スタートページWeb教材一覧システム調達

RPA(Robotic Process Automation)


RPAの概念

RPA(Robotic Process Automation)とは、ホワイトカラー業務の自動化の概念やそれを支援するソフトウェアのことです。
 直訳すれば「ロボットによる業務自動化」ですが、生産現場でのロボットのようなハードウェアではありません。ホワイトカラーの業務手順をシナリオとしてコンピュータに組み込んでおき、一連の業務を自動的に行わせる仕組みです。

単純な事務処理のコンピュータかは以前から実現してきました。RPAでも、ある程度の手順が決まっている定型作業が得意な分野ですが、柔軟性と適応力は高く、状況に応じてカスタマイズできるため、幅広い業務に導入できる可能性があります。
 ホワイトカラー業務を自動化することにより、
  ・業務処理の時間短縮や処理の正確化
  ・長時間稼働が可能
が実現し、人手不足対策、労働時間の短縮対策に役立ちます。

RPAは、大まかに
  ・単純作業を対象にした狭義のRPA
  ・判断力や自己学習機能などを取り込んだEPA、CA
に区分できます。この節では狭義のRPAを対象にして、EPAやCAについては後述します。

狭義のRPAのイメージ

狭義のRPAでは、人間が指定したシナリオに従って一連の処理を自動的に行ないます。
 例えば、エアコン修理依頼への対処では、
  ・顧客の氏名や故障状況などを得る。
  ・顧客台帳から住所や対象機器名を得る。
  ・地図ソフトから顧客付近の地図を得る。
  ・機器台帳から故障状況に合致した修理内容を得る。
  ・作業員の能力リスト及び予定表から適切な作業員と修理日時を得る。
  ・必要な管理簿にこれらの結果を登録する。
というような一連の処理があります。

これらの個々の処理には、既存のアプリケーションがあり、それに必要な入力データがあります。そのアプリケーション名と、先行処理で得た入力データの値を指定すれば、この処理の実行が自動化されます。
 すべての処理について、アプリケーション名と入力データの情報をシナリオファイルに登録すれば、これらの一連の処理を自動化できます。

すなわち、(狭義の)RPAは、独自のアプリケーションを構築するのではなく、既存のアプリケーションを組み合わせた一連の処理をシナリオとして記述し、自動化することです。そして、このシナリオ作成を容易にするのがRPAツールです。

コマンドファイルとの比較

表計算ソフトでは、一連のキーボードやマウスの操作をファイルに保管しておき、そのファイルを指定することで、同じ処理を行うことができます。また、アプリケーションの実行や入力データなどのコマンドをファイルにしておき、そのファイルを指定することでバッチ処理を行うことができます。
 少々工夫すれば、個々の実行で異なる箇所をパラメータ指定にすることや、前の処理の結果により次の処理を変更できるような機能を記述することも可能です。

このようなコマンドファイルをRPAではシナリオといいます。そして、RPAの最も基本的な機能は、シナリオの作成を容易にするツールを提供することにあります。
 それにより、IT部門でなく利用者部門でも自分の業務をRPAにすることが可能になってきました。

RPAの実装

RPAの3段階

RPAは、判断力や自己学習機能などの有無により3段階に区分されます。

RPA(Enhanced Process Automation):定型業務の自動化
上述した狭義のRPAです。決められたこと以外はできないので、単純作業の反復が対象になります。

これに対して、次のEPAやCAは、AIなどの学習機能を内蔵し、ビッグデータの分析結果との連動処理に用いれらます。

EPA(Enhanced Process Automation):非定型業務<、例外対応
自然言語や画像など非構造化データ、ビッグデータも扱い、決定木分析やクラスタリングなどの機械学習機能をもちます。その結果とRPAの連携もします。
CA(Cognitive Automation):高度な自律化
個々の機能はEPAとほぼ同じですが、それらの処理を自律的に行うことが特徴です。これが実現すれば、高度な意思決定への適用も可能だといわれています。しかし、このレベルは概念があるだけで、実例も支援ツールも発表されていません。