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コールセンター

キーワード

コールセンター、CTI、RPA、チャットボット、リモートアシスタンス


コールセンター

顧客からの問合せは、商品・サービスの質問やクレームなど多様な内容があります。内容別に窓口を設置したのでは、顧客はどこに電話してよいか戸惑いますし、たらいまわしをされると悪印象をもちます。それを防ぐために、最初の対応は一個所で集約し、適切に担当部署へ連携を行います。このように、顧客窓口を一つに統合することを、SPOC(Single Point of Contact、単一窓口)といいます。

企業により、SPOCの名称は、コールセンター、サービスセンター、ヘルプデスク、ご相談窓口などまちまちですが、ここではコールセンターで代表します。 コールセンターはCRM(顧客関係改善)に必須な機能であり、ほとんどの企業が何らかの形態でコールセンター(以下センターといいます)を設置しています。
なお、企業の情報システムのITサービスでの利用者窓口はサービスセンターというのが通常です。

ここでは、顧客からの問い合わせは電話で受けることにします。また、コールセンター側が電話を受ける場合をインバウンド,コールセンター側から顧客に電話をかける場合をアウトバウンドといいますが、ここではインバウンドを対象にします。

コールセンターの構成は、SPOCとして最初に受ける(狭義の)コールセンターと、そこから回された担当部門のコールセンターがからなります。
 担当部署側で最初に対応することを一次対応といいます。一次対応で解決できればよいのですが、込み入った内容で解決できないときは、スーパーバイザなどに引き継ぎます。それをエスカレーションといい、新たな対応を二次対応といいます。

コールセンターの効率化

コールセンターにアクセスしてきた利用者が短時間で解決方法が得られるようにする手段が求められます。

FAQ(Frequently Asked Questions)
逆説的ないいかたですが、コールセンター運営を抜本的に改善するには、問合せを少なくするのが効果的です。
 よくある(あるいは頻出すると思われる)質問とその回答を集めたものです。多くの製品Webサイトでは、「よくあるご質問」のページがあります。
 これが充実しており検索が容易ならば、センターへの質問を減少させることができます。
 この「検索を容易」にする方法が、検索エンジンでの各種方法を応用して検討されています。→参照:検索エンジンの検索方法の改善
応対マニュアル
センター担当者の応対は、利用者満足に大きな影響を与えます。その改善のために優秀な担当者のベストプラクティスを体系化した応対マニュアルを作成し、教育し、普及させることが必要です。
 ・応答での話し方、適切な表現など
 ・対処できる範囲の拡大(エスカレーションを減らす)
 ・そのための知識向上、ツールの活用 → ITの活用

コールセンターでのITの活用

CTI(Computer-Telephony Integration:コンピュータ電話統合)技術

電話交換機とコンピューターを機能統合したシステムです。これを活用すると,次のようなことが可能になります。

AIの活用

「情報を表示して」のためには、機器の仕様書や過去のトラブル対応などの情報をデータベースに蓄積し、それをAI技術などにより適切な回答が得られるようにするアプローチが注目されています。このような分析には専門家が必要ですが、情報と対策を知識ベースに変換して、比較的単純な問合せに応じるエキスパートシステムとしてコールセンターに提供することができれば、大きな効果が得られます。

リモートアシスタンス

パソコンのトラブル対応などで、質問者のパソコンをセンター側から操作でき、その様子を質問者が見えるようにする機能です。質問者と回答者が同じ画面を見ながら電話で質問や説明をすることにより、解決が容易になります。

質問者は解答者にリモートアシスタンス接続の依頼をし、回答者が接続を試みると、質問者のパソコンに接続可否の画面が表示され、質問者が許可すると画面共有の環境になります。
 通常のリモートアクセスでも同様な遠隔操作ができますが、質問者のパソコンに回答者のユーザアカウントが必要です。リモートアシスタンスではその必要がなく、質問者が許可すれば誰でも遠隔操作ができます。

チャットボット

チャットが人間同士の会話なのに対して、チャットボット(=チャット+ロボット)は、AI(人工知能)を活用した「自動会話システム」の相手とのチャットです。
 急速な音声認識時術と人工知能・機械学習の発展により、チャットボットの能力は急速に高度化しています。一次対応での基本的な部分をチャットボットで行い、人間のオペレータがスーパーバイザ随時割り込むようなレベルでしたら実用化の段階になってきました。さらに高度化して、高度な質問に回答できるようになれば、コールセンター業務の省人化が進むでしょう。

RPA(Robotic Process Automation)

従来は人間が行っていた事務作業を、業務手順をシナリオとしてコンピュータに組み込んでおき、一連の業務を自動的に行わせる仕組みです。→詳細:RPA
 現状のRPAは、定例的な事務作業が主な対象ですが、将来はチャットボットと組みあわせてコールセンター機能も対象になりましょう。

関連事項

アウトバウンド

コールセンターから顧客に商品紹介やアフターフォローなどの電話(電子メールもある)をかけることです。人間による電話だけでなく、CTIで自動的に電話をかけ、反応のある応答があれば人間に代わるという方法もあります。
 いわゆる「迷惑メール」になることがあるので、「特定商取引法」での法的規制、日本コールセンター協会による「コールセンター業務倫理ガイドライン」(https://ccaj.or.jp/telemarketing/rinri_guideline.pdf)のような自主ルールがあります。

コールセンターの外注

SNSの活用

特定の製品(群)を対象にしたSNSが増加してしてきました。とかく企業の運営によるコマーシャル的なものが多いのですが、あえて一般顧客を主体にして批判的な意見を歓迎するSNSも出現してきました。そこでは、顧客のトラブルに関する質問に、顧客が回答するあるいは企業担当者が顧客の立場で回答するようなことも行われています、これにセンターが有益な情報を提供すれば、センターへの問合せをSNSで吸収することができます。