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Webアクセシビリティ
(JIS X8341-3)

  1. アクセシビリティとは何かを類似語との比較で理解し、Webアクセシビリティの確保・向上が社会的義務であることを理解します。
  2. 「ウェブコンテンツJIS」(JIS X8341-3)が制定されました。府庁省や地方公共団体はこれに準拠することが求められていますが,一般のWebページでも準拠することが望まれます。それがどのようなものかを理解します。

キーワード

アクセシビリティ,ユーザビリティ,ウェブコンテンツJIS(JIS X8341-3『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』)


Webアクセシビリティとは

アクセシビリティ

すべての人が情報機器を使えること、さらには、快適に使えるようにすることが必要ですが、それに関する用語を列挙します。

アクセシビリティ
アクセシビリティ(accecibility)とは、字句通りには「接近しやすさ」ですが、次の用語の総称のような概念です。特に情報関連では、アクセシビリティがよく用いられます。
バリアフリー
アクセシビリティのうち、高齢者や障害者が困難と感じる障害を取り除くことです。例えば点字ブロックや段差のない通路などです。情報関連では、表示文字の大きさや読み上げ機能などです。
ユニバーサルデザイン
元来は建築用語で、狭義にはバリアフリーを考慮した設計のことですが、広義には個人差や国籍の違いなどによる障害など全ての人(ユニバーサル)を対象にしています。
ユーザビリティ
これも利用しやすさの意味ですが、アクセシビリティが高齢者や障害者を対象にしているのに対して、ユーザビリティは一般の人も含めているようです。JIS Z8521では、ある製品が、ある目的のために用いられる際の、「有効さ」、「効率」、「満足度」の3つの要素であると定義しています。
 有効さ:目的の結果を確実に達成できる度合い
 効率: その作業を短時間で達成できる度合い
 満足度:有効さや効率に関する利用者の評価(また利用してみたいと思うかどうか)
(参照:「Webユーザビリティ」

情報アクセシビリティ

JIS X 8341(高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-)では,情報アクセシビリティを「高齢者・障害者が,情報通信機器,ソフトウェア及びサービスを支障なく操作又は利用できる機能」と定義しています。

Webアクセシビリティ

JIS X 8341の第三部JIS X 8341-3(ウェブコンテンツ)では、高齢者・障害者および一時的に障害のある人がWebコンテンツを利用できるようにするための指針で、企画、設計、開発、制作、保守および運用の全ての工程において配慮すべき一般的原則が示されています。

目的の情報をいかに容易に得られるかということになります。通常は,身体障害者や高齢者などに優しいWebページを作成することや,Webページの読み上げソフトや身体障害者用のマウスやキーボードなど技術的な支援のことを指します。そして,Webページ作成でのアクセシビリティをWebアクセシビリティといいます。

Webアクセシビリティの重要性

アクセシビリティ対策の義務

アクセシビリティに考慮することは,障害者や高齢者への「思いやり」ではありません。すべての人が平等に社会生活をするための「権利」であり「義務」なのです。
 憲法では基本的人権として「第21条 集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。」「第25条 すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」としています。現在の社会において,インターネットによる情報の受発信は,日常生活や社会活動をするのに不可欠なものになってきました。それにおける機会均等の環境を保障することは,国民の権利・義務といえましょう。
 IT基本法( http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/index.html)の第8条(利用の機会等の格差の是正)では、「高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差が、高度情報通信ネットワーク社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれがあることにかんがみ、その是正が積極的に図られなければならない。」としています。
 障害者基本法( http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/kaisei.html)では、第6条の2(国民の責務)で「国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の人権が尊重され、障害者が差別されることなく、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することができる社会の実現に寄与するよう努めなければならない。」、第19条(情報の利用におけるバリアフリー化)では「国及び地方公共団体は(中略)障害者に対して情報を提供する施設の整備等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。」としています。
→アクセシビリティ保障の動向

