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Webユーザビリティ


Webユーザビリティとは

Webユーザビリティとは、障害者や高齢者だけでなく、一般の利用者にとって使いやすいWebページにすることです。
 「使いやすい」こととは、利用者が容易に情報に得られるようにすることです。いいかえれば、利用者をまごつかせないようにすることです。地方自治体では、Web閲覧の初心者にも利用してもらうことが必要なので、重要なことです。そして、このような配慮は熟達者にとっても便利です。

ISO 09421-11、JIS Z8521(人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-使用性の手引き)では、ユーザビリティとは「特定の利用状況において、特定のユーザーによって、ある製品が、特定の目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザーの満足度の度合い」と定義しています。

有効さ(Effectiveness)
ユーザが指定された目標を達成する上での正確さ、完全性
効率(Efficiency)
ユーザが目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源
満足度(Satisfaction)
製品を使用する際の、不快感のなさ、及び肯定的な態度

内閣官房は、2009年に「電子政府ユーザビリティガイドライン」を策定しました(後述)。本ガイドラインでは、Webユーザビリティを次のように定義しています。
 利用の有効さ:やりたい作業を確実に達成できるか
 利用の効率性:作業を短い時間で達成できるか
 利用者の満足度:利用した人が、また利用してみたいと思うか

地方自治体のWebサイトとWebユーザビリティ

電子自治体の発展により、Webサイトを介して広報(知る権利)や意見募集(主張する権利)を行う機会が多くなりました。その成果を、より多くの人が平等に享受するためにも、ユーザビリティの向上が求められます。
 また、申請・手続システムも多くなりました。システムは整備したが利用率が低いものが多く、利用率の増大がIT新改革戦略やi-Japan戦略の柱の一つになっています。その一環として、ユーザビリティの向上が重視されています。
 もし、住民全体が等しくWebサイトを利用できるようになれば、次のような効果すら期待できます。

このような状況になるのはかなり将来でしょうが、Webサイトの活用は、行政業務の抜本的な合理化につながり、地方財政の観点でも効果が期待できます。Webユーザビリティは、長期的な戦略として、考えべきことなのです。

Webユーザビリティの評価

Webユーザビリティの評価には、モニターにタスクを与えて実験する方法が広く用いられています。

「電子政府ユーザビリティガイドライン」

本ガイドラインは、中央官庁のオンライン申請システム等を対象にしたものですが、地方公共団体での一般的なWebサイトにも適用できます。

本ガイドラインは、ユーザビリティに関して効果的かつ継続的な向上を図るために、新規開発や保守をする際に、企画、設計・開発、運用及び評価の段階について、総合的な解説をしています。そのなかで、Webユーザビリティを確保するための「共通設計指針」として、次の13項目を掲げています。

本ガイドライン(付属文書にも)では、モニター実験を実施するときの人選、アンケートや実験方法などに関しての解説もしています。
 また、本ガイドライン策定に先立ち、典型的な申告業務を対象に行った「電子政府ユーザビリティ基本調査」(2009年)は、その具体例として参考になります。

職員への認識向上が重要

このように、WebアクセシビリティやWebユーザビリティの向上は、市政の重点項目とすべきものですが、それには多くの課題があります。総務省「地方公共団体におけるホームページ等ウェブアクセシビリティに関するアンケート結果の概要」では、Webアクセシビリティ向上の取組への課題として、次の事項を示しています。

最大の課題は「職員の理解・知識が不十分」なことです。「異動でノウハウが引き継がれない」のも、これに起因していると思われます。Webサイトは、多くの部署が関係しており、多くのページがあるので、少数の担当者だけでは手が回りません。各部署の職員がWebページを作成したり更新したりする必要があります。それができれば、「予算や人手が配分されない」課題も、ある程度は解消するでしょう。しかし、そのためには、全職員がWebアクセシビリティについて、理解・知識を持つことが必要になります。

なお、「効果的な支援ツールがない」も大きな課題ですが、CMSの導入がある程度の解決手段になります。「利用者点検の仕組みがない」に関しては、各種の地方自治体Webランキングなどの活用が考えられます。