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計算尺の歴史


計算尺とは

電卓が普及する以前には、技術計算では計算尺が広く用いられていた。その原理は高校でも教えていたし、理工系の大学生にとって、専門用途の高級計算尺をもつことはステータスシンボルでもあった。

計算尺の基本構成は、対数目盛を刻んだ2つの板からなっている。上尺の目盛1に下尺の目盛aを合わせて、上尺の目盛bにカーソルを合わせれば、対応する下尺の目盛cがa×bの値になります。逆の操作を行えば除算を行うことができる。

技術計算では、2,120,000×0.00297のような計算が多くあるが、それを、(2.12×10)×(2.97×10-3)とし、2.12×2.97を計算尺で行い、指数計算は暗算で行う。また、有効数字は3桁以内であるが、技術計算ではそれで十分なことが多い。
 なお、上の実機では多数の目盛尺がありますが、これは、ab、πabなど多様な計算をするためのものであり、いうなれば、目盛尺が関数に相当しているだ。

計算尺の歴史

1614年にネピア(参照:ウィキペディア)が対数を発見した。それを2枚の板でスライドして計算できるようにしたのが計算尺である。

1894年に、近藤虎五郎と広田理太郎がドイツ製マンハイム型計算尺を持ち帰り、逸見治郎が製作研究を進め、孟宗竹を用いた優れた計算尺を開発した。ヘンミ計算尺は、1960年には年間100万本以上を出荷し、65年には日本で約98%、世界では約80%のシェアを占めるようになったが、その後、電卓の普及により衰退して、一般的な計算尺は1975年に製造中止になった。
出典:ヘンミ計算尺株式会社 「計算尺の歴史」