世界でのアクセシビリティ保障の動向

参照:JEITA「欧米諸国におけるアクセシビリティ標準化に関する調査報告書」 http://it.jeita.or.jp/perinfo/committee/accessibility/uslaw/report0208/frame/f_index.html

米国の「リハビリテーション法508条」
米国では,1973年にリハビリテーション法504条により,障害者の権利が法律として保障されました。当初は行政機関にのみ適用されていましたが,1990年の「障害を持つアメリカ人法(ADA)」により,民間にまで適用が拡がりました。さらに1998年には,連邦政府における電子情報技術を障害を持つ職員が障害を持たない職員と同等に利用できるようにすること,連邦政府が提供する情報・データに障害を持つ国民が障害を持たない職員と同等に利用できるようにすることを義務づけ,2001年から施行されています。これは,連邦政府に取引を持つ民間企業にも大きな影響を与えています。
EUの「Design-for-all」
EUでは,1999年に全ての欧州市民の為の情報社会を構築することを提唱するeEuropeという文書を採択しました。eEurope2002のなかに「知識経済における全ての欧州市民の電子的な参画」があり,障害者や高齢者の参画を保障する「Design-for-all」というコンセプトを掲げています。このDesign-for-allは,EUが1990年からす済めてきたTIDE(Technology for the Integration of Disabled and Elderly people)プロジェクトの一環として研究開発されてきたものを引き継いだものですが,情報関連製品やサービスを障害者や高齢者を含む全ての人々にアクセシブルにしようというものです。これらの取組みは,各国での個別の政策に反映されています。
W3C/WAIの「WCAG」
W3C(World Wide Web Consortium)は,HTMLの標準仕様などWWWに関する技術の標準化をすすめる団体で,WAI(Web Accecibility Initiative)その下部組織でアクセシビリティを検討しています。WAIは,1999年にWCAG「Web Contents Accecibility Guideline 1.0」を策定し,その後2005年に改訂が行われています。
WCAG(2.0)(>ワーキングドラフト)では,アクセシビリティを次の4原則
  Perceivable:利用者がウェブコンテンツを認知できる
  Operable:利用者がウェブコンテンツのインターフェース要素を操作できる
  Understandable:利用者がウェブコンテンツやコンテンツのコントロール要素を理解できる
  Robust:ウェブコンテンツが現在のみならず将来の技術に渡って利用できる
に区分し,それぞれにのガイドラインがあり,ガイドラインごとにレベル1からレベル3までの達成基準の定義しています。

