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通信一般・通信技術

LANやインターネットの基本は通信です。ここでは,
   通信回線の種類と通信機器(アナログ/デジタル回線,モデムなど)
   交換方式(パケット交換,多重化方式など)
   伝送制御手順(フレーム同期,HDLCなど)
   誤り制御(パリティチェック,CRCなど)
などを取り扱います。

LANやインターネットなどの構成やプロトコルなどに関しては、本章では扱いません。無線通信での特有な事項に関しても、本章では扱いません。むしろ、これらと直接関係のうすい分野をここに集めたといえます。しかし、LANやインターネットなどでの説明は、ここで学習した知識(用語や概念)をベースにしています。
 また、本章では、現在は使われなくなった過去の技術も含んでいます。現在の技術を理解するには、それ以前の技術との対比をするのが適切だと思ったからです。

キーワード

アナログ回線,デジタル回線,モデム,TA,半二重,全二重,回線交換方式,パケット交換方式,TDM,同期制御,フレーム同期,基本形データ伝送制御手順,コンテンション方式,ポーリング/セレクティング方式,HDLC伝送制御手順,フラグシーケンス,フレームの形式,P/Fビット,NRM,ARM,ABM,マルチリンク,フレームリレー,ATM、誤り制御,パリティチェック,CRC方式(巡回符号検査方式),ハミング符号,ITU-T勧告,IEEE

本章の体系図

通信回線の分類

公衆回線と専用回線

公衆回線
公衆回線(public circuit)とは、通常の電話回線のように,不特定多数の利用者によって共有して利用される回線です。
NTTやKDDIなどの電気通信事業者(キャリア)が、それぞれの回線や設備を敷設し、他のキャリアと相互接続して、全国に広くネットワークを構築しています。
従来は、電話を対象としたアナログ回線でしたが、近年はデータ通信の発展に伴いデジタル化が進んでいました。
インターネット回線
インターネットも、回線としては主に公衆回線のデジタル回線を利用しています。
公衆回線にインターネットに必要な機器を接続し、キャリア間で相互接続の取決めなどをして、インターネットを構成しているのです。当初からインターネット利用を目的として敷設する公衆回線もありますが、物理的な違いというより運用的な違いといえましょう。
専用回線
専用回線(leased line)は、利用者が独占的に用いている回線です。
大企業では本社,支店,工場などの事業所、関係会社間で頻繁に大量の通信をしています。それで,自社だけで利用する回線を借りるほうが適切なことがあります。
 ・常時接続しても費用がかかりません。リアルタイムで大量データの送受信に適切です。
 ・事業所をまたいだLANのような利用ができます。
 ・第三者からのアクセスがないので、セキュリティも安全です。
キャリアから特定の回線を借りるのでかなり高価格になります。
VPN(Virtual Private Network)
VPNとは、物理的には公衆回線(インターネット)を用いますが、暗号化などの手法を用いて論理的に専用回線と同様に使えるようにする技術です。
専用回線に比べてかなり低価格で実現できるので、これが主流になっています。

LANとWAN

LAN(Local Area Network)
家庭内や事業所内など、同一構内に限定されたネットワークをLANといいます。
自宅で複数のパソコンやスマートフォンなどを接続するのもLANですし、大きなオフィスビルで複数階をつないだ大規模なLANもあります。
LANでは、他人に迷惑をかけないので、特定の制約内(通常の市販機器はそれに準拠しています)で自由に構築することができます。
WAN(Wide Area Network )
広義には、LAN以外のネットワークのことです(注)が、通常は、地理的に離れた地点間を結ぶ自社専用のネットワークを指します。
典型的な例では、東京本社内のLANと大阪支店内のLANを、専用回線やVPNにより接続して、大きな一つのLANのように運用することなどです。
(注)通信技術の分野では、広義の扱いをすることがあります。例えばルータの外部への接続ポートをWANポートといいます。これはインターネットだけでなく、一般の回線への接続も対象にしています。
MAN(Metropolitan Area Network)
都市(実際には区や市のうち利用者が密集している地域)を対象としたネットワークです。通常はMAN事業者が光ケーブルなどの高速回線を設置して加入者のLANと接続します。
この用語があまり普及しないまま、VPNのサービスとして提供する形態になりました。

イントラネット/エクストラネット

インターネットが普及し始めたころ、LANやWANをインターネット技術(TCP/IP、ブラウザなど)により再構築する動向が進みました。
 近年はあまり使われませんが、次の用語がありました。

