主張・講演

SEO:検索エンジンに適したWebページとは


はじめに

Webページはアクセスされなければ存在しないのと同じです。あなたのWebページがアクセスされるのは,YahooやGoogleなどの検索エンジンでリストされたことによるのが多いでしょう。そうなると,Webページを検索エンジンで拾ってもらうこと,できれば上位にリストしてもらうことが重要になります。

検索エンジンには,人間がWebページを審査して分類・登録するディレクトリ型検索と,ロボットといわれるソフトが各ページを全文検索して蓄積しておき,キーワードでの検索のサービスをするロボット型検索があります。ここでの検索エンジンとはロボット型検索エンジンのことを指します。

検索エンジンで上位にランクさせるための工夫をSEO(Search Engine Optimization)といいます。SEOのノウハウを伝授することをビジネスにしている専門業者もあるほど,SEOには多様で複雑な工夫もあり,なかには邪道とも思われるテクニックもあるようです。私はSEOの専門家ではないので,一般にいわれていることを紹介します。
 実は,最近のロボットはよくできていますので,人間にとってわかりやすいWebページはロボットにとっても整理しやすく,結果として評価が高まるのです。ですから,SEOのために特別な工夫をするのではなく,人間にとってわかりやすくすること,すなわち,Webページ作成の基本知識を守ることと一致するのです。

1 HTMLの記述法

(1)1ページ1テーマとする

Webページでは図書と異なり,唐突にこのページが表示されるのですから,一つのページで完結していることが求められます。また,一つのWebページが長いのは,表示するのにも時間がかかりますし,読むのにもスクロールが面倒ですから,1ページの大きさは限定されます。このような事情により,1ページ1テーマにすることが効果的です。
 検索エンジンは,ページ内に出現する単語のうち,最も出現回数の多い単語をキーワードであると判断します。一つのページに非常に多くの分野について記述したのでは,キーワードとなる個数は多くなるかもしれませんが,互いに薄めあってしまい,特定のキーワードの重みが弱くなってしまいます。その対策からも1ページ1テーマにするのが適切です。

(2)HTML文法に忠実に

HTMLではタグが重要です。当然なことですが,HTMLの文法に忠実に従っておくことが必要です。多くのブラウザは,少々の文法ミスは適当に解釈して表示しますし,人間は柔軟に解釈しますが,検索エンジンは柔軟性が低いので,誤った(実はこちらが正しい)解釈をすることが多いのです。そうすると,上記のような対策が役にたちません。

(3)文書構造

<h1>とか<p>などのタグ名は,本来は文字の大きさなどを指定するものではなく,タグに囲まれた部分が章や節の見出しや本文のパラグラフであること,すなわち,文書の構造を示しているのです。
 人間は常識的に,書名(<title>と<h1>)→章(<h2>)→節(<h3>)→本文(<p>)の構造になっており,重要度もその順になっていると解釈します。検索エンジンもそれと同じように解釈しますので,<title>の文字列を最重視して高い重みを与え,<p>には低い重みにします。ですから,<title>や<h1>などに検索エンジンが取り込みそうなキーワードを記述しておくのがよいのです。特に<title>は,検索エンジンでのリストに表示されますので,内容を適切に伝えることが求められます。さもないと,せっかく上位にリストされても,クリックしてくれません。
 ビジネス文書では,結論を最初に書くようにいわれています。検索エンジンでも同じランクのタグ内では先頭(例外的に最後)のものを重視します。リストでの内容表示される個所も先頭の部分であることが多いのです。これもクリックしてもらうのに重要なことです。

2 検索エンジンとキーワード

検索エンジンにヒットしてもらうには,キーワードが適切であることが重要です。しかし,特別なことをしろというのではなく,結局は検索エンジンのクセを理解することと,対象とする利用者の立場を理解することが必要なのであり,顧客志向の発想が重要なのです。

 

(1)キーワードと検索エンジン

ここでのキーワードとは,検索エンジンが検索用に持っている単語のことです。検索エンジンは,「多くの人」などのような単語とはいえないものや「ページ」のようなあまりにもヒット数が多い単語は,キーワードにはしないので,全文検索のときに読み飛ばしてしまいます。
 ですから,検索エンジンが登録しているキーワードをWebページでも使うのが得策です。その主なキーワードを調べるには,次のサイトを利用するとよいでしょう。
★オーバーチェア キーワードアドバイスツール
https://inventory.overture.com/d/searchinventory/suggestion/?mkt=jp
★Google AdWords キーワードアドバイス
https://adwords.google.co.jp/select/main?cmd=KeywordSandbox

(2)キーワードを活用する

図書などでは,アトラクティブなキャッチフレーズが注目されるかもしれません。しかし,検索エンジンではかえって不利になります。
 検索エンジンは,文字列を分割してキーワードにしますが,その意味を解釈することはできません。ですから「多くの人に見てもらえるページの作り方」としたのでは,キーワードになるものがありません。まして「これでわかった! 顧客倍増のWebページ」などとしたのでは,内容と見出しが異なるので,適切なキーワードは設定されないでしょう。
 「検索エンジンに適したWebページ」とすれば「検索エンジン」や「Webページ」がキーワードになりますが,このページを検索するのに,「検索エンジン」や「Webページ」をキーワードにする人は少ないでしょう。「SEO:検索エンジンに上位ランクするHTML記述法」とすれば,「SEO」「検索エンジン」「HTML記述法」のように,よりこのページにマッチしたキーワードになりますね。これのほうが人間が見ても内容が明確になるでしょう。

