すべての場合に複写などを厳禁したのでは,現実には困りますし,法の目的に反したことになる場合もあります。また,著作者の特性により,著作権を認めるのが不適切な場合があります。
次に著作権の対象外になる主なものを列挙します。なお,プログラムに関しては別項「プログラムと著作権」(std-chosakuken-program)で取り扱います。
対象外の著作物
- 憲法その他の法令,国や地方公共団体などによる告示・訓令・通達,裁判所の判決などは,著作権法の対象になりません(第13条)。
- 公開して行なわれた政治上の演説等は著作権の対象外です(第40条)。
- 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道などは著作物ではないとされています(第10条の2)。新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上,経済上又は社会上の時事問題に関する論説などは,利用を禁止する旨の表示がなければ利用できます(第39条)。しかし,実際の取り扱いに関しては,日本新聞協会などが条件をつけています。
特定利用による対象外
- 個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときにコピーをするのは,私的利用として認められます(第30条)。
- 公衆の利用に供することを目的とする図書館等では,営利を目的としない事業として,図書館資料を用いて著作物を複製することができます(第31条)。
- 学校での授業に必要な資料を教員や学生がコピーして学生に配布するとか,上映して見せることは許されます(第35条,第36条)。しかし,これが認められるのは必要最小限に限られます。図書の全部あるいは大量のページをコピーするようなことが認められないのは当然です。
なお,ここでの学校とは,文部科学省が教育機関として定める学校あるいはそれに準ずるものであり,営利目的の予備校やカルチャースクール,企業での勉強会や研修などは,これには該当しません。
- 障害者のための教科用拡大図書,点字による複製,専ら聴覚障害者の用に供するための放送などが認められています(第33条,第37条)。
引用
自分の著作の中の一部分に他人の著作の一部を引用することは許されます。しかし,「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。(第32条)」とされています。
引用とするためには,次のような要件を満たす必要があります。
・引用の必然性があること
・自分の著作が主で引用が従の関係にあること
・引用部分が明確に区分されること
・出所を明示すること
詳細:「引用の条件」
(std-chosakuken-inyou)