アナログ回線とデジタル回線

アナログ回線とは、電話のように情報(音声)を電流の波形に変換して通信する方式です。電流の波は連続的(アナログ的)ですので,このような通信回線をアナログ回線といいます。
 デジタル回線とは、通信する情報を0/1のビットとして通信する方式です。近年は、データ通信だけでなく、音声通話もデジタル化して通信するようになってきました。
 現在、アナログ回線を廃止してデジタル回線に統合する動向が進んいます。

アナログ/デジタルの区分は、これらは回線を流れる情報の区分で、ケーブルの種類による区分ではありません(光ケーブルなどケーブルの特質によりデジタル回線に限定していることもありますが)。それなのに区分しているのは、回線を流れる情報がアナログかデジタルかで、ケーブルを流れる間に減衰するのを復元したり、他の回線に渡したりする方式や設備が異なるからです。

方式や設備は、利用者が変更することはできません。デジタル情報をアナログ回線に流したり、デジタル情報をアナログ回線に流すことはできないのです。
 昔は、インターネットに接続するのに、アナログの電話回線していました。パソコンの内部はデジタル情報ですから、アナログ回線でインターネットに接続するには、デジタル情報をアナログ情報に変換(AD変換)する機器(モデム)が必要でした。
 現在主流になっている光回線などのブロードバンド回線はデジタル回線ですので、このような変換は必要ありません。

データ通信に関連する装置

パソコンを通信回線に接続する形態を論理的(抽象的)な表現をすると図のようになります。
 なお、ここではアナログ回線でのインターネット接続のような、現在ではあまり使われていない時代も対象にしています。

接続論理図
DTE(Data Terminal Equipment:データ端末装置)
パソコンなどのデータを送受信する装置のことをDTEといいます。
DCE(Data Circuit-terminating Equipment:データ回線終端装置)
DTEを通信回線に接続するための装置をDCEといいます。その装置は通信回線の種類により異なります。
アナログ回線のとき
DTEの内部ではデジタル信号になっています。送信するにはそれをアナログ信号に変える(変調という)必要がありますし,受信するにはアナログ信号をデジタル信号に変える(復調という)必要があります。そのための装置がモデム(MODEM:変復調装置)です。
 ダイアルをする装置をNCU(Network Control Unit)といいますが,一般にはモデムの中にこの機能を内蔵しているので,変復調とダイアル機能を含めてモデムというのが通常になっています。さらに,モデムを内蔵しているパソコンも多く,モデム自体が私たちには見えないこともあります。
デジタル回線のとき
ISDNのようなデジタル回線のときは変復調は不要です。しかし,通信回線とパソコンを直接に接続することはできません。まず家庭内と電話局との境界にDSU(Digital Service Unit:宅内回線終端装置)を置いて,パソコンや電話機に配線します。また,その配線とパソコンの間にTA(Terminal Adapter)というアダプタを設置します。多くのTAがDSUも内蔵しており,これら全体をTAということもあります。
LANの場合は,デジタル回線ですし,他のパソコンとの接続方法は電話とは異なる方式を用いますので,DTEとしては不要ですが,LANと接続するためにLANカードが必要になります。
           公衆回線    専用回線
   アナログ回線  モデム+NCU モデム
   デジタル回線  TA+DSU  TA
   LAN       -     LANカード
>
CCU(Communication Control Unit:通信制御装置)
コンピュータなどの機器と通信回線の間で通信の制御を行う装置です。直列ビット列をコンピュータの並列ビット列に変換誤り検出や誤り訂正などを行ないます。モデムなどに内蔵されていますが、局側の装置として設置されることもあります。

伝送モード

単方向通信(片方向通信)
送信側と受信側が常に固定しているならば,データの流れは一方通行になります。それを単方向通信といいます。
全二重通信
通常は送信側と受信側が変るのが通常です。電話では双方から話をするし,Webページ閲覧でもURLを送信してページを受信しています。そのような通信を双方向通信といいます。
双方向通信をするには2つの方法があります。その一つは全二重通信です。分離線のある道路のように,一方は上り専用,他方は下り専用とする方法です。ツイストペアケーブルを使う10Base-T や 100Base-TX がこれにあたります。1000BASE-Tにおいては全二重通信のみが可能です。
半二重通信
双方向通信のもう一つの方法は半二重通信です。分離線のない道路のように,双方から通信ができますが,同時に行うと衝突が起こることがあります。それを避けるためには,トランシーバーのように,一方から入ってきたら,他方はそれが終わるまでまっているようにします。10Base2 や 10Base5 のように同軸ケーブルを使用したバス型LANで使われています。