日本でのアクセシビリティ保障の動向

通商産業省「障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティ指針
通商産業省(現経済産業省)では,1995年に「障害者等情報処理機器アクセシビリティ指針」を告示し,2000年に「障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティ指針」に改訂しています。同指針の目的は次の通りです。
 「情報化社会の進展に伴い,情報作成,情報伝達,情報収集等のために個人において情報処理機器の活用が一層浸透し,国民一人一人の日常生活において情報処理機器は 必要不可欠な手段となりつつある。このような中で,情報処理機器を障害者・高齢者を含めて誰もが容易に利用できるようにすること(アクセシビリティ)は,極めて重要となっている。
 現在,障害者・高齢者等において,障害による操作上の障壁,加齢に伴う心身機能の低下による操作上の障壁,病気やケガ等に起因する一時的な心身機能の低下(*)による操作上の障壁,暗所,騒音下等の特別な環境(*)における操作上の障壁のような機器操作上の障壁により,情報処理機器の利用に支障をきたすケースがあるが,本指針は,このような課題に対処するため,キーボード及びディスプレイ等の標準的な入出力手段の拡充や専用の代替入出力手段の提供を促進し,もって障害者・高齢者等の機器操作上の障壁を可能な限り低減し,使いやすさを向上させることを目的とするものである。」
 * このようにアクセシビリティは,日常的には障害を持たない人にも重要なことなのです。
IT戦略本部「e-Japan
IT基本法に基づき設置されたIT戦略本部は,2005年までに世界最先端のIT国家となることを目標に,2001年の「e-Japan戦略」を発表し,その後,それの重点政策や見直しを続けてきました。そこでも,「ITは障害者や高齢者の社会参加を促進するツールであることから,年齢・身体的な条件等に起因するITの利用機会や活用能力に格差が生じることがないよう,障害者や高齢者のIT利用の促進に,十分に配慮する。」(e-Japan 重点計画- 2002),「高齢者,障害者を含めて全ての者がITを利活用できるよう,情報活用能力の向上,誰もが使いやすい機器・システムの開発・普及の促進等情報バリアフリー政策を推進する。」(e-Japan戦略II)というように,アクセシビリティを重視した政策がとられています。
総務省「ウェブ・アクセシビリティ実証実験」
総務省は,2001~2002年度に「高齢者,障害者等が利用しやすいホームページの普及に向けた支援システムの実証実験」(ウェブアクセシビリティ実証実験)を実施しました。地域の高齢者・障害者と,ホームページ担当者との交流の場を設けて,地方公共団体,高齢者・障害者団体,民間企業等が,各自のホームページのアクセシビリティを点検・修正することを通して,その後の政策に取り組もうとしたものです。
NICT(情報通信研究機構)
情報バリアフリーのための情報提供サイト」があります。高齢者・障害者の方等に直接役立つ情報や、情報バリアフリー関連の興味深い情報等を掲げています。
内閣府「障害者基本計画
1982年に「国連障害者の十年」の国内行動計画として「障害者対策に関する長期計画」,1992年にその後継計画として「障害者対策に関する新長期計画」が策定され,これは19992年に改正された「障害者基本法」により同法に基づく障害者基本計画と位置付けられました。この障害者基本計画においては,新長期計画における「リハビリテーション」及び「ノーマライゼーション」の理念を継承するとともに,障害者の社会への参加,参画に向けた施策の一層の推進を図るために,2003年から2012年度までの10年間に講ずべき障害者施策の基本的方向について定めたものです。
そのなかで,「情報・コミュニケーション」の分野では,基本方針として「ITの活用により障害者の個々の能力を引き出し,自立・社会参加を支援するとともに,障害によりデジタル・ディバイドが生じないようにするための施策を積極的に推進するほか,障害特性に対応した情報提供の充実を図る」とし,施策の基本的方向として,「情報バリアフリー化の推進」「社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」「情報提供の充実(点字図書,字幕付きビデオなど)」「コミュニケーション支援体制の充実」の分野での施策が掲げられています。
「障害者基本法」
2004年の「障害者基本法の一部を改正する法律」では、情報に関する事項が重視されています。

  • (目的)第一条 この法律は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて障害者の福祉を増進することを目的とする。
  • (国民の責務)第六条の2 国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の人権が尊重され、障害者が差別されることなく、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することができる社会の実現に寄与するよう努めなければならない。
  • (情報の利用におけるバリアフリー化)第十九条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を利用し、及びその意思を表示できるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。
    2 国及び地方公共団体は、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たつては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならない。
    3 電気通信及び放送その他の情報の提供に係る役務の提供並びに電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、社会連帯の理念に基づき、当該役務の提供又は当該機器の製造等に当たつては、障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならない。

Webアクセシビリティ/ユーザビリティの重要性

障害者の社会参加は重要です。また、少子化高齢化社会が進行していることから高齢者の社会参加が必要です。自由に出歩くことにハンディを持つ人にとっては、自宅から社会に参加する環境としてWebは重要なものになっています。その活用により、実際に外出する機会も増大します。
 それで、Webアクセシビリティへの配慮が、ますます重要になってきたのです。

