スタートページ主張・講演経営者・利用部門のためのIT入門

第2章 IT投資の費用対効果

表示が不十分なときは、□をクリックすると、その部分が別ウインドウに表示されます。

経営者がITに関して抱く最大の疑問は「この投資をして儲かるのか?」でしょう。
 「IT化は儲かるのか?」は、コンピュータが企業に導入され始めた1960年代から現在に至るまで常にいわれてきた半世紀にわたる「古くて新しい」問題です。IT投資に限らず、すべての投資に採算性が求められるのは当然です。ところが、生産設備や店舗などの投資にくらべて、IT投資の採算性についての話題が多いのはどうしてでしょうか。それは、IT投資が増大していること、IT投資がわかりにくいことに原因があります。
 本章ではこれをテーマにします。なお、ここの内容は本サイトの別シリーズ「情報化投資の費用対効果」をコンパクトにしたもので、かなりの重複があります。

2.1 国レベル・企業レベルでのIT投資
2.2 IT投資がわかりにくい理由の分析
2.3 インフラ投資の重要性
2.4 個別アプリ投資評価の困難性
2.5 経営者が考慮すべきこと


下図は、日本情報システム・ユーザ協会による調査結果です。経営者の一員でITの最高責任者であるCIO(Chief Information Officer)が勉強したいこと、すなわち、CIOがその任務を遂行するのに、自分の知識が不十分だと思っている事項のトップが「IT投資の客観的評価手法」になっています。
 CIOは、自社のIT投資について、全体のIT投資額を売上高の何%程度にするのが妥当だろうか、個々のIT投資の案件について承認すべきかどうかの決断を迫られます。それに自信がもてないでいるのでしょう。

CIOが勉強したいこと

2.1 国レベル・企業レベルでのIT投資

まず、国レベル・企業レベルで、IT投資の採算性について考えます。「当社のIT投資額は妥当なのだろうか?」という疑問を対象にします。


2.2 IT投資がわかりにくい理由の分析


2.3 インフラ投資の重要性

IT投資には、パソコンやネットワークの整備のようなインフラ投資と、販売システムや会計システムなど特定の業務を対象とした個別アプリ投資があります。これらは異なる評価基準が必要です。ここでは、インフラ投資を対象にします。


2.4 個別アプリ投資評価の困難性

販売システムや会計システムなどの基幹業務系システムだけでなく、グループウェアやデータウェアハウスのような情報検索系システムでも目的や対象が明確になっている情報システムへの投資を、ここでは個別アプリ投資とします。個別アプリ投資でも、費用対効果の評価は難しいことが多いのです。


2.5 経営者が考慮すべきこと

ここまで、IT投資の費用対効果がわかりにくい理由を列挙しましたが、費用対効果を考えなくてよいということではありません。わかるようにする努力が必要です。それを、とかくIT部門に要求する傾向がありますが、それでは解決しないどころか、大きな副作用を生じます。また、発想を変えれば、それほどわかりにくいものではないのです。
 なお、ここでは個別アプリ投資に限定します。