(3)検索者を考慮する

 あまりにも特殊な単語を用いたのでは,検索エンジンがキーワードとして採用しないので,読み飛ばされてしまいます。ポピュラーではない自社製品名などは,検索エンジンも相手にしないし,検索者がそれで検索するとも思えません。むしろ一般名称にするのが適切です。しかし,「菓子」や「食品」のような,あまりにも一般的な単語では,数万件のWebページが検出されるので,あなたのWebページが上位にランクされる可能性は極めて低くなります。
 検索する人は単一のキーワードではなく,複数のキーワードで検索することが多いでしょう。それをうまく組み合わせるために,商品の種類,特性,地域など,それぞれのジャンルを網羅したキーワードを設定するのが適切です。
 どのような文書にせよ,読む人を考慮することは大切ですが,特にSEOの観点では,このページをどのような人に見てもらいたいかを想定して,その人が検索するときにどのようなキーワードを用いるかを考えることが重要です。業界内を対象としたBtoBでは,業界専門用語を用いるのが効果的ですが,一般消費者を対象としたBtoCでは無意味になります。
 また,たとえば「Webページ」「Webページ」「HTML」のどれにするかなども,対象とする利用者に合わせることが大切です。

3 Webページのデザイン

WebページはKISSで作れといわれます。Keep It Simple, Stupid! であり,ともかく「シンプルなのがよい」との意味ですが,SEO対策としても,これが基本なのです。

(1)画像に頼らない

眼の不自由な人のために読み上げソフトがありますが,読み上げソフトは画像の部分を<img>タグのなかのalt句を読み上げます。それで,alt句を記述することは,HTML文法では省略してはならないと規定されています。
 検索エンジンは画像そのものは対象にせず,alt句だけを対象にします。ですから,重要な情報を画像表示だけにして,本文で記述していないと,適切なキーワードを拾ってくれません。

(2)動的ページはなるべく避ける

データベースと連携して,利用者の指示により表示する動的なページは,広い用途に用いられていますが,検索エンジンはこのようなページは対象にしません。「○○秒たつと自動的に△△へジャンプします」というページも同様です。

(3)フレームを避ける

親フレームはフレームセットの定義だけですので,検索エンジンの対象にはならず,実際の情報がある子のフレームが対象になることがあります。すると,検索エンジンには子フレームのURLが表示され,意図しないことになる場合があります。

4 検索エンジンスパムを避ける

検索エンジンにヒットさせようとして,裏をかく手段が流行します。それを検索エンジンスパムといいます。そのような手段は邪道ですので,ここではあえて具体的な方法は示しませんが,単純にいえば,Webページとして表示しない個所に,キーワードになりそうな語句を大量に書き込む方法です。
 スパムは,検索エンジンを惑わすだけでなく,検索リストを不適切なものにしてしまいます。検索エンジンも改善されており,そのような手段を受け付けないし,むしろスパム行為をしているとみなされると,そのページを検索しないだけではなく,厳しい罰則を適用してサイト全体を検索しなくなることもあります。

5 検索エンジンへの登録

ここまでは,あなたのWebページを検索エンジンに適したページにするための工夫でした。いうなれば受身の対策でした。ここでは攻めの対策,すなわち,積極的に検索エンジンにサーチしてもらい,検索リストの上位にランクする工夫を紹介します。

いかに検索エンジンが自動的にサーチするといっても,あなたのWebページの存在が検索エンジンに知られていなければサーチできません。
 検索エンジンは,あるWebページを調べて,そこにあるリンク先を見て,そこのWebページへ飛ぶのです。ですから,たまたま他のWebページがあなたのWebページにリンクしていてくれれば,サーチしてもらえる機会がありますが,それだけを期待しているのでは心もとないですね。
 ですから,あなたのWebページを検索サイトへ知らせましょう。Googleへの登録は次のサイトからできます。
★Google URLの登録と更新
http://www.google.co.jp/intl/ja/addurl.html

6 リンクをしてもらう

(1)他のサイトからリンクしてもらう

検索リストの上位にランクしてもらうには,上位にランクされている他のページからのリンク数が基準になります。ですから,なるべく多くのサイトにリンクしてもらうのが得策です。これは,単に検索エンジンでの評価が高まるだけでなく,そのサイトを見た人が,そこからあなたのWebページへ入ってくることにもなります。
 しかし,検索エンジンはリンク数だけでなく,リンクしてくれているサイト自体の評価で重み付けしています。ですから,著名なサイトにリンクしてもらうのが効果的です。Yahooのディレクトリ検索エンジンに登録してもらえれば,あなたのWebページの評価はかなり高めることになります。
Yahooへの登録依頼は次のページを参照してください。
★Yahoo! JAPANにサイトを推薦
http://howto.yahoo.co.jp/chapters/10/1.html
 しかし,そのようなサイトは,単に「リンクしてください」と依頼しても,すぐにはリンクしてくれませんし,実際にそのWebページを調べて,リンクする価値がないようならリンクしてくれません。ですから,結局はあなたのWebページが価値のあるページにすることが重要なのです。

(2)自分のサイト内でもリンクをする

あなたのサイトには多くのページがあります。検索エンジンがそのなかのどのページに来ても,すべてのページを巡回できるように,サイト内で相互にリンクしておくことが必要です。  これを間違いなく体系的に行うには,サイト全体を大分類,中分類,小分類というように体系化して,各ページで,中分類に戻る,大区分に戻る,スタートページに戻るというようにリンクしておくのが適切です。
 これは検索エンジンだけのためではありません。たまたまこのWebページを訪れた人が,他のページも見ようとするときの便宜のためでもあります。

おわりに

以上,SEO対策を紹介してきました。人間に便利なこと,すなわち顧客志向になっているWebページが,検索エンジンでも効果的であることがお分かりいただけたと思います。これがここでの結論です。