確率の基本的な事項を理解します。
互いに排反する(ある事象と他の事象が同時に起こることがない)それぞれの事象が起こる割合が同じとき、「ある事象の起こりうる場合の数/すべての事象の起こりうる場合の数」を確率といいます。
例えば、1枚の硬貨を投げたとき、すべての事象の起こりうる数「表」と「裏」の2通りがあり、「表」である事象が起こりうる数は「表」の1通りですから、表が出る確率は1/2になります。
3枚の硬貨を投げたときは、すべての場合の数はア~クの8通りで、表が2枚の場合の数はイ・ウ・オの3通りですから、表が2枚である確率は3/8となります。
場合 硬貨A 硬貨B 硬貨C 表の枚数
ア 表 表 表 3
イ 表 表 裏 2
ウ 表 裏 表 2
エ 表 裏 裏 1
オ 裏 表 表 2
カ 裏 表 裏 1
キ 裏 裏 表 1
ク 裏 裏 裏 0
2つのサイコロを投げたとき、すべての場合の数が36個で、出た目の和が5である場合の数は4個ですから、その確率は5/36になります。
サイコロB
1 2 3 4 5 6
サ 1 2 3 4 ⑤ 6 7
イ 2 3 4 ⑤ 6 7 8
コ 3 4 ⑤ 6 7 8 9
ロ 4 ⑤ 6 7 8 9 10
A 5 6 7 8 9 10 11
6 7 8 9 10 11 12
すべての事象が排反するn個の事象からなり、それぞれの確率がP(1)、P(2)、P(n)だととすると、次の関係が成立します。
0 ≦ P(i) ≦ 1
∑P(i) = 1
逆にいえば、このような関係があることを確率というのです。
上の硬貨の場合では、事象は、次の4つであり、それぞれの確率の合計は1になります。
表 裏 確率
3 0 1/8
2 1 3/8
1 2 3/8
0 3 1/8
1
排反でないときの計算はやや複雑になります。
事象A:新聞Aを購読している。P(A)=0.5
事象B:新聞Bを購読している。P(B)=0.4
として、ある新聞を購読は他の新聞の購読とはまったく無関係だとしたとき、
ア:新聞Aと新聞Bの両方を購読している。
イ:新聞Aは購読しているが、新聞Bは購読していない。
ウ:新聞Bは購読しているが、新聞Aは購読していない。
エ:新聞Aも新聞Bも購読していない。
の事象があります。
なお、ア~エの確率は次のようになります。これからも、P(A∪B)=0.7になります。
P(ア)=P(A)×P(B)=0.5×0.4=0.2
P(イ)=P(A)×P(B)=0.5×(1-0.4)=0.3
P(ウ)=P(A)×P(B)=(1-0.5)×0.4=0.2
P(エ)=P(A)×P(B)=(1-0.5)×(1-0.4)=0.3
P(ア)+P(イ)+P(ウ)+P(エ)=0.2+0.3+0.2+0.3=1
もし、事象Aと事象Bが厳密に排反でないときには、このような計算はできません。例えば、両方の新聞を購読する確率が0.1だとするならば、P(A∩B)=0.1になるので、
P(ア)=0.1
P(イ)=P(A)-P(ア)=0.5-0.1=0.4
P(ウ)=P(B)-P(ア)=0.4-0.1=0.3
P(エ)=1-{P(ア)+P(イ)+P(ウ)}=1-{0.1+0.4+0.3}=0.2
になります。