Web利用にハンディを持つ人は、高齢者・障害者だけでなくWeb利用の初心者もいます。そのような人にも利用してもらうには、使いやすいことが必要です。
 特に行政でのWebページでは、電子自治体の発展により、住民と行政の間のコミュニケーションツールとしてWebページが重要な役割を持っています。行政からの広報機能では住民の知る権利を保証する必要がありますし、意見募集では主張する権利を保証する必要があります。さらに、Webページによる申請・手続システムでは機会均等が求められますし、災害情報・医療情報の通知など人命や財産に関係することもあります。
 このように行政Webサイトの機能が充実するのに伴い、成果享受の機会均等が求められ、格差是正措置が必要になります。それで、高齢者・障害者を対象としたアクセシビリティだけでなく、ブラウザ操作になれていない人にも使いやすくするユーザビリティがますます重要になるのです。
 Web利用のベテランの人にとっても、探すページに容易に到達できること、まごつかないで操作できることなど、使いやすさは重要です。これが不十分なサイトは利用されないでしよう。

アクセシビリティとユーザビリティは矛盾するものではありません。JIS X8341-3での規定に従うことにより、一般利用者にも使いやすいWebページにすることができます。また、多くの「利用しやすいWebサイトの作り方」などの図書で示している内容の大部分はアクセシビリティに関する事項です。
 なお、安心して利用してもらうためには、セキュリティ対策が重要な要件になりますが、ここでは省略します。


ウェブコンテンツJIS(JIS X8341-3)

2004年に,Webアクセシビリティに関するJIS X8341-3『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報機器における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ』が制定されました。上記の障害者基本法では原則が示されているだけですが,それを実行するために国及び地方公共団体の担当者が参照すべき具体的な指針が,JIS X8341-3であるといってよいでしょう。

ウエブコンテンツJISのの概要

ウエブコンテンツJISの位置づけ

JIS(日本工業規格)とは,工業製品(サービスも含む)の標準規格です。どのナットにもボルトが入るのは,それらがJIS規格に準拠した寸法になっているからです。JISに準拠していることは,他の製品・サービスと互換性があり,一定の品質を備えていることを示すものでもあります。
 JISのなかに「高齢者・障害者等配慮設計指針」のシリーズがあり,そのなかに「情報通信における機器,ソフトウェア,サービス」のシリーズX8341(「やさしい」と覚えるとよい)があり,さらにそのなかの第3部(X8341-3)が「ウェブコンテンツ」になっています。本規格は http://www.jisc.go.jp/app/pagerで閲覧できます。

ウエブコンテンツJISの目的

ウエブコンテンツJISの目的として,本規格の序文を掲げます。
 「この規格は,主に高齢者,障害のある人及び一時的な障害のある人が,これらの情報通信における機器,ソフトウェア及びサービスを利用するときの情報アクセシビリティを確保し,向上させるために,ウェブコンテンツを企画,設計,開発,制作,保守及び運用するときに配慮すべき事項として明示したものである。」
 このように,単にWebページだけでなく情報通信一般を対象としていること,制作だけでなく企画や運用など幅広いプロセスを対象にしていることがわかります。すなわち,「Webアクセシビリティ」よりも広い概念なのですが,ここでは,Webアクセシビリティに限定して話を進めます。

ウェブコンテンツJISの構成

  序文 
  1 適用範囲 
  2 引用規格 
  3 定義 
  4 一般的原則 
  5 開発及び制作に関する個別要件 
  6 情報アクセシビリティの確保・向上に関する全般的要件 
  附属書1(参考)ウェブコンテンツに関する例示 
  附属書2(参考)関連規格 

ウェブコンテンツJISの内容

「4 一般的原則」と「5 開発及び制作に関する個別要件」について,どのようなことが書かれているのかを紹介します。

「4 一般的原則」

ここでは,ウェブコンテンツの情報アクセシビリティを確保し,向上させるために,基本方針,基本的要件,推奨要件を示しています。

「4.1 基本方針」では,次の3つをあげています。

  1. ウェブコンテンツを企画・制作するときに,可能な限り高齢者・障害者が操作又は利用できるように配慮する。
  2. ウェブコンテンツは,できるだけ多くの情報通信機器,表示装置の画面解像度及びサイズ,ウェブブラウザ及びバージョンで,操作又は利用できるように配慮する。
  3. ウェブコンテンツの企画から運用に至るプロセスで情報アクセシビリティを常に確保し,更に向上するように配慮する。

