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技術戦略技法


技術革新

技術のSカーブ

多くの科学技術・産業技術に共通して見られる性質の一つで、技術の発展・進歩のペースが、当初は緩やかに、その後急激になるが、やがて限界が近づき再び緩やかになります。それを図示すると右図のようなS字カーブになります。
・導入期:技術開発の初期では技術革新に長い研究・技術が続きます。
・成長期:その技術が軌道に乗ると急速に進歩します。
・成熟期:やがて基礎理論や関連技術による限界に近ずくと、理論的にも費用的にも困難が高まり、成長は緩やかになります。
その頃になると新しい代替技術が導入期から成長期に入ってきます。
参照:ハイプ曲線

イノベーション

イノベーション=(技術)革新。これによる新製品(サービス)や新市場の変革創出により競争力を高めます。

革新対象による区分

プロダクトイノベーション
革新的な新製品を開発して、差別化を図ること。全く新規の技術による革新と、既存の技術のマッチングにより革新があります。
プロセスイノベーション
ある製品やサービスのプロセス(製造工程、作業過程など)を変革することで、効率化・原価低減・品質向上などで競争力を高めめます。
(補)ビジネスイノベーション
技術だけでなく業務全般を対象にしたイノベーションです。BPR(Business Process Re-engineering:業務革新)と同義語としてよいでしょう。
革新の影響による区分
インクリメンタルイノベーション(持続的イノベーション)
既存市場の既存顧客が示す価値基準を前提にして、高機能化や低価格化の面で改革を行う。一般的な技術進歩がこれにあたる。持続的イノベーションは市場リーダに適した分野です。
ラディカルイノベーション(破壊的イノベーション)
従来の秩序を破壊し、業界構造を劇的に変化させるイノベーション。既存の主力製品が短期間に新製品に置き換えられることがあります。低価格化実現によるローエンド型破壊的イノベーションもありますがが、破壊力が強いのは新市場型破壊的イノベーションです。圧倒的な技術革新による製品やサービスで全く新しい市場に参入、または創出します。
企業を取り巻く外部環境がVUCA-Volatility(不安定)、Uncertainty(不確定)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)-になってきたことが破壊的イノベーションを生み出しています。
革新の提案者による区分
クローズドイノベーション
いわゆる自前主義です。自社の研究・技術のみで画期的な新製品や新サービスを生み出すことです。競争優位性の高い技術を独占できるのでコアコンピタンスを維持できますが、時間的・人的コストがかかるので、競争環境が激しい環境では、困難になっています。
オープンイノベーション
企業や大学・研究機関、起業家など、外部から新たな技術やアイデアを募集・集約して開発するイノベーションです。異業種間の交流や大企業とベンチャー企業との共同研究開発などもオープンイノベーションの事例です。 プロダクトライフサイクルの短期化や顧客ニーズの多様化に対応するには、オープンイノベーションが重要になっています。
リバースイノベーション
現在、需要の大きな成長は新興国や発展途上国が主になっています。新興国や発展途上国に研究開発機関を設け、現地のニーズからアイデアの発想や新たな技術を得たイノベーションを先進国に流通・展開させるものです。グローバリゼーションの逆のアプローチだといえます。

コモディティ化

技術発展が高速度なり、導入期から短期間で成熟期になります。新製品や新サービスを投入して成功するのが見えると、多くの他社が追随して同様な製品・サービスを投入します。その結果、機能の差別化が失われ日常化します。
それをコモディティ化といいます。コモディティ化になると、価格以外の差別化が困難になり、最終的に低価格化競争に陥ります。
コモディティ化する期間を長くするには。他の追従を許さない高度なイノベーションを行うのがよいのですが、そのような機会は稀です。特許で縛るとか技術移転を拒否するにしても、他社も必死ですからいつまでも続きません。
イノベーション戦略を行うとともに、コモディティ化したときの戦略も検討すること、すなわち、成長期において高いシェアをもち、金の生る木に育てることが必要になります。

経営と技術

MOT(Management of Technology:技術経営)
市場への洞察力を高め、それに対応した技術を創出することが競争優位を確立するとの考え方です。
技術に立脚する事業を行う組織が、技術を経営の立場からマネージすることにより、技術が持つ可能性を見極めてイノベーションを創出し、経済的価値の最大化を目指すことが事業発展の源泉になるという経営概念です。 MOTの目的目的は、産業界、または社会にあって、イノベーションの創出をマネジメントし、新しい技術を取り入れながら事業を行う企業・組織が、持続的発展のために、技術を含めて総合的に経営管理を行い、経済的価値を生み出していくための戦略を立案・決定・実行することにあります。「技術を駆使した経営」という意味ではありません。
技術を理解している者が企業経営について学び,技術革新をビジネスに結びつけることが必要で、これを目的とする大学院やビジネススクールがあります。
R&D(Research and Development:研究開発)
研究開発のこと。特定の対象を調査して、基礎学問の研究や、目的に応じた応用研究の模索、将来的に発展する技術等の試験を行い、技術的な優位を得るための活動です。
近年は、研究開発に成果である知的資産がコアコンピタンスとして重要だと認識され、 「製造」「販売」とあわせて、製造業での事業を構成する三要素となっています。
・基礎研究:技術を知的資産として蓄積することを目的
・応用研究:基礎研究で開発されたものなどを活用し具体的な商品を作ることを目的
・開発研究:応用研究で生まれた技術を複数組み合わせて、新事業の推進を目的
技術移転(technology transfer)
ある国が持っている技術を他国に供与することです。
発展途上国の豊富で安価な労働力を背景に,先進国が発展途上国に対して最先端の技術を供与して現地でのライセンス生産させるケースが主流ですが、国際協力一環として、発展途上国が必要とする先進技術を供与する形態もあります。
逆に、海外進出において技術移転を条件にされたり、技術やノウハウが流出したりして、逆に日本企業の圧迫になることがあり、知的財産権への関心が重視されています。

技術ロードマップ

ロードマップとは工程表のことです。技術ロードマップとは、特定の技術分野の研究や実用化のプロジェクトを進めるときに、その目標を達成するための道筋を、要素技術の動向やそれを取り巻く環境などを盛り込み、図表でわかりやすく示すものです。関係者間の意思疎通を円滑にするのが目的です。
技術ロードマップは、基本的には、時間軸を横軸にとった図表ですが、当該技術の特質や環境との関連などを記述した図表(技術ポートフォリオなど)も含めた技術マップのことも技術ロードマップということもあります。
技術ロードマップは、プロジェクトの進展、技術の発展や環境の変化に応じて、定期的・臨応的に更新する必要があります。