請負・委任(準委任)・派遣
契約には,請負・委任(準委任)・派遣の形式があります(委任とは弁護士などのように法律行為に関係するものを指し、それ以外のものを準委任といいます)。
これらの違いは下表の通りです。
請負 | 委任(準委任) | 派遣 | |
---|---|---|---|
契約内容 | 業務一括引受、 結果に対して報酬 |
業務処理の一任、 善管注意義務 |
派遣先の命令 指揮下への従事 |
命令指揮 | 受託者 | 受託者 | 派遣先(発注者) |
対価支払 | 原則一括支払 | 時間(工数) | 時間(工数) |
完成責任 | あり | なし | なし |
瑕疵担保責任 | あり | なし | なし |
請負と準委任の違いは、請負が情報システムを完成するように、仕事の完成が契約の終結になるのに対して、準委任はコンサルタントなど、助言や提案などを誠実に実行することにあり、情報システムの完成や経営目標の達成そのものは契約内容になっていないことにあります。
請負では、契約した業務がきちんと関係したら代金を払うという契約ですから、その業務の仕様と完成の条件を明確に契約することが大切です。引き渡した後に欠陥が見つかったときは修正する責任があり、それを瑕疵担保責任といいます。民法で1年以内、商法で6ヶ月以内となっています。
準委任では、一定水準の業務をしてくれることに代金を払う契約ですので、業務の内容や水準について双方が同じ理解が得られる契約にする必要があります。
善管注意義務とは、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務のことです。準委託の受託者は、受託業務の専門家ですから、契約で明記されなくても、専門家として一般的・客観的に要求されるレベルの義務を負います。
派遣とは、単純にいえば、労働者を一定期間貸借することです。派遣先の命令指揮で仕事をするのですから、その成果に関しては責任がありません。アルバイトとの違いは、アルバイトは企業と個人との雇用契約になりますが、派遣契約では、派遣元企業と派遣先企業の間の契約で派遣元の社員を貸すことになります。
派遣が多くなると正規雇用が減り、健全な労使関係が崩れてしまうので、労働者派遣法による制約を受けます。