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オブジェクト指向データベース(OODB)の歴史


オブジェクト指向データベースとは

オブジェクト指向データベース(OODB:object-oriented database)とは、オブジェクト指向に合致したデータベースである。OODBは、次のような要請に応えるデータベースである。純粋にOODBとして開発したものもあるが、従来のRDBを拡張してOODB機能を取り込んだORDB(object-relational database:オブジェクト関係データベース)が多い。

OODBには、純粋のOODBと、RDBにオブジェクト指向の機能を加えたオブジェクト関係データベースに分類されるが、ここでは双方をOODBという。
 また、多くの製品はデータベース管理システムだけでなく、データの処理言語処理機能も含んでいる。ここでは、それらを含めてOODBという。

主要年表

1985年? VBase(ONTOS、OODB)
1986年 GemStone(最初の商用OODB?)
1987年? Itasca(MCC)
1987年? O2(INRIA)
1989年 Postgres(Stonebraker、オープンソースのOODB)
1993年 IBM DB2 UDB(DB2がOODBに)
1994年 dBASE5.0 for Windows(Borland)
1994年 NEC Percio(OODB)
1995年 日立 OODB(OODB)
1995年 Informix Universal Server
1997年 Oracle 8(RODB)
1997年 Jasmine(富士通、OODB)
1999年 SQL99(RODB仕様を取り込む)
1999年 HiRDB 5(日立、OODB)
2000年 Microsoft SQL Server 2000(OODB)
2001年 IBM、Infomixを買収
2001年 db4o(組込分野でのOODB)
2003年 Perst(組込分野でのOODB)
2007年 Apex(Salesforce、統合パッケージにOODB採用)
2008年 ABAP(SAP、統合パッケージにOODB採用)
2010年 VMware、GemStone Systemsを買収


1980年代前半:OODBの研究試作の時代

1970年代前半にModule-2やSmalltalkなどのオブジェクト指向言語が出現していたが、OODBはかなり遅れ、1980年代になっても研究・試作の段階だった。

これらは、発表当時は話題になったが、商業的には普及せず自然消滅してしまった。

1980年代末~1990年代前半:商用OODBの一斉開花

多くの商用OODBが出現。これらは逐次バージョンアップし現在でも使われている。
 この頃になると「OODB」という言葉や概念が通常のIT部門にも広がる。しかし、適用分野は限定されていた。

パソコン対象のデータベース
1980年代末から、ダウンサイジングが進み、パソコン上での開発を前提としたデータベースが出現する。上記のデータベースもこの動きに対応するようになった。

標準化の動き
多数のOODBが出現し、それぞれが独自の機能拡張をするようになった。相互互換性を高めるための標準化が必要になる。

1990年代後半:主力メーカーの対応

1995年頃からインターネットが急速に普及し、ビジネスでの活用が進むに伴い、サーバのデータベースの機能向上、処理の高速化が求められ、OODBへの期待が高まった。

3強の動き
当時のIBMを除くデータベースメーカーは、Oracle、Infomix、Sybaseが3強であり、それぞれ競争力強化を図るためにOODBの対応を行った。

日本メーカーの対応
日本では、3大コンピュータメーカーの対応が早かった。

標準化の動き

2000年代:OODBの新しい動向

2005年代前半:組み込みOODB
スマートフォンや情報家電などに組み込まれるシステム(組込みソフトウェア)に、オープンソースのOODBが使われるようになった。小規模なWebシステムでも利用できる。これらは、Java、C#、NETにネイティブ、軽量、操作が容易という特徴がある。

2000年代後半:大手ソフトウェアベンダのOODB採用
クラウドコンピューティングが普及してきた。そのユーザが容易にシステムをカスタマイズしたり、提供者が他のサービスとの連携を容易にする環境を提供するために、OODBを採用することが多くなってきた。
そのような例は多数あるが、いくつかを列挙する。


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