ITILは2019年に第4版になりました。従来の版とはかなり構成が変わったので、新規のページにしました。
ITILとは何か、ITマネジメントシステムとの関連などは、
これまでのページを参照してください。
V3までは、ITILの目的を「ビジネスに対して価値を提供するためのITサービス」という立場でした。ベンダがサービスを提供し、サービス消費者が価値を受け取る一方通行な関係であり、サービス消費者は自分自身のために価値を創造するという考え方は希薄でした。
それに対して、V4では「ビジネスとIT、その他の利害関係者が一緒にサービスを通じて価値を作っていく(価値共創)という立場に大きく拡大しています。価値を共創するために、利害関係者全体が要件の定義からシステム設計・運営、改善などの局面で情報を共有し、コミュニケーションを円滑にすることが必要です。
近年は、アジャイル開発・運用が重視されています。開発担当者と運用担当者(利用部門)が共同して作業する環境になり、アジャイルに適した方法論も発展してきました。これらを取り込むための変更が行われました。
サービスによる価値創造にための組織活動をシステムとして体系化しています。
ITILを進め成功させるための原則です。
利害関係者のビジネスニーズを、組織のビジョンと戦略に照らし合わせて、サービスマネジメントの「4つの側面」と「6つの外的要因」の観点から「評価」し、「指針となる原則」に基づいて優先度付けと意思決定を行い、「サービスバリューチェーン」上で「バリューストリーム」として実行されるマネジメント活動に対して「方向付け」と目標設定を行い、その目標を達成するためにマネジメント活動のパフォーマンスを「モニタリング」します。
このように、これまでのサービスマネジメントという視点に対して、組織レベルのガバナンスという経営者の視点が加わったことが特徴です。
4つの側面 V3での4P
・組織と人(Organizations and people) people
・情報とテクノロジー(Information and technology) product
・パートナーとサプライヤ(Partners and suppliers) partner
・バリューストリームとプロセス(Value streams and processes) process
6つの外的要因
・政治的要因
・経済的要因
・社会的要因
・技術的要因
・法的要因
・環境的要因
V4では、3つのカテゴリと34のマネジメントプラクティスに体系化されています。
マネジメント・プラクティスとは、V3ではプロセスの名称でした。実践や事例という意味です。
プラクティスを適宜組み合わせることにより、サービスバリューチェーンが形成されます。
一般なマネジメントプラクティス
・ アーキテクチャ管理
・ 継続的な改善
・ 情報セキュリティ管理
・ ナレッジ管理
・ 測定と報告
・ 組織変更管理(編制に関する)
・ ポートフォリオ管理
・ プロジェクト管理
・ リレーションシップ管理
・ リスク管理
・ サービス財務管理
・ 戦略管理
・ サプライヤ管理
・ 従業員のタレント管理(人材管理)
サービスマネジメントプラクティス
・ 可用性管理
・ ビジネス分析
・ キャパシティとパフォーマンス管理
・ 変更コントロール
・ インシデント管理
・ IT資産管理
・ 監視とイベント管理
・ 問題管理
・ リリース管理
・ サービスカタログ管理
・ サービス構成管理
・ サービス継続性管理
・ サービスデザイン
・ サービスデスク
・ サービスレベル管理
・ サービス要求管理
・ サービス検証とテスト
技術マネジメントプラクティス
・ 展開管理(デプロイ)
・ インフラストラクチャとプラットフォーム管理
・ ソフトウェア開発と管理
ITIL資格は、民間団体による技術認定資格ですが、高く評価されています。V4により改訂になりました。