免許取得に必要な履修科目
高校での情報教科の教育職員免許は、普通教育に関する教科「情報」と専門教育に関する教科「情報」の両方に対応できます。かなり幅の広い分野で指導することになりますので,広い分野の知識能力が必要になります。それで,情報の教育職員免許状を取得するには、一般の教職に関する科目以外に,情報に関する科目を20単位以上修得する必要があり,そのうち,次の科目が必修になっています。
- 情報社会及び情報倫理
- 情報化と社会,著作権の知的所有権,情報モラル,プライバシーなど
- コンピュータ及び情報処理(実習を含む。)
- ハードウェア,ソフトウェア,アルゴリズム,プログラミング,計測・制御など
- 情報システム(実習を含む。)
- データベース,情報検索,情報システム設計と管理など
- 情報通信ネットワーク(実習を含む。)
- 通信ネットワーク,コミュニケーション,セキュリティなど
- マルチメディア表現及び技術(実習を含む。)
- 情報メディア,図形処理と画像処理,マルチメディア表現,シミュレーションなど
- 情報と職業
- 情報化社会の進展と職業,職業倫理を含む職業観と勤労観など
免許の更新
2006年の教育基本法の改正に伴い、2007年に教育職員免許法が改正されました。
従来、教育職員免許は生涯免許だったのですが、改正により10年の有効期間が設けられました。2009年4月以降の免許状に適用されています。有効期間が満了になったとき、申請により更新できるのですが、それには免許状更新講習を修了することが条件になります。
また、「教職大学院設立に関する省令等」(2007年)により、教職大学院が開設されました。2年の修業期間で教職修士の学位が与えられます。しかし、これは教育職員免許取得の条件になるものではありません。
全教科での情報教育への取組みの必要性
情報教育は情報教科だけで行うものではありません。国語や数学など他の教科でも情報教育を行うことが必要です。
先に初等中等教育での情報教育の基本的な目標として,「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」を示しました。それを高校での学習活動の具体的展開とするために,文部科学省「初等中等教育における情報化に関する検討会報告書」(2006年)は,「すべての教科で情報教育を」することが必要だとしています。すなわち,情報の免許の有無ではなく,全教員が情報技術を活用して授業ができる能力が求められているのです。
(例示)
- 情報活用の実践力
- 小・中学校で習得した「スキル」を、総合力である「リテラシー」として熟成させることが必要
- ・情報手段の適切な活用
問題解決を効果的に行なうためには、目的に応じた解決手段の工夫と情報手段の適切な活用が必要であることを理解する【情報A】
- ・必要な情報の主体的な収集等
葉書、封書、ファックス、電子メールなど、使用する媒体に応じて文章の種類や形態を選ぶ【国語表現Ⅰ・国語表現Ⅱ】
- 情報の科学的な理解
- ・情報手段の特性の理解
物理学によって解明された、物理現象や物質の性質の理解の上に、コンピュータ・情報技術等が実現されていることを知る【物理Ⅱ】
- ・基礎的な理論や方法の理解
簡単な数値計算のアルゴリズムを理解し、それを科学技術計算用のプログラム言語などを利用して表現し、具体的な事象の考察に活用できるようにする【数学B】
- 情報社会に参画する態度
- ・情報や情報技術の役割や影響の理解
コンピュータを中心にした先端技術を取り上げ、情報のの同時性による世界の一体化などに着目し、その課題
を考察する【世界史A】
- ・情報モラル・情報への責任
映像メディア表現の仮想と現実の相違を理解し適切に分別する力や情報に関する倫理観を身に付ける【美術Ⅰ・美術Ⅱ・美術Ⅲ】
- ・望ましい情報社会の創造への参画
将来にわたって情報技術の活用能力を高めていくことが必要であることを理解する【情報A】