パソコンのディレクトリに共有フォルダがあります。ここに入れてあるファイルは他のパソコンからアクセスできます。その機能を利用して、サーバを用いずにパソコン間でファイル交換をする仕組みをP2P(Pier To Pier)といいます。
日本で開発されたP2PソフトにWinnyがあります。
Winnyの仕組み
Winnyの仕組みを、DのパソコンにあるファイルをAがダウンロードすることを例にして説明します。
- ① 公開するファイルを持っているパソコンDは、そのファイルを公開フォルダ(アップロード・フォルダ)に保存して(暗号化しているがここでは省略)、そのファイル名やDのIPアドレスなどを持った仮想キーを、CなどWinnyを持っているいくつかのパソコンに配布しておく。
新しくWinnyを入れたパソコンAは、既にWinnyを持っているパソコンBとリンクを貼る。
- ② Aは、Winnyの画面を開き、ダウンロードしたいファイルの検索キーをBへ送る。
Bは、その検索キーに合致するファイルの仮想キーを持っていないので、他のパソコンに送る。このようにして、最終的には合致する仮想キーを持つCに到着する。
これまでたどってきた経路を逆にたどり、仮想キーがAに送られる。
- ③ Aは、得られた仮想キーから、直接にCへダウンロードを要求する。Cがそのファイルを持っていなければ、その要求をDへ転送する。
ファイルは、Cを介してAに送られる。このとき、Cにそのファイルが残される。次回にダウンロード要求がCにあったときは、Cもそのファイルの配布先になる。
ファイル交換の危険性
ファイル交換は、情報共有化の手段として便利なのですが、第三者が著作権をもつ音楽や映像などを不正に流布する手段として用いられることが多く、問題になっています。
さらに、ファイル交換ソフトを対象にしたウイルスにより、ファイルの所有者が意図せずにパソコンから流出することがあります。2006年頃には、これによる第三者の個人情報などが漏洩する事件が頻発して、社会的問題になりました。
- ウイルスに感染すると、パソコンのなかのファイルを勝手に公開フォルダに登録されてしまいます。公開フォルダにローカルドライブを指定することにより、ハードディスク全体を公開してしまうものもあります。すなわち、自分が知らないうちに、パソコンにあるファイルを他人にダウンロードされてしまうのです。
- しかも、ダウンロードした人だけでなく、その経路にあるパソコンにもファイルのコピーが残るので、自分のパソコンのファイルを削除した後でも、さらに流出が続くのです。
- A~Dでの匿名性が強く、コピーを持っているパソコンの特定が困難です。