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デジタル・データ基本計画


IT総合戦略本部は、2013年以降「世界最先端IT国家創造宣言」に基づいたIT戦略を推進してきましたが、2016年に成立した「官民データ基本法」を受けて、IT総合戦略本部は2017年から2019年にかけて「デジタル・ガバメント実行計画」を策定しました。
 この流れに呼応して、IT総合戦略本部は2017年に「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を策定しました。この宣言は2018年に「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」に改称しました。
 二つの宣言の内容はやや異なりますが、「IT」は短期間ですので、ここでは主に「デジタル」を対象とし、「デジタル・データ基本計画」と略称します。

第1部 世界最先端デジタル国家創造宣言

I. 基本的考え方
II. ITを活用した社会システムの抜本改革
  • 1 デジタル技術を徹底的に活用した行政サービス改革の断行
    行政サービスの100%デジタル化、行政保有データの100%オープン化、デジタル改革の基盤整備
  • 2 地方のデジタル改革
    IT戦略の成果の地方展開、クラウド導入、オープンデータ、シェアリングエコノミーの推進
    地域生活の利便性向上のための「地方デジタル化総合パッケージ」
  • 3 民間部門のデジタル改革
    官民協働による手続コスト削減、協調領域の明確化と民間データの共有、データ流通環境の整備、デジタル化と働き方改革
  • 4 世界を先導する分野連携型「デジタル改革プロジェクト」
    港湾物流、農水産業の推進、データヘルス×マイナポータルの連動、自動運転
III. 抜本改革を支える新たな基盤技術等
  • 1 基盤技術
    AI、クラウドとエッジ・コンピューティング、IoT社会、5G、ブロックチェーン、セキュリティ
  • 2 人材の育成等
  • 3 抜本改革後に到来するデジタル社会
IV. 抜本改革推進のための体制拡充と機能強化

第2部 官民データ活用推進基本計画

I. 官民データ活用推進基本計画に基づく施策の推進
  • 1 官民データ活用の推進に関する施策についての基本的な方針
    基本計画の策定と実施、重点分野の指定(分野横断的なデータ連携)、官民データ活用によるEBPMの推進
    (EBPM;Evidence-Based Policy Making、合理的証拠に基づく政策立案)
  • 2 推進体制
    基本計画のPDCA、関係本部等・地方公共団体・事業者等との連携・協力
II. 施策集:官民データ基本法関係
  • 行政手続等のオンライン化原則(第10条)
  • オープンデータの促進(第11条第1項及び第2項)
  • データの円滑な流通の促進(第11条第3項関係】
  • データ利活用のルール整備(第12条)
  • マイナンバーカードの普及・活用(第13条)
  • 利用の機会等の格差の是正(第14条)
  • 情報システム改革・業務の見直し(第15条第1項)
  • データ連携のためのプラットフォーム整備(第15条第2項)
  • 研究開発(第16条)
  • 人材育成、普及啓発(第17条、第18条)
  • 国の施策と地方の施策との整合性の確保(第19条)
  • 国際貢献及び国際競争力の強化に向けた国際展開

デジタル・データ基本計画は、2部からなっています。
「第1部 世界最先端デジタル国家創造宣言」は、以前からの「世界最先端IT国家創造宣言」の継続、「第2部 官民データ活用推進基本計画」は、「官民データ基本法」を受けて具体的な施策を示したものです。そして、双方とも、推進・管理に関しては「デジタル・ガバメント実行計画」を反映しています。

第1部の特徴
第2部の特徴

行政サービスとマイナンバー

上図の赤枠の部分です。地方自治体の行政内部システムの多くは住民情報に関連しています。民間と連携するよいっても対象は電気やガスなどのライフラインや銀行などの個人情報関連システムでしょう。これらのシステムを連携するには個人番号がキーになるので、それを統一すること、すなわちマイナンバーを用いるのが効果的です。
 しかし、マイナンバーの用途が広がるに伴い、本人が把握していない個人情報の利用や個人情報の漏洩などのリスクが増大します。「安心・安全」な利用のためには、利便性とセキュリティの両立が求まられます。

 マイナンバーの取扱は「デジタル・データ基本計画」の重要な柱であり、その国民的合意ができるかどうかが、このIT戦略の成否を握っているともいえます。