景品表示法は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」、略して「景表法」といいます。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO134.html
- (目的)第1条
この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
- (景品類の制限及び禁止) 第3条
内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。
- (不当な表示の禁止)第4条
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
(各号は煩雑なので単純な表現にします。その内容は後述します)
・優良誤認表示
・有利誤認表示
・その他、消費者が誤認するおそれのある表示
景品規制
景品表示法上の「景品類」とは、
・顧客を誘引するための手段として、
・事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
・物品、金銭その他の経済上の利益
であり、景品類に該当する場合は、景品表示法に基づく景品規制が適用されます。
不当な競争を防ぐため、消費者行動に不当な影響を与えないようにするために、過度に高額な景品の提供を制限しています。
- 共同懸賞
商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供することを「懸賞」といい、そのうち、一定の地域の小売業者、サービス業者、同業者の相当多数、商店街などが共同で実施するもの。
最高額:取引価額にかかわらず30万円
総額:懸賞に係る売上予定総額の3%
- 一般懸賞
「懸賞」のうち、共同懸賞以外のもの。単一業者が行うもの。
最高額:5千円未満の商品では取引価額の20倍、5千円以上の商品では10万円
総額:懸賞に係る売上予定総額の2%
- 総付景品
「おまけ」「引き出物」など商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する金品等。「ベタ付け景品」
最高額:200円未満の商品では200円。200円以上の商品では取引価額の20%
表示規制
主として、消費者を惑わせる誇大広告などに関する規制です。一般には、商品の生産地や品質に関する表示、支払方法など契約に関する表示など多様な規制があります。
- 広告誤認表示
特定商品の信頼性の低いアンケート結果、やらせインタービューなどを広告であることを表示することなく一般の記事として掲載すること。
- 優良誤認表示
ウイルス対策ソフトで、実際には80%程度の発見率なのに、「発見率100%」のような表示をしたり、他のソフトのうち、自社製品よりも劣る製品だけを取出し、その製品名も示さずに「5製品中トップの~」というような表示は規制されます。
また、「日本で唯一の~」とか「専門家のの90%が評価した~」のような根拠が示せないような表示は、不実証広告として規制されます。
- 有利誤認表示
実際には全員に無料のフリーソフトなのに、「先着100名だけに~」とか「このメールからの注文に限り」というように、消費者にな表示は規制されます。
通信料金で「他社よりも20%安い」というが、他社でも同程度の料金がある場合があります。なかには、
自社では当初の無料期間を含めた平均を用い、他社には通常の料金を用いて比較する場合があります。
- その他、誤認を招く表示
「無料の試用版」と「有料の製品版」があり、どれをクリックしたら無料版がダウンロードされるのかわかりにくい表示や「有料だか一定期間は無料であり、その期間中に停止処理をすればよい」とあるのに、停止する処理がわかりにくい表示などは規制されます。
例えば、国産ワインの広告に国産を明記せず、フランスの国旗やシャンパーニュ地方の風景などを掲げるのは、誤認を招く表示として規制されます。
BtoCでの表示規制
特にインターネットでのBtoC取引では、消費者を惑わせるケースが多く、なかには詐欺まがいのものもあります。BtoC取引の健全な発展の消費者取引の適正化を図るとの観点から,消費者庁は、
「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/100121premiums_38.pdf
を策定しています。
以下、そのなかのいくつかの例を掲げます。「~問題点と留意事項」では、このようなケースの実例や、Webページの適切な表示法などが示されています。
- 優良誤認表示
インターネット接続サービスで「最大50Mbps」と表示している。実際には「ベストエフォート型」のサービスであり、最大通信速度は保証されていないのに、それが明示されていない。
実際には、サポートセンターの電話がつながりにくい状況が常態化しているにもかかわらず、電話サポートサービスの充実ぶりを強調して表示する。
- 有利誤認表示
「当社指定のプロバイダに加入すれば、○○円のパソコンを無料でリース」と表示しているが、実際には、パソコンの評価額(○○円)にはプロバイダ使用料金等が含まれていたり、月々のプロバイダ代金にパソコンの購入費が含まれていたりするのに、パソコンを無料提供するかのように表示する。
「その他、誤認を招く表示」として、Webページで考慮すべき表示をあげています。
- 重要事項がわかりにくい表示
長期契約の画像提供サイトにおいて、「解約はいつでもできます。」とのみ表示するなど、その解約方法を具体的に表示しなかったり、表示していたとしても小さい文字、見づらい配色などで表示し、あたかも容易に解約できるかのように表示する
- 重要事項の不明確なリンク
「気に入らなければ返品できます。」と強調表示した上で、「商品の到着日を含めて五日以内でなければ返品することができない。」などの返品条件をリンク先のページに表示する場合、リンクの文字列を抽象的な「追加情報」という表現だと、消費者は、特に重要な情報だと思わず、リンク先を見ずに、無条件に返品できると誤認する。
- 情報の更新日
情報の更新日を表示せずに、例えば「新製品」などと表示していると、既に「新製品」でなくなった後でも、新商品だと誤認される。
- ダウンロード方法についての表示
あるフリーソフトAを利用するには、特定のソフトB(有料のこともある)が必要なのに、ダウンロードをしてインストールを開始してから、「必要なBがありません。これもダウンロードしますか」と表示される。