交換方式

交換方式の分類

通信回線は多数の人が利用しています。そのとき,送信者Aと受信者Bの間で回線を確保することを交換といいます。それには次の方式があります。このうち,データ通信で重要なのはパケット交換方式です。

回線交換方式(Circuit Switching)
通常の電話では,ダイアルをかけて相手にかかってから切断するまでの間は回線を占有する方式です。
回線交換の長所
  通信密度が高い通信に向いている。
  伝送路を確保するため、リアルタイム性が要求される通信に向いている。
  遅延時間がパケット交換に比べて短い(音声品質がよい)。
回線交換の短所
  送受信していない間も回線を占有してしまう。そのため,費用が高くなる。
  送受信側で同一速度,同一伝送制御方式を採用している必要がある。
このため、電話には向いていますが、データ通信では不適切なので現在では使われていません。
蓄積交換方式(Store and Forward Switchin)
送信するデータをいったん交換機(ルータ)に蓄積してから相手を呼び出し,相手の交換機に転送する方式です。これにより,通信速度や伝送速度方式の制約がなくなります。蓄積交換方式には,送るデータをそのまま蓄積して送るメッセージ交換方式と,データを一定の大きさに分割して(パケットという)送るパケット交換方式があります。

パケット交換方式(Packet Exchange Method)

パケット交換方式では,電文をいくつかの一定の範囲の大きさに分割して,それぞれに宛先や番号などのヘッダをつけたパケット(小包の意味)にします。そして,複数のパソコンからきた電文を1本の通信回線に混載して送ります。
 受取側のパケット受信装置では,ヘッダを見て宛先に分け,ヘッダ部分を削除して元の電文にして,各宛先に送ります。インターネットでは,通信経路が一定していないので,送信した順序と受信した順序が異なることもありますが,パケットの番号を調べて正しく復元します。
 パケット交換方式により,回線が占有されることがなくなり、通信回線を効率良く利用することができますし,柔軟に経路選択が行なえるため、一部に障害が出ても他の回線で代替できるという利点もあります。それでインターネットに利用されているのです。
 パケット交換方式の一つにフレームリレー(Frame Relay)があります。光ファイバなどの伝送手段の信頼性が向上したため,従来パケット通信に使われていたX.25という規格の誤り訂正手順を簡略化して高速化を図ったものです。

パケットの多重化

回線交換方式とパケット交換方式の特徴

       回線交換方式       パケット交換方式
 通信路確保 通信中一つの通信路を確保 通信路の共有。パケットによる多重通信
 通信信号  アナログ・デジタル    デジタル情報のみ
 有線・無線 どちらも使える      どちらも使える
 用途    連続的通信(電話)    断続的通信(データ通信)  →注

(注)当初、電話でのパケット交換方式は、安価になるが音質が悪いといわれていましたが、現在では遜色ない状態になっています。携帯電話での電話は、例外を除きパケット交換方式です。スマートフォンでは、回線交換方式とパケット交換方式の両方に対応しています。固定電話は原則として回線交換方式ですがIP電話はパケット交換方式です。

多重化方式

多重化とは,1本の高速回線を用いて,複数の通信を同時に行う技術です。多重化方式には次の方式およびこれを組み合わせた方式があります。

SDM(Space Division Muitiplexing:空間分割多重化)
有線のときは、1本の導線には1つの通信だけだが、複数の導線を束めたケーブルにして複数の通信を行う方式です。特に「多重化」というほどのことではありません。
無線の場合は、電波を複数の受信者に向けた方向に送ることによる同時通信と、複数のアンテナを使って同時に複数の電波を送受信するMIMOがあります。MIMOは無線LAN(WiFi)で広く利用されています。
FDM(Frequency Division Muitiplexing:周波数分割多重化)
アナログ回線の周波数帯域を複数の狭い周波数帯域のチャネルに分割して複数の通信をします。
例えば,電話では4KHzの帯域幅があれば十分ですので,48KHzの帯域幅の回線を,12の4KHzに分割すれば,同時に12の電話をすることができます。
FDMは、テレビ放送がアナログであったときに広く採用されていました。
TDM(Time Division Muitiplexing:時分割多重化)
1本のデジタル回線をタイムスロットという単位時間で分割して切り替えて通信します。
そのとき,切り替える順序を固定して繰り返していく方式をSTM(Synchronous Transfer Mode)といい,順序を取り決めないでデータの到着順に送る方式をATM(Asynchronous Transfer Mode)といいます。
TDMは、現在のデジタル通信で広く使われている方式です。
CDM(Code Division Multiplexing:符号分割多重化)
データごとに違う符号(コード)を混ぜて送信します。受信先で元の符号を使うと対応したデータだけ元の情報に戻すことができ、他のデータは解読できません(無線では雑音になります)。そのため、暗号化も兼ねることができます。
携帯電話や無線LAN(WiFi)などで使われています。
WDM(Wavelength Division Muitiplexing:波長分割多重化)
光ファイバでの多重化です。1本の光ファイバを波長の異なる複数信号で送ります。

