TCO、シンクライアント
情報システムを構築・運用・保守・改訂・廃棄までにかかる総費用のことをTCO(Total Cost of Ownership)といいます。(参照:「TCOと「見えない」費用」。
インターネット以前に、ダウンサイジングや企業間ネットワークが行われていましたが、イントラネット、エクストラネットにすることによりにより、TCOを削減することができます。
従来は、遠距離の事業所間や企業間での高速通信には、専用回線が用いられていましたが、かなり高価なものでした。企業間ネットワークの折衝では通信費の分担でもめることもありました。
それに対して、インターネットではプロバイダ費用と市内回線費用だけで済むため安価です。しかも、2000年代になると、ブロードバンド(高速通信回線)が普及し、その料金も急速に低下しました。
自社のアプリケーションサーバに他社からアクセスするとき、従来では自社サーバがUNIXなのに他社のパソコンがWindowsで統一されていると利用に難点があり、クライアント用パソコンの負担が問題になることがありました。場合によっては、同一企業内でも多様なパソコンが混在していると、同様な問題がおこります。
インターネットのブラウザを利用するのであれば(若干の違いはありますが)クライアントのOSを気にする必要がなくなります。
また、Webサイトの閲覧には慣れているので、URLを伝えるだけで企業間ネットワークを開始することができます。
社員が自宅や外出先で業務をすることをテレワークといいます(参照:「テレワークの勤務形態とその効果」。それを円滑にするには、社外から社内LANにアクセスすると便利ですが、従来のCSSでは、インターネットと社内LANは別途の方式だったので、それができませんでした。エクストラネットにより、テレワークのコストが節減できます。
従来のクライアントサーバシステムでは、クライアントに多様なソフトウェアを載せたり、多様なデータを保管したりすることが必要でした。そのために高性能なパソコンが要求されてきました。それに対して、イントラネットでは、原理的には、Webブラウザ以外のソフトウェアは不要です。また、データをサーバ側に置くことによって、ディスクも不要になります。このようなパソコンをシンクライアント(thin client)といいます。これにより、ハードウェア・ソフトウェア費用を削減できます。
しかし、通常のパソコン価格が急速に低下したこと、シンクライアント用のワープロソフトや表計算ソフトなどが、期待したほどには普及しなかったことなどにより、当時は、あまり普及しませんでした。
ところが最近は、セキュリティ対策の観点から、あらためて注目されています。クライアントのディスクに勝手にデータやソフトウェアを入れると、ソフトウェア管理が複雑になるだけでなく、ウイルスに感染する危険があります。また、USBメモリ、CD-R、DVDなどの取り外しのできる記憶装置を持たないことにより、重要な情報が社外に持ち出される危険が少なくなります。
このようなセキュリティ対策を目的としたシンクライアントをセキュアクライアントといいます。なお、セキュアクライアントには、セキュリティ対策のための多様な機能を搭載する必要がありますので、通常のパソコンよりも高価になっています。
参照:「シンクライアント」
初期のLAN対応のアプリケーションソフトでは、クライアント側にもそれを利用するためのソフトを搭載する必要がありました。そうでなくても、ソフトウェアのバージョンアップの際には、新旧のバージョン間でのデータの互換性が不十分にできないのが通常です。
パソコンの台数が多いと、どのパソコンにどのソフトウェアがあるのか、バージョンはどうかを管理することが困難です。しかも、短期間で多くのパソコンのバージョンアップを行なう必要があります。
クライアントにブラウザ以外のソフトウェアが不要となることは、特に多数のパソコンを持っている企業において効果的です。
イントラネットでは、基本的な操作方法がブラウザだけになります。利用者はすでにブラウザの操作方法は熟知しています。利用者に新しいシステムの使い方を説明するとき、業務に関係した事項だけを説明すればよく、操作方法まで説明する必要がありません。