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JIS X 25000(ISO/IEC 25000)SQuaRE
システム及びソフトウェア品質モデル

キーワード

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JIS X 25010、SQuaREとは

ISO/IEC 25000:2014(JIS X 25000:2017) システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)―SQuaREの指針
http://kikakurui.com/x25/X25000-2010-01.html(2010年版))
ISO/IEC 25000シリーズJIS X 25000シリーズのことをSQuaRE(Systems and software Quality Requirements and Evaluation)シリーズとも呼びます。

全般的な品質に関する規格にJIS Q 9000シリーズ(品質マネジメントシスム)がありますが、SQuaREではソフトウェア製品の品質だけを対象にしています。以前に、 ISO/IEC 9126-3 (JIS X 0129-3) がありましたが、SQuaREに改定吸収されました。

SQuaREの目的は,ソフトウェア製品に関係する利用者、発注者、開発者などが持つ多様な品質要求を定義し、仕様化し評価するするための共通の考え方の基準を示すことにあります。

SQuaREシリーズは、次の規格群から構成されています。
  コア部門(カテゴリ)
   2500n 品質管理
   2501n 品質モデル
   2502n 品質測定
   2503n 品質要求
   2504n 品質評価
  拡張部門(カテゴリ)
   2505n~2505n 応用規格、特定領域の詳細規格

本章では「品質モデル」を対象にします。品質モデル、製品品質モデル、データ品質モデルの3つの分野に区分されます。


JIS X 25010:品質モデル

ここでの品質モデルとは、品質要求を定義し評価するための枠組みであり、品質を分類・整理する時の着眼点(観点)を与えるものです。

その品質特性として、
 ・利用時の品質モデル
 ・製品品質モデル
 ・データ品質モデル
があり、それぞれに品質副特性があります。

利用時の品質モデル

特定の利用者が特定の利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性に関して特定の目標を達成するためのニーズを満たすために,製品又はシステムを利用できる度合いのことです。

利用時の品質特性及び品質副特性

(使用性は,その規定された意味との一貫性を保つために,有効性,効率性及び満足性からなる利用時の品質の部分集合として定義される。)

製品品質モデル

製品品質特性の副特性


ISO/IEC 25012(JIS X 25012)データ品質モデル

データとは、「情報の表現であって,伝達,解釈又は処理に適するように形式化され,再度情報として解釈できるもの」と定義しています。
 ・データ処理は,コンピュータ処理以外に人手によるものも対象にする。
 ・データの物理的構成やスキーマ設計などは対象にしない。
 ・組込み機器又はリアルタイムセンサが生成するデータは対象にしない。
 この規格は,システムのライフサイクルプロセスにおけるデータの品質を維持・向上させるために、データの品質を分類し、個々の特性について例示し、品質を測定する手段などを示したものです。

データ品質モデルは,品質属性を固有の視点及びシステム依存の視点の二つの視点を考慮しています。
 固有の視点とは、データそのものに関する視点です。データを利用するとき、明示・暗黙のニーズを満足させるために,データの品質特性が本来備えている潜在力の度合いのことです。「正確であること」は代表的な固有視点の品質です。
 システム依存の視点とは、コンピュータシステム内でデータが持つべき品質のことです。「いつでも使えること」などがこれにあたります。

固有の視点

固有の視点及びシステム依存の視点

システム依存の視点


データ品質に関する他の基準

データ完全性

データインテグリティともいいます。「情報及び処理方法が、正確であること及び完全であることを保護すること」です。もとより絶対に間違いのない情報」は存在しませんが、網羅性・正確性・整合性・安全性が満足できるレベルだと評価されることだとされています。

その評価も、データが利用される目的により異なりましょう。むしろ、データの取扱説明書があり、その説明の範囲内で上の4特性が完全であることと解釈するのが妥当でしょう。さらには、関係者が限定される場合は、暗黙の合意により、取扱説明書がないこともありましょう。

RDBMSによるデータ完全性の実現

論理的なデータ完全性は、RDBMS(関係データベース管理システム)での設定により保証できるものがあります。(参照:正規化の整合性制約


DMBOK

DMBOK(DAMA Guide to the Data Management Body of Knowledge:データ管理知識体系)とは、DAMA(Data Management Association International:データ管理の専門家の団体、本部米国)により策定された、データ管理に関して、機能、用語、ベストプラクティスを整理したものです。
参照:>DMBOK


ALCOA原則

製薬業界では、実験報告書などのデータが各方面に影響を与えるので、データの信頼性が非常に重要です。そのため、規制当局は、データインテグリティによる監視強化をしていますが、ALCOAはその原則として広く認められています。なお、ALCOAの対象は、デジタルデータだけでなく、紙媒体の文書にも適用されます。
 WHO(世界保健機構)は「企業は文書化の実践規範(Good Documentation Practice)に従い、記録とデータの正確性、完全性、一貫性、信頼性を使用される全期間(データライフサイクル)を通して保証すること。文書化はALCOA原則の特性を持つべきである」としています。

ALCOAとは、次の品質特性の頭文字をとったものです。

その後、ALCOA+となり、次の4特性が追加されました。


セキュリティ関連

SIL(Safety integrity level)

JIS X 25010 →利用時の品質モデル→リスク回避性 に関連した用語です。

耐タンパー性

タンパ(Tamper)とは「改ざん」の意味です。耐タンパー性とは、ハードウェアやソフトウェアの不正解析を困難にする耐改ざん性であり、それを高める技術です。
 例えばICカードの紛失・盗難で悪用されないように、カードにデータ信号を読みだす機器を接続すると、保存しているデータを消すような仕組みなどです。