有線電信の発明
- 1830年 ヘンリー電磁誘導を発見
- 1837年 モールス、電信機の発明
電信の原理は、長い導線の一端から電流を断続させて、他端にある電磁石の磁気を変化させることにより信号を送ることである（注）。その原理を電磁誘導という。電磁誘導発見はファラデーとなっているが、ヘンリー（Joseph Henry）が先に発見したのだが、発表が遅れたのだそうだ。
ヘンリーは電信の実験もしていたのであるが、科学の発展には個人の利益を優先すべきでないとする信条から特許を得ようとしなかった。
モールス（Samuel Finley Breese Morse）はヘンリーの技術指導により、電信機を発明。そして、文字や数字をdot(トン),dash(ツー)の組み合わせで表現するモールス符号を考案、1840年に特許を得た。1844年に世界初の遠距離（ワシントン-ボルチモア間）電信が行われた。
当初は、直接トン・ツーを打鍵していたが、キーボードからモールス符号を紙テープに穿孔して送信する自働電信機や、受信側で音響器の送信音でモールス符号を聞き分けて通信文を記録する音響電信機など、多様な改良が行われた。
（注）電信の仕組み
- NTT「電信・電話の歴史年表 学習館 電信の誕生」
http://park.org/Japan/NTT/DM/html_st/shock/ST_shock_2_j.html - 総務省「情報通信白書 for Kids：電信のしくみ 」（動画）
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/kids/history/4/01s.html
日本での電信の始まりと普及
- 1854年 ペリーが電信機を献上
日本では、ペリーが２度目の来航の際、電信機（テレガラフと呼ばれた）を２台献上して、横浜駒形の応接所と洲干弁天境内の名主、中山吉左衛門宅との間で電信機の公開実演が行ったのが最初だそうだ。
島津斉彬はこれに注目。家臣宇宿彦右衛門らに命じて電信に関わる研究、試作させた。1855年に江戸藩邸で実験を行い、1856年に鹿児島に持ち帰り改良を加えて、鶴丸城内の本丸休息所と二の丸探勝園の間６００ｍに電線を引き、交信に成功した。
- 1869年 東京・横浜で電報取り扱い開始（日本の電信創業）
- 1878年 電信線の国内整備ほぼ完了
1868年に明治になった。新政府は欧米文化の吸収に積極的で、ほぼ１０年間で全国に電信網を整備した。しかし、その利用は行政機関や基幹産業が中心だった。
・1871年 外国との電報送受開始（長崎～上海・長崎～ウラジオストク）
・1872年 我が国初の海底ケーブル（関門海峡）
・1873年 東京～長崎間に陸上電信線開通 - 1871年 和文モールス符号策定
- 1874年 田中久重、国産電信機製造
電信開始当初は、フランスのブレゲ社製の指字電信機や英国シーメンス社製のモールス印字電信機などを輸入していたが、すぐに国産化が行われるようになった。田中久重は東芝の創業者。
