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スーパーコンピュータ


スーパーコンピュータとは

スーパーコンピュータとは、演算処理速度がその時代の一般的なコンピュータより極めて高速なコンピュータのことです。その性能は、1秒間で処理される浮動小数点演算の回数FLOPS、その1015(ペタ)倍のPFLOPSで表示されます(10P=京)。現在では10PFLOPSのレベルに達しています。
 気象予測、物理学、医療、天文学、金融工学など、大規模な数値解析を必要とする研究に利用されています。

日米中をはじめ各国がスーパーコンピュータの性能向上競争をしています。2011年には理化学研究所と富士通が開発した「京」が8.2PFLOPSを実現し世界最速になりました。順位はめまぐるしく変わり、中国と米国に奪われましたが、2020年には「京」の後続機「富岳」が44・2PFLOPSで世界最速の座を取り戻しました。


「京」 出典:富士通「次世代スーパーコンピュータ」2011年 http://jp.fujitsu.com/about/tech/k/

「富岳」 出典:朝日新聞デジタル(2020年11月17日) https://www.asahi.com/articles/ASNCJ7VJGNCJULBJ00P.html

参照:「スーパーコンピュータの歴史」

ハイパフォーマンスコンピューティング(High Performance Computing、HPC)

単位時間当たりの計算量が非常に多い計算処理のことです。多数のマイクロプロセッサ(CPU/MPU)を連携した並列処理によって高い性能を得る手法が一般的です。
 高性能コンピュータであるスーパーコンピュータは、1980年代以前はベクトル計算機が主流であったが、現在でははスカラー計算機を超並列にすることによるハイパフォーマンスを得る方式が通常になっており、スーパーコンピュータはハイパフォーマンスコンピューティング≒だといえます。
 また、ハイパフォーマンスコンピューティングは、スーパーコンピュータによる大規模な科学技術計算分野やAI分野での利用が主です。

超線形加速(Super linear acceleration)

例えば、プロセッサの数を4倍にしたときに計算速度が4倍以上になる現象が起こることです。
 クロック周波数が1GHzの場合、1クロック時間の間に光が進む距離は約30cm、3GHzなら10cmです。CPUやメモリの距離がこれを超えると、数クロック分の時間が無駄になってしまいます。1台のプロセッサがメモリを使うよりも、個々のプロセッサがより近くにあるキャッシュメモリを使うほうが計算が速くできます。プロセッサが増えて一つひとつのプロセッサが担当する計算量が小さくなると、コンピュータのメインメモリを使う割合が減少し、より多くの計算をキャッシュだけで行えるようになるため、このような現象が起きるのです。

スーパーコンピュータを使う分野では、超線形加速が発生することが多いので、ハイパフォーマンスコンピューティングが効果的なのです。

GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)

GPU(Graphics Processing Unit)画像処理を高速に実行するためのマイクロプロセッサで、高品質な映像を重視するディスプレイに広く用いられています。しかも、パソコン用の安価なグラフィックスカードもあります。
 GPUは、内部に多数の演算器(機種によっては数千に及ぶ)を持ち、比較的単純な数値計算を多数のデータに並列に繰り返し適用するのが得意な構造になっています。このGPUのもつ高速実行機能を、数値計算やデータ処理に活用したのがGPGPUです。

代表的なGPGPUベースのHPCに東京工業大学「TSUBAME」があります。


「TSUBAME3.0」 出典:東工大ニュース(2017.06.19)
「東工大TSUBAME3.0と産総研AAICが省エネ性能
スパコンランキングで世界1位・3位を獲得」
https://www.titech.ac.jp/news/2017/038640.html