伝送制御手順

伝送の手順

伝送制御は,次の手順で行います。

   回線接続          受話器をとる
   ↓ データリンクの確立   電話番号をかけて相手を確認する
   ↓ ↓ データの送受信   用件を話す
   ↓ データリンクの解放   さようならをいう
   回線切断          受話器を置く

ここでのデータリンクは、OSI基本参照モデルでのデータリンク層とは違います。インターネットで相手と回線接続するのはネットワーク層(IP)で、データリンクの確立はトランスポート層(TCP)です。

同期制御

通信をするには,送信側と受信側でタイミングを合わせる必要があります。それを同期制御といいます。現在はフレーム同期が一般に用いられています。

ビット同期(非同期式)
ビット同期は,1文字ごとに,先頭を示すスタートビット(0)と最後を示すストップビット(1)を付け加えて送ります。1文字を1バイト=8ビットとするならば,10ビットで1文字を送ることになります。そして,その各10ビットを受け取る時間間隔を送信側と受信側で決めておきます。現在はほとんど使われていません。
キャラクタ同期
いくつかの文字列をブロックにまとめて送る方式です。ブロックの先頭にSYN符号(10010110)を数個並べておき,これがきたら新しいデータであると認識する方法です。比較的低速の基本形伝送制御手順(ベーシック手順)で用いられています。
フレーム同期
これもブロックでの送信ですが,任意のビット列を送信できます。ビット列の先頭と最後にフラグシーケンスという特殊なビット列を付加して送ります。高速のデータ伝送に適しており,HDLC手順で採用しています。HDLCでのフラグシーケンスには 01111110 が用いられます。フレーム中のフラグシーケンス以外のフィールドにこのビットパターンがあれば,転送の前に1のビットが5個連続すると送信側では強制的に0を6ビット目に挿入し,受信側でそれを取り除くようにしています。

伝送制御手順

伝送制御手順には,基本形データ伝送制御手順とHDLC伝送制御手順があります。基本形は低速通信に用いられるもので,現在では一般にHDLCが用いられています。

基本形データ伝送制御手順

ベーシック手順,BSC手順ともいいます。キャラクタ同期をベースにしたものです。基本形データ伝送制御手順では,次の2つの方式でデータリンクの制御が行われます。

コンテンション方式
ポイントツーポイントで接続されている場合に用いられます。二つのコンピュータが同等の権利を持ち,先に送信した側(SYNを発行した側)が送信権を得て,相手側から肯定応答(ACK)を得たら,データを送信します。
ポーリング/セレクティング方式
伝送を制御する制御局と複数の従属局が分岐回線方式(マルチドロップ方式)で接続されています。ポーリングとは,制御局が全ての従属局に対して順次に送信要求があるかどうか問い合わせます。セレクティングとは,逆に制御局が従属局に送信したいとき,制御局が従属局に対して受信可能かを問い合わせます。
マルチドロップ方式

HDLC

HDLC(High-level Data Link Control procedure)伝送制御手順は,パケット交換方式,フレーム同期の伝送制御手順です。公衆回線にも専用回線にも利用でき,半二重,全二重でも利用できます。
 基本形とHDLCを比較すると多くの点でHDLCが勝っており,高速のデータ伝送に適した方式です。現在のLANやインターネットで用いている仕様は、HDLCとやや異なりますが、同じ考え方になっています。

         基本形            HDLC
   伝送効率  1ブロックごとの送信確認   複数フレーム連続して送る
   信頼性   データの重複発生を防げない  データの抜け、重複が発生しない
   汎用性   業務に依存          上位プロトコルと完全独立

