スタートページ主張・講演マーフィーの法則(Vol.3)

Murphyology by a retired
IT用語

Vol.1, Vol.2 に続く定番です。

本ページの性格に関しては、こちらを参考にしてください


IT用語の特徴

IT用語は、同義であっても、用語として発展する。

新しい用語(概念)が出現した当初は、あえて旧用語との違いを喧伝する。しかし、その違いは部分的なもので、新用語の説明の大部分は旧用語と同じだということがわかる。それとともに、旧用語の概念のものまで、新用語を使うようになり、なかには数世代前の概念さえ新用語を名乗るようになる。

IT用語は普及するに伴い定義はあいまいになる。

先達によるIT用語誇大表現のツケ

昔の用語のほうが実態にマッチしていることもある。旧用語で誇大な表現をしたために、それが実現できるようになったときに適切な用語がつけられない。

IT妖語集

5G

軍体系の第5世代。陸軍、海軍、空軍、宇宙軍に続くサイバー軍のこと。インターネットを利用した軍事施設破壊、社会・経済インフラ攻撃、政権選択時のフェイク情報発信など、平時における攻撃手段として重視されている。そのため、各国は5G技術の優位性確保に躍起となっている。
特に中国は、一帯一路戦略として、極東から欧州にまたがる軍事拠点とそれをつなぐ供給路を建設中で、5Gはそれらを統率するサイバーネットワークの任務をもつ。この面で出遅れた米国との間で覇権争いが激化している。

似た用語にG7がある。5Gでの中国優勢に対抗して日米欧が将来の対策を検討している規格であるが、基本合意はあるものの各国事情により足並みがそろわない状態だ。

GAFA

GAFAとはGoogle、Apple、Facebook、Amazonの米国4社。サイバースペース支配を狙う企業として、欧州を中心として規制強化に乗り出したが米国の自国企業保護戦略との対立を招き、NATOの費用分担の再検討にまで発展した。
その間にこの分野で中国が躍進した。Huawei, Alibaba, TikTac などが、GAFAに迫るような状況になり、米中はITを国家戦略の重点にした競争が激化した。それに伴い、GAFAはバイアメリカンの標語になった。

追記:Facebook は社名を Meta に変更した。するとGAMAになるが、折しもコロナのGAMMA変異株の増殖時であり、未だ改称には至っていない。

Wi-Fi

家庭内の無線LANに広く用いられている規格は IEEE 802.11 という国際標準規格。 Wi-Fi は米国の業界団体で、同規格に合致した無線機器を Wi-FI 認定品とし、認定取得サービスで利益を得ている。
Windows がキライならば、MacOS や Linux がある。Edge には Chrome や Firefox がある。でも現在、通常の無線機器のすべてがWi-Fi 認定品であり、それ以外の機器を使うのは難しい。米国と対立している中国も Wi-FI を用いているし、認定機器の世界的シェアも大きい。
しかし、5GではWi-Fiは不要になる。中国は Wi-Fi 離れをしやすいだろうが、5Gへの全面移行が遅れている日本が Wi-Fi を不要にできるのはいつだろうか?

スマート

本来の意味から離れて、スマートフォン、スマートシティ、スマートスピーカーのように、「ITを使った」という意味で使われている。
「スマートな人」とは、すらりとした美人ではなく、アンドロイド型ロボットのことなので誤解をしないように。

オープンデータ

主として中央官庁などが持つデータをオープン化すること。何が「オープン」されるのかが大きな問題になる。
政策の策定や実行での決定に関する記録、公金の使途記録などの透明性は、説明責任を果たすための基本であるのに、政権に都合の悪い記録は、野党の追及にたいして「記録がない」「あったが廃棄した」を繰り返すのが常だ。

ビッグデータ

気象予測、交通状況、災害対策などには、大量のデータ(ビッグデータ)を収集して多様な分析をすることが効果的である。
従来の統計学は、少量の標本を適切に加工して大量の母集団の特性を推測することを目的としていた。ところが現在では、生の大量データを全数処理することが良いことになっている。
その結果、従来はパソコンを使っていた分析にスーパーコンピュータが必要になり、さらに5Gや量子コンピュータなどの発展が重視されるようになった。そのような大量データでは、途中経過を確認するのも大変である。その結果、ビッグデータを用いた処理では、結果だけを神のお告げとして、前提や方法には触れないことが常識になっている。

量子コンピュータ

量子力学の理論に基づいたコンピュータである、

ニューラルネットワーク

正しくはニュートラルネットワーク。中立的な通信回路網の概念。
サイバー空間での米中対立が深刻化し、いづれも自国の方式で統一しようとして、国際不安を増大させている。それを解決するには、中立的な立場で通信回路網の標準化をする必要がある。
基本的な方法は、国際通信回線と各国の接点になるサーバの関係を、人間の脳のニューロンを模倣して、シナプスにあたる情報伝達の仕組みを、人間知性の分析から得た平和や公平などの概念に基づく関数にして制御することにある。
ニューラルネットワークとは、技術的な関数設定に限定した概念で、ニュートラルネットワークより狭い概念である。

ディープラーニング(深層学習)

これまでのシステムでは、人的操作ミスによるトラブルが頻発していた。深層学習とは、人間行動の心理的な深層を解明して、根本的に操作ミスを排除しようとする、ソフトウェア工学と行動心理学の学際分野である。
近年は、情報システムの人為ミスだけでなく、政治・経済分野での意思決定ミスなども対象にするようになってきた。それには、これまでの成功・失敗事例の研究を大規模で行う必要があり、AI技術と密接な関係が期待されている。

メタバース

近年の宇宙論では、宇宙は単一(ユニバース)ではなく多数の宇宙(マルチバース)が存在するという。メタバースとは、VR(仮想現実)技術を応用して他の宇宙を模倣し、その住民を募集すること、住民に多様なサービスを提供するものである。
(注:Facebook は Fakebook といわれるのを避けるために Meta と社名変更してメタバースを提唱した。同社の野望は高く、一つの宇宙を作りその独裁企業になろうとしているのがメタバースだという人もいる。同社に反感を持つ人の中には FakeVerse という人もいる。しかし、これらは悪意な中傷である。)

ところで、現在はVRやメタバースを利用するにはゴーグルを着用する、これがメガネ型になるのは必然だ。目の前の相手が実はメタバースの世界にいるのではと疑うのは不気味なものだ。
現在では、せいぜい上のような利用が主だが、そのうち、現実世界とメタバースが逆転するかも。

仮想通貨(暗号資産)

Windows10/11

マイクロソフトは、計画的陳腐化の原則に従い、定期的に新OSを発表してきた。利用者の不満を回避すべく「永遠のOS」として Windows10 を発表した。しかし利益追求の誘惑には勝てず、 Windows11 を発表した。
「利益追求の誘惑」だとするのはゲスの勘ぐりである。Windows10 → 11 の移行は無料である。すでにブラウザや多くのアプリは多数のOSで稼働できるオープンソフトウェアの時代になっている。下手な動きをすると、Windows そのものが業界標準の座を維持できなくなるかもしれない。
すでにパソコンは情報機器の主流ではなく、パソコンメーカーは低迷している。マイクロソフトは、長い間パソコンメーカーと協調してきた。従来構成のパソコンでは対応できない新OSを発表して、買い替え需要を喚起したのである。
しかし、パソコンのシェアは米国から中国に移っており、米国政府は難色を抱いているともいわれている。マイクロソフトは、Windows10 のサービス打切を予定通り実施できるだろうか?