2008年6月
ITサービスとは、情報システム部門やベンダなどのシステム提供者が、利用部門に対して提供する主に運用関連サービスである。以前は、運用管理といわれていたが、ITサービス提供のために必要となる、企画から予算の策定、計画、調達、開発、運用、評価という一連のプロセスを対象とするようになり、マネジメントシステムとして認識されるようになり、現在ではITサービスマネジメントといわれている。
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、英国商務省(OGC)が策定したITサービスマネジメントを導入・維持・発展させるためのベストプラクティスである。日本では、itSMF Japanが普及活動を行っている。
ITILをベースにして、英国規格になり、さらにISO 20000へと規格化された。日本ではJIS Q 20000になっている。ISOやJISになるのに伴い、企業がITサービスをマネジメントシステムとして適切に運用していることを第三者機関が認証する制度ができた。『ITIL導入のための〜』は、それらの事情を詳しく説明している。本書発行移行、ITILはv3になるなどの変化はあるが、全体的な理解をするには、むしろ初期の解説書のほうがわかりやすい。
また、ITILに関する技術者育成のために、OGCによる認証制度がある。それには、下位から上位に、ファンデーション、プラクティショナー、マネジャーの資格試験がある。『ITILファウンデーション試験〜』は、過去の出題例を中心に分野別に整理したものである。受験をする人はもちろん、そうでない人にとっても、ITILやISO 20000の基礎をしっかりと理解するのに適した図書である。