情報システムへの要求には、「○○表を作成する」というような機能に関する機能要求と、「システムの稼働率は○○%以上」とか「応答時間は○○秒以内」などの非機能要求に区分できます。
非機能要求が厳緩は、開発工数やハードウェア性能に大きく影響するので、ユーザ/ベンダ間で共通の認識をもつ必要があります。そのため、RFP(提案依頼書)や要件定義の段階で明確にするべきなのですが、具体化が進んでいない上流工程で非機能要求を扱うことは困難なことが多いのです。
そのため、非機能要求に漏れがあったり認識の違いがあったりすることに気づかずに開発が進んでしまい、後になってから大きなトラブルが生じることがあります。
IPA/SEC(情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター)は、このような状態を防止することを目的とし、「非機能要求グレード利用ガイド」(2010年)を策定しました。
非機能要求項目の体系化
非機能要求をスコープとして、非機能要求の項目を6つの大項目にわけ体系的に網羅することにより、漏れがないようにしています。
情報システムの重要度
稼働率のレベルなどは、情報システムの用途により異なります。それで、情報システムを、
・社会的影響が極めて大きいシステム
・社会的影響が限定されるシステム
・社会的影響が殆ど無いシステム
に区分して、それぞれに応じた標準的なレベル、その設定についての留意事項を示しています。
さらに、その作業を行うツール(テンプレート)も提供しています。
「非機能要求グレード利用ガイド」は、多くの規格や基準を参考にしていますが、ここでは、次の2つをあげておきます。