費用対効果、現在価値法
一般的に投資の定量的評価をするには、
開発費用 : 毎年の(合理化効果-維持費用)の合計
の比較をします。
開発後時間がたつにつれて保守改訂が多くなり維持費用が増加するので廃棄します。それまでの期間を利用年数とします。また、借り入れるには金利がかかりますし、資金を他の目的に利用すれば利益が得られるのですから、現在の100万円と将来の100万円では価値が違います。それで割引率を設定します。
これを定式化すると次のようになります(参照:「設備投資の採算計算」)。
P >=< (R1-C1)/(1+i)
+(R2-C2)/(1+i)2
:
+(Rn-Cn)/(1+i)n
P:開発費用
Rj:j年目の効果
Cj:j年目の維持費用
i:年利
n:利用年数
このように、定量的な評価方法は多くあるのですが、IT投資では不確定要素が多いため、実際には、この方法で評価するのは困難なことが多いのです。取得費用と毎年の名目利益と費用は、「見えない」費用や「効果の不確実性」により、値が不確定です。
この計算で最も影響が大きいのは利用年数です。10年以上使うのであれば、たいていの投資は有利になるでしょうし、1年程度なら不利になるでしょう。ところが、情報システムの寿命は、経営環境の変化やITの発展など、自社以外の要因で決まるものですし、それらを予測するのは事実上困難です(参照:「IT投資の基本」)。