スタートページ主張一覧書評

(財)地方自治情報センター『LASDEC』2002年9月号掲載

諸橋昭夫編著
『電子自治体へのアプローチ 行政情報化の課題を克服する30のステップ』
学陽書房、2002年、ISBN4-313-16105-8、\2400
→購入サイト(アマゾン・コム)

著者は,30年以上も地方行政情報化の分野でシステム開発やコンサルティングに携わってきた。地方自治体情報センターのアドバイザーや講師でもあり,読者のなかには著者の講演や著作に接したり指導を受けたりした人も多いであろう。また著者は,「地方公務員のための週刊メールマガジン『行政情報化推進ニュース』」により電子自治体に関するホットな情報や解説を提供している(著者Webサイト http://village.infoweb.ne.jp/~fwie7372/ から購読申込みできる)。本書はそれをベースにして再編集したものである。

地方自治体にとって,電子自治体は既に検討の段階ではなく実施の段階になってきた。当然,どのような電子自治体を実現するかは,各地域の特色に合致した独自のアプローチが求められるが,先行自治体の優れたアプローチをベストプラクティスとして参考にすることや,実現にあたってどのような工夫をしたかを研究することは,自自治体での推進にあたって欠けている面や,留意するべき面を発見して対処するためにも重要なことである。
 また,電子自治体の方針を明確にするためには,情報化基本条例やセキュリティ・ポリシーなどを具体的に策定することが求められるが,それらの策定にあたっては適切なサンプルがあると便利である。本書では多くの具体的な例が紹介されている。この面でも格好の資料集である。

本書の内容は,30自治体の事例を@行政の効率化・制度改革とIT(電子自治体実現への内部事務改革−5つの行政改革),A行政手続の軽減・サービスの質的向上とIT(電子自治体実現への新たなサービス−10の行政窓口サービス),B電子自治体を支えるAP基盤整備(8つのAP基盤と2つのポリシー),C電子自治体実現への環境整備(成功へ向けた5つのステップ)の5章に体系化して紹介と解説を掲げている。
それらに関連した他の地方自治体での取り組みの事例や雑誌やWebサイトの記事などを随所にコラムとして掲げており,それらを加えればさらに多くの事例になる。電子自治体に関するほぼあらゆる局面に関して具体的なベストプラクティスを得ることができよう。さらに巻末に,多くの条例・規則・ポリシー・用語解説などの資料を掲げてあるのも活用に便利である。

なお,著者の最近の著作に『電子政府・電子自治体』第一法規出版,『地方分権シリーズ第5巻 行政サービス・手続きの電子化』地域科学研究会(いずれも共著)がある。本書とあわせて読むとよかろう。