フレームの構成

HDLCでは,データをフレームという単位で送信します。フレームは情報部(送るべきデータ)の前後に次のような情報を付加したものです。

HDLCフレーム
情報部
送るべきデータの本文です。フレーム同期ですので任意のビット数でもよいのですが,FCSでの誤り制御をするために8の倍数になるように調整します。なお,情報部があるフレームを情報フレーム,情報部を持たないフレームを制御フレームといいます。
フラグシーケンス
フレーム同期のために,フレームの先頭と最後を示すフラグです。01111110 のビット列です。
アドレス部
送信するフレームの宛先または自局のアドレスです。そのフレームがコマンドのときは,宛先の二次局(複合局)のアドレス,レスポンスのときは,どの二次局(複合局)から送られたかを示すアドレスです。です。どの局(ホスト)がどのアドレスにするかは,ネットワーク設計で決めます。8ビットなので256個のアドレスが付けられますが,00000000 と 11111111 は特殊目的に使うので,最大254個の局が接続できます。
制御部
8ビットからなり,三つの形式と個々のビットの値により,コマンドやレスポンスの制御をします。詳細は後述します。
FCS(フレーム検査シーケンス)
アドレス部,制御部,情報部のビット列が正しく伝送されたかどうかをチェックするためのビット列です。CRCという方法でチェックします。これに関しては「誤り制御」で詳述します。

制御部の詳細

制御部は,次の構成になっています。なお,この図は非拡張形式ですが,16ビットの拡張方式もあります。

制御部の形式

フレームの形式

先頭の1~2ビットで,フレームの種類を示します。

I(Information)形式
実際に情報を送るフレームです。
S(Supervisory)形式
データリンクの監視制御の実行機能だけを持つフレームです。情報フレームに対する返事(レスポンス)と伝送制御用のコマンドで,次の種類があります。
  RR:情報フレームの受信可能を示す。情報フレームを正しく受信したことを通知
  RJE:情報フレームの受入拒否。指定した情報フレーム以降の再送要求
  RNR:情報フレームの受信不可能を通知
  SRE:指定した1つの情報フレームの再送要求
U(Unnumbered)形式
データリンクの設定・切断に使用するフレームです。その他,異常状態の通報など多くの種類があります

動作モード

P/Fは,コマンドの場合P(poll)ビット、レスポンスの場合F(final)ビットといいます。

一次局は基本形伝送制御手順の制御局,二次局は従属局に相当します。一次局は,データリンクの制御を行う局で,アドレスで指定した二次局に対してデータリンク制御機能の実行(送受信など)を指示するコマンドを送信し,二次局は,それに従ってレスポンスを送信します。すなわち,1次局はコマンドのみを送出でき、2次局はレスポンスのみを送出できます。
 複合局は,基本形伝送制御手順でのポイントツーポイントのような位置づけで,相手の複合局からの許可がなくても,コマンドやレスポンスを送信できます。

NRM(Normal Response Mode:正規応答モード)
二次局は,一次局からPビットが1のコマンドを受けたときだけ,それに対応する動作をします。そしてFビットを1としたレスポンスを返信します。
ARM(Asynchronous Response Mode:非同期応答モード)
データリンクが確立すれば,全二重通信ならばいつでも,半二重通信ならば休止チャネル状態のとき,Pビットが1のコマンドを受けなくてもレスポンスを送信できます。
ABM(Asynchronous Balanced Mode:非同期平衡モード)
複合局同士での場合です。互いに相手の許可なしにコマンドまたはレスポンスを送信できます。

送信順序番号N(S)と受信順序番号N(R)

順序番号は3バイトですので0~7,送信側では,送る順にN(S)に1を加えて(7を超えたら0から初めて),最大6個のフレームを一度に送信します。受信側はそれを調べて,正しく受け取れた最終番号をN(R)に入れて返信します。送信側はそれを見て,その次のフレームから送信します。このようにして,抜けや重複の防止に用います(この項は,イメージを容易にするために,厳密性を欠いた説明をしています)。なお,拡張方式では7バイトなので0~127が使えます。


HDLC関連の通信

マルチリンク手順とは,HDLCなどのパケット交換網において構築される個々のデータリンクを論理的に束ねて,一つのデータリンクとして動作させるためのJIS X 5107で規定されているプロトコルです。それにより,1本の通信回線では得られない通信速度を複数の通信回線を組み合わせて実現したり,通信回線が不通になった場合に残りの通信回線で通信を継続することにより信頼性を高めることができます。

