個別業務パッケージ、MRP、小規模ERPパッケージ、SOA/SaaS
ERPパッケージには,個別パッケージから発展したものと,製造業におけるMRPから発展したものがあります。
ERPパッケージは,ERP(Enterprise Resouce Planning)を実現するためのシステムです。ERPとは,文字通りには「企業資源計画」ですが,企業全体での経営資源の最適計画を構築するための経営技法です。すなわちBPR(Business Process Reengineering:リエンジニアリング-業務革新)とほぼ同じ概念といえます。
製造業では,1960年代から,製品生産に必要な資材調達を計算するソフトウェアとしてMRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)が利用されていました。それが,生産設備計画や人員配置計画も含んだCRP(Capacity Requirements Planning),財務計画も取り込んだBRP(Business Requirements Planning),物流業務へも適用したDRP(Distribution Requirements Planning)へと機能を拡大してきて,それがERPへと発展したのです。
1990年代前半のERPパッケージは、ドイツのSAP社や米国のオラクル社などの製品が主流でした。欧米の先進企業をベースに開発したものですから、製造業の進捗管理での製番管理や大量受注における分割納入など、日本独特の機能に欠けていました(当然、その後サポートされるようになりましたが)。
ERPパッケージの普及に注目して、富士通や日立などもERPパッケージを提供するようになりました。海外のものと比較すると、
・日本独自の方式や慣行を取り入れたこと
・比較的、カスタマイズを容易にしたこと
・海外のものに比較して、安価な製品にしたこと
などにより急成長しました。
これまでERPパッケージは、全業務をカバーすることを重視してきましたが、その全体をパッケージとして提供するのでは、どうしても高価になります。
それをSOAやクラウドと融合する「2層ERP」という概念が取り入れられるようになりました。
2000年代後半から、ERPパッケージのコンポーネント(アプリケーション)群を1層とし、その前に、サービス単位とコンポーネントを結びつける2層を置きます。これにより、利用者からは、ERPパッケージをSOAの単位で利用することができ、SaaSのような取扱いができます。
ERPパッケージをサービスごとに部品として提供し、利用者は必要なサービス部品だけを、インターネットを用いて利用し、その利用頻度に応じて費用を払うようにすれば、安価でシステムを構築し運用することができます。