「4.2 基本的要件」では,どのような障害を持つ人の利用を想定するべきかを示し,「~でなければならない」ことをあげています。

  1. 視覚による情報入手が不自由な状態でも利用できる
  2. 聴覚による情報入手が不自由な状態でも利用できる
  3. 特定の身体部位だけでの入力方法に限定しない
  4. 身体の安全を害することなく利用できる

「4.3 推奨要件」では,さらに進んで「~することが望ましい」ことを示しています。

  1. 認知及び記憶への過度な負担をかけずに,ウェブコンテンツを操作又は利用できる。
  2. 利用する情報通信機器及び利用環境を限定せずに,多様な環境でも,ウエブコンテンツを操作又は利用できる。
  3. 情報通信機器及びウェブブラウザの操作及び利用に不慣れな利用者でもウェブコンテンツを操作又は利用できる。

「5 開発及び制作における個別要件」

「4 一般的原則」を実現するために,「5 開発及び制作における個別要件」では,次の9つのパートにわけて,それぞれの留意点を示しています。
  1. 規格及び仕様への準拠
  2. 構造及び表示スタイル
  3. 操作及び入力
  4. 非テキスト情報
  5. 色及び形
  6. 文字(大きさを閲覧者が変更できること,背景色を考慮することなど)
  7. 音(音声だけで情報を伝えるのではなく代替手段も必要です)
  8. 速度(ページの自動移動や,画像の置換速度など)
  9. 言語(文字化けの防止,日本語ページに外国語を多用しないことなど)

例えば「5.2 構造及び表示スタイル」では,次の留意点をあげています。これらをチェックリストとして用いることができます。「~ならない」と「~望ましい」を使い分けていることに注意してください。

  1. ウェブコンテンツは,見出し,段落,リストなどの要素を用いて文章の構造を規定しなければならない。(HTMLのタグを体裁のために使うのではなく,論理的な意味で用いよということです)
  2. ウェブコンテンツの表示スタイルは,文書の構造と分離して,書体,サイズ,色,行間,背景色などをスタイルシートを用いて記述することが望ましい。ただし,利用者がスタイルシートを使用できない場合又は意図的に使用しないときにおいても,ウェブコンテンツの閲覧及び理解に支障を生じてはならない。
  3. 表は,わかりやすい表題を明示し,できる限り単純な構造ににして,適切なマーク付けによって,その構造を明示しなければならない。
  4. 表組みの要素をレイアウトのために使わないことが望ましい。
  5. ページのタイトルには,利用者が識別できる名称をつけなければならない。
  6. フレームは,必要以上に用いないことが望ましい。使用するときは,各フレームの役割が明確になるように配慮しなければならない。(メニューのためのフレームなのか,本文のためのフレームなのかがわかりやすいようにすることです)
  7. 閲覧しているページがウェブサイトの構造のどこに位置しているかを把握できるように,階層などの構造を示した情報を提供することが望ましい。(構造とは,このページの先頭部分「スタートページ> Web教材一覧> 法規・基準」のような表示のことです)

基本的な考慮点

ここでは、JISの規約を離れて、通常のWebページを構築するときに考慮すべき点をいくつか列挙します。その基本となるのは、利用者の立場から作成することであり、次の2点に集約されます。
 ・凝るな。シンプルにせよ。
 ・HTML文法を守れ。

