炭資源も底をついてしまいました。
 ところが,石炭がないと弱みが,比較的安価であり運転しやすい石油に転換する促進剤になって,効率のよい設備が多く利用されるようになりました。これが当時の高度成長を実現させるという強みになったのです。
 ところで,「塞翁が馬」の故事を知っていますか?

脅威と機会は表裏一体
上表では「納期短縮」が脅威にも機会にもあげられています。これは矛盾ではなく「ものの考え方」なのです。「納期が短縮されれば,納期遅れが増大する。これを減らすには在庫を多く持つこになる」と考えれば脅威になります。
 しかし,「柔軟な生産計画を立てられる体制にすれば,納期短縮に対応できる。それにより他社に差別化できる」と考えれば機会になります。このように,機会と脅威は物事の表裏です。そして,脅威を機会にできるような自社の強みを強化することが重要なのです。

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