LAP(Limk Access Procedure)とX.25

LAPとは,伝送制御手順のことですが,一般にはHDLC手順のことをいっています。LAPには,ISDN用のLAP-Dとパケット交換での平衡型用のLAP-Bがあります。LAP-BはX.25のプロトコルで規定されています。それによる電話網の改良版として,公衆パケットサービスというネットワークサービスが提供されました。しかし,現在ではフレームリレーやその他の利用が進み,使われなくなっています。

フレームリレー(Frame Relay)

光ファイバなどの伝送手段の信頼性が向上したため,実務的には,フレーム送信時の順序番号の付与やチェック,再送機能などの重要性が少なくなりました。それで,X.25の誤り訂正手順を簡略化し高速化を図ったものがフレームリレーです。1.5Mbps以上のデータ通信サービスが各社により提供されており,専用回線に広く利用されていました。

DLCI(Data Link Connection Identifier)
フレームリレーでは多重化方式で通信しますが,そのときの論理パスの識別子です。
PVC(Permanent Virtual Circuit)/SVC(Switched VC)
DLCIを固定的に設定するのをPVC,動的に付番するのをSVCといいます。
LMI(Link Management Interface)
PVC状態の確認手順。DLCI番号とIPアドレスの対応づけをします。
CIR(Committed Information Rate)
フレームリレーが保証する転送速度。これにより,輻輳(ふくそう)によりデータが全然転送できなくなるのを防ぐために設定します。
LAPF(Limk Access Procedure for Frame mode baerer service)
フレームリレーの転送プロトコルです。

ATM(Asynchronous Transfer Mode)(セルリレー)

ATMは,非同期方式、固定長のTDM(時分割多重化)による伝送プロトコルです(フレームリレーには固定長と可変長のものもあります)。
 ATMでは,低速回線から来たデータを,到着順に,固定長のセルに分割し,それに低速回線の番号などのあるヘッダを付けて高速回線で送信します。高速回線の反対側にあるATMは,そのヘッダにより,どの通信かを識別して,セルに分割したものを元通りに復元します。
 このような方式をセルリレーといいます。

隔で回線を巡回して送ります。順番がきた回線に送るデータがないと空のセルを送ります。
 それに対してATMは非同期方式ですので、ATMのほうが回線効率が高くなります。

ATMのセルは固定長で48オクテットです。単にデータを送るだけならよいのですが,それでも細切れになってしまいます。それに,インターネットで利用するには,IPヘッダやTCPヘッダなどを付加するので,ほとんど本文を入れる余裕がありません。それで,AAL(ATM Adaptation Layer)という上位層と合わせて用いられます,それにより,連続して最大192個のセルを送ることができます。

しかし,これではすべてセルが正確に受信できないと,すべてのセルを再送信しなければなりません。ATMではイーサーネットやFDDIと異なり送信権の制御をしていないために,通信回線が輻輳することがあり,輻輳するとセルの脱落が発生する可能性が高くなり,それがさらに輻輳を招くという危険があります。そのため、光回線などの高速回線が必要です。

ATMは、以前は通信事業者の基幹回線網などで利用されていましたが、広域イーサネットへと移行しました。現在では、身近な例として、 電話回線でインターネットに接続するADSLでは、ISPへの接続でリンク層のプロトコルに用いられます。


誤り制御

データは伝送やコピーなどの操作により、ビット単位での誤りが発生することがあります。それを検出できれば訂正することが重要です。それを誤り制御といいます。
 誤り発生は伝送中に発生することが多いので、ここで取り上げました。

垂直パリティチェック方式(Vertical Redundancy Check)

キャラクタ単位に、誤りがないかチェックする方式です。送信時にキャラクタ内の1の個数がすべて偶数個(偶数パリティといいます。すべて奇数にするなら奇数パリティです)になるように,1ビットのパリティビットを付加して送信します。受信側で1のビット数を数えることにより誤りの検出ができます。簡単な方法であり,奇数個の誤りは検出できますが,偶数個の誤り時には検出できません。また訂正はできません。

垂直パリティチェック方式

水平パリティチェック方式(Longitudinal Redundancy Check)

