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確率の問題
確率の基礎的例題
確率の代表的な基礎的例題を示します。
学習のポイント
キーワード
二項分布、超幾何分布、信頼性(直列・並列)、条件付確率
例題(二項分布)
- 問題
- 5枚の硬貨を投げたとき、2枚が表になる確率を求めよ。
- 数え上げによる解答
- すべての場合の数:25=32通り
5枚のうち2枚が表になる場合の数:5C2=(5×4)/(2×1)=10通り
求める確率=10/32=0.32・・・(答)
- 一般化
- 1回の試行である事象が起きる確率をpとするとき、n回の試行でその事象がr回起こる確率Prは次式になります。これを二項分布といいます(幾何分布ともいう)。
Pr=nCrpr(1-p)n-r
上の問題では、
P=5C2(1/2)2(1/2)3
=10×(1/2)5=10/32
となり、同じ答になります。
- 類題
- 5つのサイコロを投げて、1の目が2回出る確率
p=1/6、n=5、r=2
P=5C2(1/6)2(5/6)3
=10×53/65=1250/46656=0.027
例題(超幾何分布)
- 問題
- 袋の中に赤玉が3つ、白玉が4つ入っている。玉を2つ取り出したとき、赤玉と白玉が1つずつである確率を求めよ。
- 場合の数による解答
- このときのすべての場合の数は、7つの中から2つを取り出す場合の数だから、7C2=(7×6)/(2×1)=21通りになります。
赤玉は、3つの中から1つを取り出すので、その場合の数は3C1=3通り、白玉は、4つの中から1つを取り出すので、その場合の数は4C1=4通りです。それで、赤玉1つ白玉1つを取り出す場合の数は、3×4=12通りです。
従って、求める確率は、12/21=4/7になります。
- 一般化
- 赤玉がm個、白玉がn個の中から、r+s個取り出したとき、赤玉がr個白玉がs個である確率は、次の式で与えられます。これを超幾何分布といいます。
P=mCr×nCs/m+nCr+s
- 確率の和・積による解答
- 最初に赤玉が出る(1R)確率
全体の7個のうち、赤玉は3個なので、P(1R)=3/7
次に白玉が出る(2W)確率
全体が6個、白玉は4個なので、P(2W)=4/6
1Rであり、かつ、2Wである(RW)確率
P(RW)=P(1R∩2W)=(3/7)×(4/6)=12/42
最初に白玉が出る(1W)確率
全体の7個のうち、白玉は4個なので、P(1W)=4/7
次に赤玉が出る(2R)確率
全体が6個、赤玉は3個なので、P(2R)=3/6
1Wであり、かつ、2Rである(WR)確率
P(WR)=P(1W∩2R)=(4/7)×(3/6)=12/42
求める確率は、「RWまたはWR」であるから、
P=P(RW∪WR)=P(RW)+P(WR)=(12/42)+(12/42)=4/7
例題(直列と並列)
- 直列接続の信頼性
装置Aと装置Bの両方が正常なときに、システムが正常であるという接続形態です。
R(直列)=R(A)×R(B)=0.9×0.8=0.72
R(A)=R(B)=Rならば、
R(直列)=R2
となります。
- 並列接続の信頼性
装置Aと装置Bの少なくとも一方が正常なときに、システムが正常であるという接続形態です。
このシステムが正常でないのは、両方が故障しているときですから、
R(並列)=1-(1-R(A))×(1-R(B))=1-0.1×0.2=0.98
となります。R(A)=R(B)=Rならば、
R(並列)=1-(1-R)2
となります。
- 複雑な接続
左半分は並列なので、R(左)=1-(1-R(A))2=1-0.12=0.99
右半分も同様に、R(右)=1-0.22=0.96
全体は、左半分右半分が直列なので、R=R(左)×R(右)=0.99×0.96=0.95
となります。
例題(条件付確率)
- 問題
- 2人の子供のいる家庭がある。そのうち1人が女であることがわかっているとき、2人とも女である確率を求めよ。
- 解答
- 「1人が女」の条件を無視すれば、次の組み合わせになり、どの事象の発生確率は同じです。
上の子 下の子
ア 男 男
イ 男 女
ウ 女 男
エ 女 女
すべての場合の数は4通りで、2人とも女なのはエの1通りですから、求める確率は1/4になります。
ところが、「1人が女」の条件があるので、すべての場合の数はアを除いた3通りになります。それで、求める確率は1/3になるのです。
- 一般化
- このような確率を条件付確率といいます。
事象Aが起こる確率をP(A)、事象Aと事象Bの両方が起こる確率をP(AB)、事象Aが条件のときの事象Bが起こる確率をP(B|A)で表します。このとき、
P(B|A)=P(AB)/P(A)
となります。
上の問題では、
事象A:「少なくとも1人は女である」事象・・・イ・ウ・エ
事象B:「2人とも女である」事象・・・エ
です。
事象ABとは「事象Aであり、かつ、事象Bである」ということですから、エだけになります。
そして、P(A)=3/4、P(AB)=1/4 ですから、
P(B|A)=(1/4)/(3/4)=1/3
となります。
- (注意)
-
実は、この問題には別の解もあります。
上の子が女である場合、下の子も女である確率は1/2
下の子が女である場合、上の子も女である確率は1/2
になります。
「1人が女とわかっている」とは、それが上の子か下の子かの確率は等しいので、それぞれの確率は1/2です。
すると、求める確率は、
(1/2)×(1/2) + (1/2)×(1/2) =1/2
となります。
この違いは「どうして女の子とわかったのか」により、「どの事象の発生確率も同じ」があいまいになるからですが、ここでは深入りしません。条件付き確率の考え方を示しただけだと解釈してください。
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