Web教材一覧情報システムの調達方法

システムの調達方法

キーワード

システム調達、自社開発、外注、パッケージ、SaaS、クラウドコンピューティング


情報システムを調達する手段は、次のように区分できます。歴史的にみると、「作るから買うへ」「所有から利用へ」と手段が多くなってきました。

 システムの調達
  │
  ├ 所有する
  │  │
  │  ├ 作る:自社独自仕様のシステムを作る
  │  │  ├ 自社開発:自社要員で開発する
  │  │  └ 外注:専門のソフトウェア会社に委託する
  │  │      ・・・外注による開発
  │  │
  │  └ 買う:パッケージ(出来合いのシステム)を購入する
  │         ・・・ERPパッケージ
  │
  └ 利用する:ベンダのシステムを利用し、自社では所有しない
            ・・・SaaS、クラウドコンピューティング

自社のニーズに合致した高品質(誤りがなく、信頼性が高いこと)のシステムを安価で調達することが求められるのは当然ですが、経営環境の変化が急速で競争が激しいことから、迅速に稼働できること、将来のシステム改訂が容易にできることが重視されるようになりました。
 これらの観点から、各調達手段の長所・短所を考慮して、適切な選択をすることが必要です。

自社独自仕様の開発では、多数の要員が必要になりますし、ネットワークやデータベースなどの高度なスキルが必要になります。それを自社要員だけでまかなうことはできません。小規模システムの開発や保守改訂以外では外注によるのが一般的です。
 自社独自仕様ならば、自社のニーズに合わせた情報システムが得られます。しかし、費用・時間・労力がかかります。また、新規作成で利用経験がないのですから、品質が不十分なことが多いのです。

パッケージによる調達はイージーオーダーのようなものです。既に存在するものを利用するのですから、自社開発よりも安価ですし、短期間で稼働することができます。また、自社が導入する以前に多くのユーザが利用しているので、誤りの個所や使いにくい個所が発見され修正されているので品質も高いといえます。
 しかし、部分的な調整(カスタマイズという)はできますが、基本的な仕様を変更するのは困難ですし、多くのカスタマイズをするのでは、その長所を失うことになります。それで、業務の仕方をパッケージに合わせて変更することも必要になります。

自社独自仕様やパッケージによる情報システムでは、自社のコンピュータにインストールして使うのに対して、SaaSやクラウドコンピューティングは、パッケージを業務単位(サービスという)に細切れにしたようなものがベンダのコンピュータ(サーバ)に置かれており、データもサーバ側に置き、自社にはクライアントパソコンしか置かない形態です。
 この形態の特徴はパッケージによる調達と似ていますが、システム調達での初期費用が少なく、稼働までの時間が非常に短縮できます。


理解度チェック: 正誤問題選択問題