ブロックについて,キャラクタの各ビット桁の1の数が偶数になるようにBCC(Block Check Character)を付加して、誤りを検出する方式です。一般に垂直パリティ方式と併せて使用されます。受信側で垂直・水平パリティチェックをすることにより,誤りの訂正もできます。しかし,検出できない場合もあります。

水平パリティチェック方式

CRC方式(Cyclic Redundancy Check)

巡回符号検査方式ともいいます。送信データをビット列を多項式として,それを決められた生成多項式(16ビットの生成多項式はX16+X12+X+1)で割り,その余りのビット列を付加します。受信側ではその逆算を行って誤りを検出します。非常に高い精度で の誤り検出が可能です。特に通信では連続的にビット誤りが発生します。それをバースト誤りといいますが,その検出に効果的です。CRCはHDLCでの誤り制御に採用されているので,LANやインターネットで広く用いられている方法です。

CRCの説明はかなり面倒ですので,簡単な例題で説明します。

 例えば,送信するべきビット列を1111,生成多項式をG(X)=X+X+1とします。すると,

   X X X  1   X X X X X X  1
                1  1     1         .
   1  0  1  1 ) 1  1  1  1         
                1  0  1  1         .
                   1  
                   1  0  1  1      .
                         1  1
                         1  0  1  1
                            1  1  1

となります(ここで0-1が-1ではなく,+1になっていますが,気にしないでください)。

余りがX+X+1ですので,付加するビットは111になり,これを検査ビット(FCS)といいます。

 受信側にデータ1111とFCS111が送られてきたときは,
   X X X  1   X X X X X X  1
                1  1     1         .
   1  0  1  1 ) 1  1  1  1  1  1  1      
                1  0  1  1         .
                   1  0  0  1  1  1
                   1  0  1  1      .
                         1  0  1  1
                         1  0  1  1
                                  0
となり,割り切れますので,誤りがなかったことがわかります。

 1101111が送られてきたときは,
   X X X  1   X X X X X X  1
                1  1  1  1         .
   1  0  1  1 ) 1  1  0  1  1  1  1      
                1  0  1  1         .
                   1  1  0  1  1  1
                   1  0  1  1      .
                      1  1  0  1  1
                      1  0  1  1   .
                         1  1  0  1
                         1  0  1  1
                            1  1  0
となり,割り切れないので,誤りがあることがわかります。

ハミング符号

ハミング符号とは,情報ビットに冗長ビットを付加して,2ビットの誤り検出と1ビットの誤り訂正機能をできるようにしたものです。自動訂正機能に採用されています。
 4ビットX,X,X,Xを送りたいとします。そのとき,冗長ビットとして,

   X   +X+X+P      =偶数
   X+X   +X   +P   =偶数
   X+X+X         +P=偶数

となるようなP,P,Pの3ビットを付加して,Xを送るのです。

たとえば,1011を送るのであれば,

   1  +1+1+P      =偶数
   1+0  +1   +P   =偶数
   1+0+1        +P=偶数

から,P=1,P=0,P=0ですので,1011100として送ります。

もし,1110011を受け取ったとします。

   X X X X P P P
   1  1  0  0  1  1  1
   1    +0 +0 +1       =偶数 (a)
   1 +1    +0    +1    =奇数 (b)
   1 +1 +0          +1 =奇数 (c)

なので,bとcの両方にあってaにない変数Xが誤りで,1を0にする必要があること,すなわち,送信元は1010を送ったのだということがわかります。


通信に関する規格

通信分野では,X.25とかIEEE802などの規格がよく出現します。本シリーズに関係しているものをいくつか列挙します。

ITU-T勧告

ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)は,電気通信に関する規格を作っている機関で,そのなかの国際電気通信連合電気通信標準化部門が規定している勧告をITU-T勧告といいます。

Hシリーズ(マルチメディア関連)
H.222.0 MPEG-2の仕様
H.264  MPEG-4の仕様
Vシリーズ(アナログのデータ通信,モデム関連)
V.24   RS-232C
V.90   56kbpsモデム 下り56kbps 上り33.6kbps
Xシリーズ(データ通信網関連)
X.25   パケット交換網の規格
X.500  ディレクトリサービスの規格

IEEE規格

IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子技術者協会)も電子・通信を中心とする規格の設定をしています。
   IEEE1394 「FireWire」といわれる高速なSCSI規格
   IEEE802シリーズ(無線LAN規格)
   IEEE802.3    イーサーネットのCSMA/CDに関する規格
   IEEE802.11b/g/n 11Mbpsの高速な無線LANの仕様


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