論文・雑誌投稿一覧月刊LASDEC書評

「月刊LASDEC」2004年12月号掲載

山崎 紅『説得できるプレゼンの鉄則 PowerPoint上級極意編』

日経BP,2002年,ISBN4-8222-9176-6 \1800+税

山崎 紅『説得できるデータ図解の鉄則 Excelビジュアル活用編』

日経BP,2004年,ISBN4-8222-918776-1 \1600+税


地方公共団体職員の多くはスタッフであり,報告書や提案書を作成して発表する機会が多い。それらの内容が優れていることが重要なのはいうまでもないが,他人に理解しやすく印象的に伝えるためには,表面的な体裁も無視することはできない。
 特にPowerPointなどによるプレゼンテーションでは,画面の出来具合が大きな影響を与える。逆に,せっかく作成したグラフが,重点がどこにあるのか不明確なのは困る。このようなプレゼンテーション技術は,ぜひ習得しておきたいものである。

『説得できる〜』は10冊以上のシリーズであるが,ここでは,『PowerPoint上級極意編』と『Excelビジュアル活用編』を取り上げる。

『PowerPoint上級極意編』

プレゼンテーションではPowerPointを利用することが多いが,本書はPowerPointで効果的なプレゼンテーション資料を作る手法を解説したものである。PowerPointのデザイン・レイアウトの注意点,カラー化での留意点,他のOfficeツールとの連携,マルチメディアの利用,アニメーションの効果的な使用方法について述べている。
 「上級極意編」となっているが,PowerPointの超ベテランでないと理解できない内容ではない。PowerPoint操作の基本的な部分は解説していないが,アニメーションの作成などでは簡単な操作法も示してあり,通常のユーザでも十分に理解できる。さらに,豊富な図版で,悪い例と良い例を比較して示すなど,理解しやすい工夫がなされている。
 さらにCD-ROMが添付されており,本書の図版がすべて掲げられているだけでなく,オリジナルの背景や部品も豊富に登録されている。これを活用することにより,気の利いたPowerPointが作成できよう。

『Excelビジュアル活用編』

Excelでグラフを作成して,それをPowerPointやWordに貼り付ける技術は,プレゼンテーション資料を作るのに必要な技術である。また,Excelの標準的なグラフに適切な加工をすることによって,見違えるようなうな見栄えの良いグラフにすることができる。
 本書は,Excelでのグラフの作り方を中心にして,各種グラフの用途,グラフの作成方法,バランスのよいグラフ設計,PowerPointやWordへの貼り付け,デザインの洗練,訴求力向上の工夫などを述べている。
 内容は,『PowerPoint〜』と同様に,豊富な図版があり改良の比較などがわかりやすい。「活用編」であり,操作手順も比較的詳しく記述されている。本来はExcelのほうが実際のワークシートを見たいのに,CD-ROMがないのは残念である。