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産業界ニーズと大学情報教育のミスマッチ 選択問題


  1. 大学(主に情報学部など)の情報教育に関する産業界(主にソフトウェア業界)の要望のうち,最も適切なものはどれか。

    • ア 大学で情報教育を行うのはよいことであるが、それ以前に卒業生の学力が低下しており、企業内での教育についていけない状態である。英数国など基本的学力の向上を重点にすべきだ。
    • イ 大学教育と入社後の企業教育の分担を明確にすべきだ。システム設計やプログラミングなどの実務分野は企業で行うので、大学ではコンピュータ科学や数値解析などの理論や原理原則をしっかりと教えてほしい。
    • ウ これまでの大学教育は、理論面が偏重され、実務面が不十分である。もっと即戦力になる教育を行うべきである。
    • エ 卒業生の知識能力は現状で満足しているが、あまりにも数が少なく中途採用や海外委託でカバーしている状態である。大幅な増員を求める。

    【解答】

    正解:ウ

    アは△。ウと比較して×。
    イは×。ウは○。これがミスマッチといわれる要因
    エは×。アの学力低下も問題視
    参照:「大学情報教育と産業界ニーズのミスマッチ」

  2. IT業界の状況と大学の情報教育に関する記述のうち,現実的には最も実現が困難なものはどれか。

    • ア IT業界では、特にコンサルタントやプロジェクトマネージャなどの職種は不足している。それで、IT業界では、大学ではプログラミングやシステム設計などではなく、これらの不足職種にすぐ活用できる教育をすべきだと指摘している。
    • イ 大学での教育への直接的要求ではないが、IT技術者にはコミュニケーションやプレゼンテーションの能力が重視され、その能力の高い人材を求めている。
    • ウ 産業界のニーズに合致した情報教育を行う一つの手段として、企業人を教員に採用したり、講師として活用することが有効だといわれている。
    • エ 産業界のニーズと大学の情報教育を合致させるための行政の対応の一つに「拠点大学構想」がある。これは、大学と企業の連携を図る「拠点大学」を選定し、その実績を評価しつつ拡大を図ろうとするものである。

    【解答】

    正解:ア

    アが×。これが実現できれば理想的だが、コンサルタントやプロジェクトマネージャなどは経験が必要なので、大学教育に頼ることはできない。ベテランをそれに向けるためにもプログラミングやシステム設計などの即戦力になる卒業生がほしいといっている。
    参照:「大学情報教育と産業界ニーズのミスマッチ」

  3. 大学(特に情報学部・学科)の情報教育が産業界のニーズと合致していないことが指摘されているが,次の文のうち,最も不適切なものはどれか。

    • ア 情報学部・学科出身の学生でも、企業で即戦力になれる割合が低いことが指摘されている。
    • イ これまでの大学教育は、学部でも学問的なコンピュータ科学が重視され、実務的な分野は企業に任されている状態だと指摘されている。
    • ウ IT関連の学部の全教員に占める企業経験者の割合を増加することが求められている。
    • エ 産学連携での対策では、企業の寄付による講座の開設や教材の開発など、スポット的な対策が多く、企業からの教員採用などの長期的対策は少ない状態である。

    【解答】

    正解:エ

    エが×。教員採用は多く行われているが、寄付講座開設や教材開発は未だ少ない
    参照:「大学情報教育と産業界ニーズのミスマッチ」

  4. 大学(特に情報学部・学科)の情報教育が産業界のニーズと合致していないことが指摘されているが,次の文のうち,最も適切なものはどれか。

    • ア 情報系学部出身者の実務スキルが他学部出身者と比較して大差がないので,採用条件の主要項目にはしていない。
    • イ 大学では,システム設計やプログラム開発などが重視されているが,プロジェクト管理やコンピュータ技術など基礎分野が欠けている。
    • ウ 大学の情報科目担当教員の大部分は企業経験者であるが,教員経歴が浅いために,学生の能力が伸びないことが問題になっている。
    • エ 米国では,一般的に学部教育は学問的な科学領域を重視し,実務に直結する分野は大学院で実施している。

    【解答】

    正解:ア

    アは○。
    イは×。システム設計やプログラム開発の分野も不十分
    ウは×。企業経験者は20%程度
    エは×。学問的な科学領域と実務分野が逆
    参照:「大学情報教育と産業界ニーズのミスマッチ」

  5. 大学(主に情報学部)の情報教育に関するAとBの正誤について、適切な組合せはどれか。

    • A:国は「高度IT技術者になるには、大学院や研究機関での研究が必要である。学部ではその基礎となる数学やコンピュータ科学などの基礎学力修得を目的とし、社会に出て即戦力になるような教育は不適切である」との基本方針を掲げている。
    • B:情報サービス業など産業界では「コンサルタントやプロジェクトマネージャなどの職種が不足している。それに対してプログラムのような下流工程は海外委託でカバーすることができる。大学教育ではプログラミングなどの分野は不要であり、経営へのIT活用、プロジェクト運営などの分野を重視すべきだ」という意見が多い。

    ア AもBも正しい イ Aは正しいがBは誤り ウ Bは正しいがAは誤り エ AもBも誤り

    【解答】

    正解:エ

    Aは×。このような人材も必要であるが、その人数は比較的少ない。むしろ、学部で実務的能力をもたせ、理論的な分野を大学院等で行うほうが適切だとしている。
    Bは×。コンサルタントやプロジェクトマネージャになるにはスキルが必要であり、大学で修得しただけでは不十分である。下流工程でもオフショア開発に頼るのは不適切であり、この職種も人手不足である。新卒者をプログラミングなどにつけて、ベテランをそのような職種からプロジェクトマネージャ等へ移行させたいのだという意見が多い。
    参照:「大学情報教育と産業界ニーズのミスマッチ」