全体を通して

閲覧者は芸術を期待していない
きれいな写真やイラストを掲げたり、文字のデコレーションに凝っているとかくWebページにページがありますが、特殊なサイト以外では、それを期待してアクセスすることはありません。閲覧者はページが表示されるのに2秒以上かかるとイライラして、他のページに移ってしまうという「2秒ルール」があります。画像ファイルを用いたり表(テーブル)形式にしたりすれば、そのために時間がかかります。凝ったページは迷惑なのです。
スタートページは案内板
特にスタートページに凝る傾向がありますが、スタートページは看板ではありません。このサイトにどのような情報があるのか、その情報に容易にアクセスするにはどうするかを示す案内板なのです。
利用者をまどわせない
リンクが隠されていたり画像にカーソルを合わせただけでリンクされたりすると、利用者は予期しない動きにまどわされます。また、サイト内での現在のページの位置が不明確だと元に戻ったり他のページに移るのに戸惑ってしまいます。閲覧者は特殊なテクニックを調べたくてこのページに来たのではないのです。
ブラウザを指定するな
どのブラウザでなければ読めないというのは困ります。すべてのブラウザを対象にするのは無理ですが、著名なブラウザには対応するべきです。それには、ありふれたタグだけで記述すればよいのです。閲覧者は特殊な技術を期待してこのサイトに来たのではないのですから、新しい技術や特殊な技術は避けたほうがよいのです。

アクセシビリティ

TITLE文
ヘッダ部には必ずページの内容に合致したTITLEを記述します。目の不自由な人は、それでページを確認しているのです。他のページと同じだと期待したページに移動したのかどうかわかりません。同様な理由でフレームも避けるのが適切です。
画像にはALT句を
目の不自由な人は読み上げソフトを使っていますが、画像は読み上げることができません。画像は邪魔ですので極力避けるべきです。画像を用いるときには、読み上げソフトは<img src="画像ファイル" alt="説明文">の"説明文"の部分を読み上げますので、適切な説明文を入れましょう。ところが、ここでくどくど記述するのは不適切です。画像があっても、ポイントになる事項は本文でも記述しましょう。
背景色と文字色
緑の背景に赤の文字では色弱の人は読めません。薄い色の文字も困ります。白の背景に黒の文字が最善なのです(このページは不適切です)。
文字の大きさを可変に
高齢者は小さい文字には苦労します。ブラウザ機能で拡大することができますが、フォントの大きさを絶対値で指定していると、それも使えません。
長いページにするな
ページが長いと、手が不自由な人はスクロールするのに苦労します。それで、通常のディスプレィで画面に入りきる量を1ページにするのが適切です(本ページは都合により、この原則に完全に反しています)。

理解度テスト

第1問

  1. 高齢者・障害者に利用しやすくすることをユーザビリティといい、それを含み一般の人も利用しやすくすることをアクセシビリティという。
    × ユーザビリティとアクセシビリティが逆
  2. Webアクセシビリティは、JIS X 8341-3としてJIS規格になっている。
  3. アクセシビリティに考慮することは,障害者や高齢者への「思いやり」ではなく「義務」である。
  4. Webアクセシビリティを向上させようとすると、Webユーザビリティが損なわれることが多い。
    × 両者は共通した部分が多く両立する
  5. JIS X 8341-3は,主に高齢者,障害のある人及び一時的な障害のある人が,これらの情報通信における機器,ソフトウェア及びサービスを利用するときの情報アクセシビリティを確保し,向上させるために,ウェブコンテンツを企画,設計,開発,制作,保守及び運用するときに配慮すべき事項として明示したものである。
  6. JIS X 8341-3では、視覚障害者、四肢障害者を対象にしており、聴覚障害者は対象にしていない。
    × 聴覚障害者は対象
  7. JIS X 8341-3ではウェブブラウザの操作及び利用に不慣れな利用者た対象にしていない。
    × 推奨要件で対象にしている。
  8. ウェブコンテンツの表示スタイルは,文書の構造と分離して,書体,サイズ,色,行間,背景色などをスタイルシートを用いて記述することが望ましい。
  9. スタートページは看板と同様に、訪問者に目立つような体裁にするのが望ましい。
    × スタートページに到達したことは店内に入ったことで看板ではない
  10. <img src="画像ファイル" alt="説明文">での説明文では、画像ファイルの内容をできるだけ詳細に記述するのがよい。その画像がグラフならば、その値をすべて記述するべきである。
    × むしろ簡潔にして、本文でポイントを記述する

4択問題「Webアクセシビリティ」(std-accecibility